2016年に制定された鳥取県の自転車ヘルメット条例。
自転車利用時のヘルメット着用を努力義務に定めた条例だが、2020年までは県職員でさえ、ほとんどヘルメットを着けていない実態がTSKの取材で明らかになっている。
この条例が10月14日で施行から満5年を迎えた。
その現状は?

条例の形骸化 県庁職員もヘルメット着けず…

鳥取市内の交差点。
何気ない朝の通勤・通学風景だが、実はこれが条例違反になるかもしれない。

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鳥取県が5年前の2016年10月14日に施行した「鳥取県支え愛交通安全条例」。

条文には、「自転車利用者は、乗車用ヘルメットをかぶるなど、自転車を利用する際の安全対策に努めるものとする」とあり、ヘルメットの着用を「努力義務」に定めているが、罰則はない。
5年前の当時は、中国地方初の条例として注目されたが...

県職員:
着けてないです、髪型がべちゃっとなるんで

施行から4年経った2020年。TSKの取材を発端に明らかになったのが、条例の形骸化だった。
条例施行後のPR費などに4,400万円以上の予算を投じたにも関わらず、市民はもとより条例を呼びかける側である鳥取県庁の職員でさえ、ほとんどヘルメットを着けていなかった。

その後、新聞などの報道も相次ぎ、県の姿勢が問われた。

そこで県は、あらためて県職員の着用対策に発破をかけ始めた。県庁の駐輪場はビラだらけとなり、さらに県職員の服務規程も改定された。県職員が県職員にチラシを配るという、いわば「珍現象」も現れた。

抜き打ちチェック…1年かけた対策の成果は

あれから1年、条例施行から満5年の節目を迎えたその現状は。
県の担当課が行った抜き打ちチェックに同行した。1年かけた対策の成果は…

県の担当課の職員:
163人中、かぶっているのが120人。120÷163…73.6%

結果は7割あまり。
「まだこれだけ」なのか?「こんなに増えた」なのか? 評価は分かれるところ。

(Q.ヘルメットかぶっていないのはなぜ?)
県職員:

そんなにスピードを出してないから

県職員:
暑い

条例の生みの親でもある平井知事はこの現状に…

鳥取県・平井伸治知事:
7~8割の職員が協力しているのは大きな成果

(Q.2~3割の職員がまだつけていないことについては?)
鳥取県・平井伸治知事:

あとは義務化するかどうかというところまで来たのかなと。ただ私どもは公務員なので、条例で努力義務とはいえ定められているので、もうしばらく粘り強く職員にPRしていきたい

ちなみに、県庁本庁舎の隣にある県警察本部では着用は徹底されているよう。

警察官:
仕事柄

警察官:
条例もあるけど、1番は身の安全

鳥取県警 交通企画課・畔田学次席:
社会人として、児童や学生の手本や模範となれるようにしていくのも大切

「努力義務」とはなにか

そもそも、この「努力義務」とは?

鳥取県弁護士会・大田原俊輔弁護士:
社会的に推奨されるような行動を国民に取って貰いたいときに、「努力義務」とする。違反の程度が著しい場合は違法となるが、単純に違反したから即違法にはならない

努力義務である以上、呼びかけ側の県職員が破っていても直ちに違法とはならないものの…

鳥取県弁護士会・大田原俊輔弁護士:
望ましくはない。県が呼びかけているなら、まず自分たちも守るから協力してくださいねというのが普通

条例は、いうまでもなくその地方の法律。
その条例が施行から満5年たった今でも、鳥取県庁の職員でさえ完全に守られていないという事実に対し、鳥取県は条例自体の改廃も含め、あらためて制定の意味を考えて欲しい。

(TSKさんいん中央テレビ)