姉の制服を調整 中学校の制服は特別な一着に

宮城県石巻市に住む佐藤美香さん(45)と、次女の珠莉さん(12)。

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珠莉さんはこの春から中学生。中学校に着ていく制服は、特別な一着。

石巻市 佐藤美香さん:
愛梨が中学校に入学する(はずの)年に作った制服です。今度、珠莉が中学校に入学するので、愛梨が着るはずだった制服を着てもらおうと思って

次女・珠莉さん:
お姉ちゃんと同じ気持ちで中学校に行けるなら、それはうれしい

制服はもともと、長女・愛梨さん(当時6)のもの。でも、袖を通すことは一度もなかった。

愛梨さんは9年前のあの日、幼稚園のバスに乗って家に帰る途中、津波と火災に巻き込まれ亡くなった。まだ6歳だった。

2017年、愛梨さんは、本当だったら12歳、中学校に入学する年だった。この年、母親の美香さんは、愛梨さんのために中学校の制服を作った。

石巻市 佐藤美香さん:
本人がいればね、いろいろと試せたんでしょうけど。制服作ってあげられるとしたら、最初で最後だから

幼稚園では、クラスで2番目に背が高かった愛梨さん。制服も大きめのサイズを注文した。

2017年2月、お姉ちゃんの制服で遊ぶ3つ年下の妹・珠莉さん。できあがった制服がお気に入りの様子だった。当時まだ9歳。大好きだったお姉ちゃんを、そばで感じたかったのかもしれない。

「いつも姉のそばに」 姉妹の名前を制服に

あれから3年がたち、母娘は、再び同じ店を訪れた。この春から中学校に進学する珠莉さんが、「お姉ちゃんの制服を着たい」と、サイズの調整に訪れた。

珠莉さんはもう、お母さんの身長を超えた。大きめに作ったはずのお姉ちゃんの制服も、珠莉さんにとってはちょっぴり小さめ。

次女・珠莉さん:
(スカートの丈が)短いって言われたので、びっくりしてる。ぴったりかなって感じだったのに

石巻市 佐藤美香さん:
(珠莉は)身長は結構伸びたので、中学生になるんだなと

愛梨さんの名前の下に、珠莉さんの名前も入れてもらった。
「いつもお姉ちゃんのそばにいたい」、珠莉さんの願い。

中学校に行けなかった姉に「少しでも楽しんでもらえたら」

そして3月8日、丈を直した制服が珠莉さんのもとに届いた。

次女・珠莉さん:
なんか就活してる人みたい…

石巻市 佐藤美香さん:
愛梨は、いつも珠莉のそばで見守ってくれていると思っているので、引き続き、愛梨も一緒に楽しみながら学校に通ってくれるといいなと思うし、珠莉が楽しんでいることが、愛梨にとっても楽しいと思うので、それが愛梨にとっても、珠莉にとっても良いのかなと

次女・珠莉さん:
(お姉ちゃんに)守ってもらえるような気分になる。実際に、お姉ちゃんは中学校に行けなかったから、少しでもどんな感じなのか楽しんでもらえたらいいな

中学生になれなかった大好きなお姉ちゃんと一緒に、珠莉さんは4月、中学生になる。

(仙台放送)

仙台放送
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