バイク好きな男性たちのツーリングチーム…ではなく、大雨や台風などの災害時に活躍する「災害バイク隊」の皆さん。活動内容や練習の様子を取材した。

バイク好きたちのツーリングチーム…ではない
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郵便局員に看護師も…職業さまざま「災害バイク隊」

障害物を軽々と乗り越えているのは、オフロードバイクの全日本チャンピオン。

倒木も難なく乗り越える

この日、大分・由布市で行われた研修に講師として招かれていた。

大きな岩も軽々

研修を受けていたのは、「大分県災害バイク隊」のメンバー。
災害時にバイクならではの機動力を生かし、被災地に駆けつけてさまざまな支援を行っていて、運転技術の向上のための指導を受けていた。

道をふさぐ倒木を切って進む訓練なども行われていた。

「災害バイク隊」のメンバーは、現在45人。
農家や郵便局員、看護師など職業はさまざま。全員が防災士の資格を取っていて、趣味のバイクを災害支援に生かしたいと活動してきた。

2020年の7月豪雨では、由布市内で土砂で道路が寸断された地域に入り、住民の安否確認やボランティア活動などを行ったという。

2020年7月豪雨 大分県由布市で撮影

「現地に入れない…」土砂崩れなどが阻む進路

県災害バイク隊 小野精治さん:
(運転の)スキルアップ、これは不可欠です。自分を守る。そしてもう1つは、より多くの所(被災地)に行く可能性を生み出す

このバイク隊を立ち上げたのが、小野精治さん(59)。
保険会社に勤める小野さんは、被災した住宅の現場確認などで長年にわたり被災地を訪れてきた。
その際、土砂崩れなどで現地に入れない多くの支援車両を見てきたという。

被災地の写真がたくさん

県災害バイク隊 小野精治さん:
何とかその地域を助けたいと思っても、それができない。やきもきされている周りの人たちの光景が先に(目に)入りました

そこで小野さんが思いついたのが、趣味だったオフロードバイクの活用。

バイク仲間と共に、7年前に災害バイク隊を立ち上げた。

“道なき道行く”災害バイク隊と県が協定

バイク隊は道なき道を走るため、毎月のように研修会を開いて、運転技術を磨いている。

秋には草木が生い茂る山の中で走行したり、冬には雪の中の道を進んだり。
どんな状況でも現場にたどり着けるよう訓練している。

雪にも負けず、走る

2017年には、被災地への医薬品や救援物資などの輸送について大分県と協定を結び、活躍の場を広げている。

県災害バイク隊 小野精治さん:
道がなければ道がないところを走るんです。私の思いはただ1つ。オフロードバイクを使って、「とにかく困っている人がいれば、そこにまずは駆けつける」ということで、一本の信念だけでこの隊を導きたいと考えます

毎年のように各地で災害が発生する中、災害バイク隊の今後の活躍が期待される。

【取材後記】
私が「大分県災害バイク隊」を取材するきっかけになったのが、職場の先輩とのある会話でした。

先輩:
今度、県庁で寄付金の贈呈式があるんだけど、こうして改めて見ると、いろんな団体に寄付されるんだねぇ~

私がちらっと見た先輩が持つ用紙には10ほどの団体名が記載されており、その中で一際目立っていたのが「災害バイク隊」という文字でした。

耳慣れない団体名が気になった私は、軽い気持ちでネット検索してみたところ…なんと、オフロードバイクで藪の中や雪山をじゃんじゃん走り回るインパクトのある映像が出てきたのです。
「こ…これは面白いぞ…。バイク隊の訓練をぜひ生で見たい!」と、すぐさま担当者に電話して取材に伺うことに。

バイク隊の練習場所はというと…文字通り「山の中」。
聞くと、私有林の一部を自分たちで切りひらいて訓練コースを作っているとのこと。
す…すごい。山の中ですから、当然 急斜面に加え、大きな岩がゴロゴロしており、歩くのも困難な場所なんですが、隊員の皆さんはバイクを巧みに操り、軽々と走行していくんです。

田辺智彦アナウンサー

私が「ほぉぉぉ~」とか「はぁぁ~」とか感嘆の声を漏らしていると…隊員さんが寄ってきて、「実は過酷な状況下で訓練するため、練習中に骨折することもあるんです」なんてことをサラッと言って、また訓練に戻っていくのです(笑)

災害時の活動ですから当然危険は付きまとうけれども、「バイク隊にしかできないことがあるんです」と、隊員の皆さんが話す様子に頼もしさを感じました。

現在20代から80代(!)まで男性45人が所属する大分県災害バイク隊は、隊員を大募集中だそうです。「オフロードバイク」および「人助けをしたいという熱いハート」をお持ちの方は、「大分県災害バイク隊」で検索してみてください!

(テレビ大分アナウンサー 田辺智彦)