中国を中心に世界でヒット 鋭い刃で細やかな切り込み…手芸用はさみ

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岐阜・関市の刃物メーカーが作る手芸用のハサミが、国境を越えたオンラインショッピング「越境EC」で、2021年上半期に世界一売れた日本の商品となった。世界中の人たちの心を掴んだメイドインジャパンのハサミには、使いやすさを極限まで追求した匠による熟練の技があった。

国や地域を跨いだオンラインショッピング「越境EC」。「2021年上半期世界ヒットランキング」の1位は、岐阜の刃物メーカーのハサミだった。(BEENOS調べ)

1位となった「パンフラワー用ハサミ」(605円)を作るのは、岐阜・関市にある刃物メーカー「やおき工業」。パートを含めた従業員数は約20人の小さな会社だ。

パンフラワーとは“粘土手芸”のこと。小麦粉を粘土のようにして花などを作る手芸で、ハサミはその粘土をカットするために使う。

やおき工業の社長・木村聡さん:
ぱっと見、これのスゴさが伝わらないのが一番悩みですけども、一番の特徴は細くて鋭い刃

鋭い刃で、細やかな切り込みが入れられるこのハサミは、コロナ禍で世界的に“おうち時間”が増えたことや、パンフラワー以外にも刺繍や眉を整えるなど様々な用途で使えると話題になり、中国を中心にヒットした。

匠の技で生み出される切れ味…ベテラン職人が一つ一つ手作業で作るハサミ

コロナ禍で改めてその品質が見直されたこのハサミは、一つ一つ手作りされている。手掛けるのは、この道40年のベテラン職人だ。製造のポイントは2つ。

職人の男性:
(1つ目の)ポイントは、(刃を)引くのにしっかり強弱をつけて安定させないと、刃がガタガタにぶれちゃう

一つ目が、研磨機で刃先に目に見えないほどの幅で段を付けていく「小刃(こば)付け」。均一に力を入れないと、刃がガタガタになってしまうという。

社長の木村聡さん:
細い刃をしっかり尖らせる。そして尖らせた2枚の刃の先端が合うように。調整が難しいところです

そして、もう一つのポイントがハサミの調子をしっかりと見定めることから「調子見(ちょうしみ)」といわれる工程。金槌で鋲を叩き、2本の刃物の締め具合を調節しながら、滑らかな噛み合わせを作る。

最後に、木の割れ目に刃を差し込んでしならせる作業。ハサミは2枚の刃が真っすぐ重なっているイメージだが、互いの刃に反りを入れることにより、その切れ味が生み出される。1ミリの差が大きな違いとなるこの「反り」も、機械ではなく手作業で行っている。

職人の男性:
一番細い先端で切れ味を出すのが一番難しい…。もう、何丁も何丁もかまって(作って)覚えていくしかない

30年前に発売されたこのハサミは、長い月日を経て、海を越えて世界で認められるようになった。

岐阜・関から世界へ…熟練の技が生み出すメイドインジャパン品質

「やおき工業」が“匠の技”を集結させて作った刃物製品は、ハサミだけではない。10年以上前に発売した、家庭で出る容器類のゴミを簡単に分別ができる「ハイ!環良(かんりょう)」(660円)もヒットした。

ビンのキャップ外しや、ペットボトルのリング取り、スプレー缶のガス抜きなど様々なゴミの分別をこの商品一つでできる。

社長の木村聡さん:
これも(発売して)10年以上経つんですけど、世の中でエコ意識が高まったことで、お客様から喜んでいただけて…

そして、その匠の技を生かした最新の商品が、2種類の刃を持つハイブリッドなキッチンバサミ「薄+厚 ハイブリッドキッチン」(2750円)だ。

根元は丈夫にぶ厚く、そして先端は繊細に薄くなっていて、用途にあわせて使い分けができるハサミだ。

食材を細かくカットしたり、切れ込みを入れる時は、刃の先端で。硬いものをしっかりカットしたい時は、根本部分を使う。使用後は2本の刃を分解できるため、キレイに洗うことも。構想から1年以上、社内の女性スタッフの意見も取り入れながら完成させた。

社長の木村聡さん:
コロナ禍で家で食事を作られる機会が増えていて、そういった中では評価をいただいております

海外で認められた匠の技。これからは、小さな会社が世界を股にかけ活躍することも夢ではないと木村社長は話す。
積み重ねた技術で作られたメイドインジャパンを世界に…。岐阜の小さな刃物メーカーの挑戦は続く。

「パンフラワー用ハサミ」や「ハイ!環良」、「薄+厚 ハイブリッドキッチン」の詳細は、「やおき工業」のホームページに掲載されている。

(東海テレビ)