2021年11月5日・6日、就任後初めて沖縄を訪れた松野官房長官。
玉城知事と会談したほか、名護市や宜野湾市を訪れ、地元との意見交換の場を持った。
衆院選後、最初の訪問先として沖縄を訪れた狙いを識者の解説でひも解く。

岸田政権の「聞く力」アピールするも…

松野博一 官房長官:
基地負担軽減担当大臣として、丁寧な説明や対話による信頼を地元の皆さんと築きながら、全力を尽くしてまいります

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沖縄を訪れた松野官房長官は、名護市の渡具知市長や久辺3区の区長と面談したほか、宜野湾市民と対話の場を設け、岸田政権の「聞く力」をアピールした。

その一方、玉城知事との会談では、普天間基地の危険性を除去するためには辺野古への移設が唯一とする方針を強調。12年もかかる辺野古移設では、1日も早い危険性の除去にならないと訴える玉城知事との議論は平行線となった。

沖縄国際大学 前泊博盛教授:
聞くのはいいが、どう行動を取ってくれるのかが大事。辺野古問題について、ある意味ではとどめを刺すようなニュアンスもあったかもしれません

2022年は選挙イヤー「先手取って動き始めたのでは」

10月31日の衆院選で、自公は名護市を抱える3区で勝利したほか、全選挙区の得票数の合計がオール沖縄を上回った。

沖縄国際大学 前泊博盛教授: 
名護を抱える3区で自民党の候補が勝ったということで、辺野古移設の承認を得た、建設に対する承認を得たというようなアピールを全国に発信したというのが、今回の来県の狙いだったのではないかと見ています

2022年は名護市長選挙を皮切りに、参院選、県知事選と大型選挙が続く選挙イヤー。これらの選挙で勝利することで、沖縄に関する政策の主導権を握りたい思惑があると前泊教授は指摘する。

沖縄国際大学 前泊博盛教授:
関係自治体の首長たちをしっかりと厚遇する。そういう形で次の選挙、名護市長選ですね、特に目の前に迫ったもの。それから知事選、その前の参議院選。選挙イヤーということで、そこに先手を打って動き始めてきたっていうのが見て取れると思います

玉城知事「沖縄振興は基地問題と対比されてはならない」

松野官房長官は玉城知事と会談後「基地負担軽減と跡地利用の推進を含む沖縄振興は、総合的に関連している」と述べた。

松野博一 官房長官:
基地問題への対応と振興予算の額は、直接関連していないと認識していますが、基地と振興の課題を全体として総合的に推進すべきという意味において両者は関連している

松野官房長官との会談で、沖縄振興に向けた予算の確保や制度の拡充などを要請した玉城知事。

玉城デニー 沖縄県知事:
沖縄振興については、全ての沖縄県民の将来にかかっていることですから、そこが基地問題と対比されることがあってはならない

沖縄国際大学 前泊博盛教授:
90年代もそうでした。大田県政のときに、次の振計はいらないのかっていう揺さぶりがあって、やっぱり10年おきに大きな節目を迎えてくる沖縄にとってはですね、ここが最大のまさにウィークポイントにもなっているということになりますね

2022年で復帰50周年を迎える中、社会課題を解決していく上で政府と連携していくことも求められる玉城知事。
辺野古移設をめぐっては、軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更の申請を、承認するか不承認とするか、その判断が注目されている。松野官房長官は、これを前に揺さぶりをかけたと捉える見方もある。

沖縄国際大学 前泊博盛教授:
基地を押し付けて、リンクさせてお金を配るという。沖縄も含めて、この政治に対する姿勢をどう改めていくかということが問われていると思います

政府が今後、沖縄とどう向き合うのか。2022年の秋で任期を迎える玉城知事がどう対峙するのか注視される。

(沖縄テレビ)

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