下呂温泉(岐阜県下呂市)と言えば、日本を代表する温泉地であることはもちろん、名前の強烈なインパクトで知らない人はいないのではないだろうか?
そんな下呂の新しい名物として、ものすごいネーミングの酒が登場した。
その名は「ゲロのどぶ」。

これは市内にある天領酒造が作った、アルコール度数9~10度のどぶろくで、日本記念日協会が認定する「どぶろくの日」の10月26日に発売した。
下呂温泉には「下呂の香り」という銘菓はあるが「酒」はなかったとして、天領酒造は温泉をPRする土産用に「ゲロのどぶ」を開発した。ゲロのどぶ(260ml)は税込み524円で、プレスリリースでは「絶対に発音だけで判断しないでね!!」と、どんな商品かを知らず名前だけを聞いた人に注意を促している。
「ゲロのどぶ」の特長は3つ
聞いても見てもますます気になる「ゲロのどぶ」の特長は次の3つ。
1. ネーミングに負けない美味さ!!
2. にごり酒ではない、本物のどぶろく
3. 栄養満点
同酒造によると、どぶろくは日本酒とは製造免許が違っており、米・米麹・水だけを発酵させて、ろ過しない酒のことだそうだ。
その美味しさは、米の甘さや華やかな香り、優しい口当たりと酸味が特徴で、女性にも人気が高く、米麹由来のビタミンが豊富で栄養価も高いとしている。
さらに、下呂温泉の観光客向けに、自分だけの「Myゲロのどぶ」造りが楽しめる体験ツアーも実施しているとのことだ。


下呂温泉と同じように、一度聞いたら忘れない「ゲロのどぶ」はTwitterでも耳目を集め、下のような様々な意見が飛び交った。
・クセ強w
・なんとかならんかったのか
・ネーミングが凄すぎて素敵
・これが岐阜の本気か
・商品名が強すぎて何も入ってこない
ちなみに天領酒造は1680年に創業した歴史があり、今年は全国新酒鑑評会で金賞をとっている。そんな由緒ある酒造メーカーが、なぜ新商品に「ゲロのどぶ」という斬新すぎる名前を付けたのか?ネーミングに不安はなかったのか?
天領酒造の担当者に聞いてみた。
名前は「ゲロのどぶ」一択!
――なぜ「ゲロのどぶ」という名前にした?
下呂温泉街を歩くと本当に若い人が多い。そんな若い方へ地方の観光地で地酒を飲む楽しさ、日本酒の文化に触れていただくきっかけ、手に取っていただくきっかけとなればと思い「ゲロのどぶ」というネーミングに決めました。
――「ゲロのどぶ」という名前の参考にしたものは?
下呂温泉には銘菓の下呂の香り、下呂牛乳、下呂プリン、ゲロゲロバターなど多くあります。下呂の銘菓ならぬ銘酒をと思い「ゲロのどぶ」と命名させていただきました。
――他に迷った名前はなかったの?
「ゲロのどぶ」一択でした。「ゲロ」にするか「下呂」にするかでは迷いました。
少し不安はありました
――この名前に反対する人や不安はなかった?
反対意見は不思議とありませんでした。でも少し不安はありました。しかし飲んで頂けたら絶対にネーミングと美味しさのギャップに驚いていただける自信がありました。
――「ゲロのどぶ」発表後の反響は?
本当に多くの皆様からお問合せをいただきビックリしています。11月の新酒のシーズンに向けてさらに活気が出てきました!
――名前が話題になって想定通り?
想定通りですが想定以上です。しかし、この名前にした真意は下呂温泉に旅行に訪れた若い世代の方(20代~40代)日本酒を飲んだことも無く、ましてや『どぶろく』を知らない方をターゲットにしました。
地方の観光地で地酒を飲む楽しさ、日本酒の文化に触れていただくきっかけとなり、SNSで発信していただき、ひいては下呂温泉に訪れる方が増えたら嬉しいです。
下呂温泉に来てくれる人たちをもてなしたい
――「ゲロのどぶ」のおいしい飲み方は?
まずは冷やしてお飲みください。寒い時は温めても美味しいです。弊社のスパークリング日本酒「すますま」と混ぜると最高に美味しいです。大人のクリームソーダと言ったところでしょうか。
――最後に「ゲロのどぶ」と下呂温泉のアピールポイントは?
今回のリリースに際し、本当に多くの皆様からお声を頂戴しました。コロナ禍で下呂温泉は観光客のお客様が激減し寂しい気分で約2年を過ごしています。本来ならば、四季で楽しむ事の出来る行事が多くあり活気にあふれている町です。
私どもは創業以来、下呂の地で商いをさせていただいています。大好きな下呂温泉にお越しいただく観光客の皆様へのおもてなし、驚き、体験、感動の一助になる事が出来れば幸いです。
是非、下呂温泉や天領酒造へお越しくださいませ。そして「ゲロのどぶ」をご賞味ください。

「ゲロのどぶ」という名前には、もちろんウケを狙った部分もあるようだが、コロナ禍で客足が落ち込んだ下呂温泉に再び賑わいが戻ってほしいという真摯な願いも込められていた。
なお、同酒造には既存商品として「天領 どぶろく」があり、違いは、容量が260mlサイズのみの展開というだけで、中身は同じだという。ただし、下呂温泉の土産物店と同酒造のHPからしか購入できないとのことだ。
強烈な名前で、若い世代へのアピールを打ち出した酒造メーカーの努力を応援したい。