愛媛県の東予地域で、年々サルによる農作物被害が拡大している。
カメラがとらえたサル被害の瞬間の映像。現状と対策を取材した。
木に登ったサルが、柿の実を取って食べている。

この場所は、新居浜市の山あいに近い所。
実は東予では、数年前からサルによる農作物の被害が増えている。
被害に遭った男性:
なっとったのを、皆ね。これは、きのう取られたんですよ。腹立ってしょうがないけど、どうしようも…。私らの手には負えんですわね
新居浜市の男性の庭に落ちたミカンの残骸。その犯人は、ニホンザルだ。
被害に遭った男性と同じ地区で11日に撮影された映像からは、柿の木に登ったサル数匹が、熟れた柿をむしって食べているのが分かる。

実は東予では、サルの捕獲が5年ほど前から増加。
2016年度は90匹だったのが、翌年度は、ほぼ倍増の178匹。その後も増え続け、2020年度は390匹にもなっている。

この状況にあわせて被害額も増え始め、2015年度には445万円だったのが、翌年度は974万円に倍増。
以降は、1,000万円を超える年度が多い状態となっている。

耕作放棄地の増加などで広がる移動範囲
新居浜市では…
新居浜市農林水産課鳥獣対策係・赤壁拓主任:
冬場も大根とか、冬の野菜も食害に遭っていますので、一年中油断はできない

新居浜市農林水産課鳥獣対策係・赤壁拓主任:
(上空からの写真を見ると、昔は)木の粒々がはっきり見えるくらい、(森の)密度が浅いんですけど、今はぎっしり詰まってるので、サルがすごく移動しやすい状態になっています


サルの移動範囲が広がっている原因は、森林密度の上昇や耕作放棄地の増加だ。
サルの被害の特徴は…
新居浜市農林水産課鳥獣対策係・赤壁拓主任:
サルは、一口だけかじって捨てて、一口だけかじって捨ててっていうことを繰り返しますので。大きな被害が発生しやすいと

電気柵が効果あり…餌を絶つ環境づくりも必要
農家たちが憤るサルの被害。
木元悠吾記者:
ニホンザルによる被害が発生している畑では、柵に電気を流して侵入を防いでいる所もあります
その対策で、一番効果があるというのが電気柵だ。1.5メートルほどの高さで張り巡らしている。

新居浜市農林水産課鳥獣対策係・赤壁拓主任:
今、8,700ボルト流れています。十分、対策としては効果のある電圧が出ております
新居浜市は、電気柵の設置を補助して農家を支援している。
電気柵を設置する農家:
一番いいのは、この電柵と金網ですね。もうほとんど被害はないね。設置した後は

新居浜市農林水産課鳥獣対策係・赤壁拓主任:
作物を食べるということは、それだけ栄養状態がよくなるので、自然界では死んでいるものが残ってしまうと。結果、数も増えるし、被害も増える。
本質的に数を減らすためには、やっぱり餌を切ってやるっていうのが

捕獲だけではなく、餌を絶つ環境づくりが、野生動物による農作物の被害を防ぐ。
(テレビ愛媛)