2021年10月31日、第49回衆議院総選挙と同日選となった宮城県知事選挙で68万票あまりを獲得し、5選を果たした村井嘉浩知事。5期目の抱負を聞いた。

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梅島三環子アナウンサー:
日焼けしましたね

宮城県 村井嘉浩 知事:
真っ黒になりました

梅島三環子アナウンサー:
今回の選挙戦はコロナ禍でいつもと違ったと思いますが、振り返っていかがですか?

宮城県 村井嘉浩 知事:
今までと全く違いました。「コロナを出さないで下さい、皆さん人流のいるところに行かないで下さい」とお願いしていますので、私自らそれを破る訳に行かないので、ものすごく意識して今までと違う選挙になりました。
オンラインやネットを使い、建物の中の集会は止めたり。電話かけをいつも事務所の中でたくさんしますが、お願いの電話も一切やらない。そういう選挙を心がけました

梅島三環子アナウンサー:
SNSなど新たな取り組みはいかがでしたか?

宮城県 村井嘉浩 知事: 
面白かったですね。双方向のやりとりが出来ますので、色んなコメントをもらいながら、それにまたお答えする形でやりました。新しい選挙スタイルじゃないかなと思いました

梅島三環子アナウンサー:
これまでの選挙戦で双方向はなかったのではないですか?

宮城県 村井嘉浩 知事:
初めてです。いけるかな?と思ったのですが、意外と面白かったですし、反応がありました

梅島三環子アナウンサー:
選挙戦の結果です。まず投票率(56.29%)、前回(53.29%)よりも3ポイント上がりまし
た。
一方で得票数(村井氏683,111票)は、前回2017年(村井氏825,460票)よりも約14万票減らし、対立候補が得た票(184,776票→373,066票)は倍増しています。
得票率が下がった事になりますが、いかがですか?

宮城県 村井嘉浩 知事:
選挙運動が今までと全く違ったので、私の考え方を県民の皆さんに理解してもらうまでに時間がかかり、難しかった。また今回、争点が非常に明確でしたので、それが理由だと思っています

梅島三環子アナウンサー:
具体的にどの部分が影響しましたか?

宮城県 村井嘉浩 知事:
一番は争点が明確で世論が分かれるようなもの、特に病院問題、原発問題、また水の問題。
こういったものがきれいに分かれましたので、おそらくかなり厳しい結果になると思いましたが、あえて自分の考え方を明確にお示しして選挙に臨みたいと思い、厳しい選択をしました

公約 4病院再編

「県立がんセンターと仙台赤十字病院を連携統合し名取市へ、県立精神医療センターを東
北労災病院と連携させ富谷市へ」

高橋咲良アナウンサー:
得票率が下がった要因の一つとして考えられるのが、仙台医療圏の病院再編です。
11月2日、仙台市の郡市長が病院再編に関わる青葉区・太白区で村井知事の得票率が下がった事に触れ、市民から理解を得るように丁寧な説明をしてほしいと発言しました。

宮城県 村井嘉浩 知事:
しっかりと説明して行かなければならないと思っているのですが、一つ、難しいのが仙台市にある2つの病院は民間の病院です。私がその病院に対して何らかの形で影響力を及ぼす事はできないですし、市民の皆さんに説明しようとしても、病院の経営に関わる事や病院の方針を決めるようなことは、一切答えることができないということです。
ただ、私どもと病院側が色々協議している事については、先方が許してくれる範囲内で説明して行きたいなと思います

梅島三環子アナウンサー:
選挙では公約として掲げていましたが、話し合いはこれから?

宮城県 村井嘉浩 知事:
全くこれからです。これから、場所をどうするかだけではなく、病床数、どんな診療科にするか、どんな診療構成にするか、職員の処遇をどうするか、こういったことをこれから話し合うことになります

梅島三環子アナウンサー:
(移転候補地として)名取(市)、富谷(市)と具体的なワードが出てしまうと、規定路線で
進んでいるのではないかという捉え方もあると思いますが

宮城県 村井嘉浩 知事:
そこまで決まっていないですよ。あくまでも、私は宮城県知事として全体の宮城県の医療圏を考えて、富谷と名取がベストだと考えておりますが、先方の考え方を聞いた上で、別の場所と言う事も十分あり得ると思います

梅島三環子アナウンサー:
話し合いの段階なのに公約に掲げるのは、どういう意味合いがあるのですか?

宮城県 村井嘉浩 知事:
よく知事はなんでも頭ごなしで話をする、決まってから言うと言われるので、今回は早めから「こういうことを考えています」というところから出したのです。自分としては丁寧に進めながら、順を追ってやっているつもりなんですけどね

新型コロナウイルス対策は

梅島三環子アナウンサー:
続いては新型コロナウイルスです。11月2日、宮城県内では新たに2人の感染が確認されました。感染者数は落ち着いていますが、コロナがもたらした影響は深刻です。収入が減った方、仕事を失った方もいます。コロナ対策はどうお考えですか

宮城県 村井嘉浩 知事:
一番大切なのは第6波、第7波をできるだけ起こさないようにするということ。
3回目のブースター接種が間もなく始まります。しっかりワクチンを確保して、接種してもらう環境を整えたいと思います。その上で、もし大きな波が来た時に備えて、ホテルや病床を確保できるよう準備をしておきたいと思います。
それをやりながら患者を低く抑えることが出来るなら、景気対策をどんどん広げていきたいと考えています。今は旅行割引や食事券がありますが、今後は大型の観光キャンペーンを企画したり、仙台空港に海外からの飛行機が入って来るようになれば、海外に対するプロモーションも積極的に行いたいと思っています

宮城県民の信任は得られたか

梅島三環子アナウンサー:
今回は争点がたくさんありました。病院再編のほか、水道三事業の運営権を民間に売却する「みやぎ型管理運営方式」について。また、女川原発2号機再稼働を巡る問題など、賛否が分かれるものも多かったと思います。知事は、選挙で信任を得たと言う考えですか

宮城県 村井嘉浩 知事: 
反対されている方からすると、「これで信任を得た事にはならない」となるのでしょうが、私の
立場で申し上げると、選挙の公約に掲げて大きな争点になった訳なので、これを辞めるとなると今度は「公約違反」とおしかりを受けます。
選挙で当選した以上は、掲げたことについて全て実現できるよう最大限の努力をしたいと思っています

梅島三環子アナウンサー:
病院の再編の話では「話し合いの段階」で公約に掲げたとありましたが、女川原発では地元同意を得た上で、今回争点になっていました。この整合性は?

宮城県 村井嘉浩 知事:
そうなんです、宮城県議会の同意を得て、県議会に出た請願の採択の結果を見て、県議会は稼
働に前向きという事で、市町村長会議をやり、その結果を受けて私は県民を代表して同意をしました。
「理解を示した」ので、ここでボールはいったん国と東北電力のほうに行っています。仮に誰が知事になろうと、止める事は出来なかっただろうと思います

梅島三環子アナウンサー:
選挙結果の数字を受けて村井知事は11月1日、記者会見で「県民の理解度が深まっていないと肌で感じた」と話しました

宮城県 村井嘉浩 知事:
街頭に立って病院の事や水の事について話をすると、皆さん「あ、そういうことだったので
すか」と拍手して下さる方がたくさんいらしたんです。同時に「いや、今まで知りませんでした」と言われて。
我々としては県政だよりで全戸配布、書いて送っているのですが、皆さんしっかり読んで頂けていないな、と。これはもう発信する側の問題なので、まだまだ説明不足だなと感じました

梅島三環子アナウンサー:
5期目で17年目に入ります。多くの支持がある一方で、ご自身も「ワンマンと言われることもある」と言っていました。「多選への批判」はどう受け止めていますか?

宮城県 村井嘉浩 知事:
そういう意見があるのは承知しています。ただ私も、ただ長くやりたいからやっている訳ではなく、私でなければやれない、止めてしまうかも知れないってものがあるものですから。
まだやるべき事があると言う事と、気力体力が充実しているので今回出馬に踏み切ったのです。
長くやればいいというものでは決してないと思います。

人口減少を見据え、小さな行政体を

高橋咲良アナウンサー
これから始まる新たな4年間、宮城を発展させていくために村井知事がえがいてるビジョンを教えてください

宮城県 村井嘉浩 知事:
発展させるというより、これからの宮城県にとって非常に大きな課題、最大の課題は「人口減
少」だとずっと今回選挙中、言いました

宮城県 村井嘉浩 知事:
今までは少子高齢化と言われていたのですが、少子高齢化でも人口は減っていなかったんです。逆にちょっと増えていた。高齢者が増えていた。
ところが、これからガーっとジェットコースターのように人が少なくなってきて、たった25年間で50万人も減るんです。(宮城県の人口)230万人が180万人に2割以上減るんです。しかも高齢者の数は、まだ20年間で増えるんです。10%くらい。宮城県全体で。
と言う事は、人口が減ると言う事は消費が冷え込む事になりますし、税収が減る事になりますので、非常に県の財政は厳しくなると思います

一方、社会保障費は上がるので、お金はどんどん出て行きます。
方法は3つしかない。1つは思いっきり増税するか。もう1つは思いっきり借金するか。もう1つは小さな行政体にして、出来るだけ税金を使わないようにして少しでも余裕を出して、それを社会保障費に充てて行く。それしか方法がない。
私はそれで、小さな行政体にして少しでも税金を使わない態勢に変えて、余裕を持たせて社会保障費に、と言う考えで水の問題に取り組みました。仙台空港もやりました。

病院も急性期という救急車が運ぶ病院は、もうすでに病床が余っています。公立的な病院、仙台赤十字病院や労災病院のような、割と規模の大きな病院は段々ベットが余って来る。益々人口が減りますから益々余って来ると、当然ですけど合従連衡が始まって病院がなくなってしまう、と言う事があるので、なくなってから「どうしようか」ではなく、今のうちから適正な配置にして行かないと持たない。そういうところから進めています。
ビジョンという意味では、人口が減ると言う事を常に視野に入れながら施策を進めて行きたい。全ての根底はそこにあると言う事です。
誰がやってもバラ色にはならないと思います

梅島三環子アナウンサー:
ここまで5回目の当選を果たした村井嘉浩知事に伺いました。きょうはお忙しいところ有
難うございました

宮城県 村井嘉浩 知事:
ありがとうございました

(仙台放送)

仙台放送
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