長野・諏訪市の古材や古道具に再び命を吹き込み、多くの客を集める人気のリサイクル店がある。物だけでなく、持ち主の思いもくみ取って「橋渡し」をしていて、店は、その取り組みを「レスキュー」と呼んでいる。

古い物がいっぱい…種類も豊富なリサイクル店

古びた板や扉。年季の入った家具。

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「年代物」が所せましと並べられている。長野・諏訪市のリサイクル店「リビルディングセンタージャパン」。

家屋の解体で出た廃材や使われなくなったものを引き取り、販売している。鹿の剥製に、古材を切った時に出た「木っ端」でつくった一輪挿し、養蚕で使われていた「糸繰枠」など実にさまざまな物が売られている。

リビルディングセンタージャパン・岸本優芽さん:
物が持ってる歴史とか、そこにこもってる、どうやって使われてきたかの思いとかも含めて、私たちは次の世代につないでいきたいなと思っているので

通常のリサイクル店と大きく違うのは、カフェも併設していること。

古材や古道具の魅力をお茶を飲みながらゆっくり感じてもらおうと、内装や装飾はリサイクル品でできている。

客:
実家にあった古いものみたいなものがいっぱいあって面白い。実家壊しちゃったんですけど、ここに持ってきたら売り物になったものがいっぱいあった

客:
椅子とサンドイッチの箱とグラスを買いました。物を大事にしていていいと思います

オープンして5年ほど…

オープンしてまだ5年ほどだが、県内外から多くの客が詰めかけている。その秘密は一貫した店の姿勢にあるようだ。

『レスキュー』と呼ぶ訳は? 処分時の『後ろめたさ』救い上げる

提供・Rebuilding Center JAPAN

古材や古道具を引き取ることを、店では『レスキュー』と呼んでいる。

リビルディングセンタージャパン・岸本優芽さん
おうちを壊すとか物を処分するとか、片付けるって決断において申し訳ないなとか、もったいないことしちゃったという思いは少なからずみんな持っているはずなので、ちょっとした後ろめたさとかも何とか救い上げてあげたいなというところがあって、お引き取りさせていただくことを「レスキュー」と呼んでいる。今うちに並んでいる古材とか古道具は、全てレスキュー品

物に込められた「思い」も大事に…次の人に「橋渡し」

値札の上に書かれた数字。何年、何日の何件目に「レスキュー」されたものかを示す番号だ。

店は、どこの誰に使われていたかなどの情報もストックし、次の持ち主に伝えられるようにしている。

持ち主の思いを綴った「レスキューレター」

さらに、持ち主がどういう思いで使い、手放したかも…

レスキューレターが添えられた「扉」

レスキューレターのコメント:
1991年にオープンして以来、30年間…お店の顔として沢山の人の笑顔をむかえてくれたブラウンの扉…取っ手の部分が私たちのお気に入り。色合いも落ち着いた雰囲気をつくってくれます…次の人へも沢山の笑顔が届きますように

お気に入りだった「取っ手」

レスキューレターのコメント:
私たちの祖父が仕事で使っていたものです。お使いいただけたら嬉しいです

「仕事道具」に添えられたレスキューレター

リビルディングセンタージャパン・岸本優芽さん:
どうやって使っていたかとか、どういう思い出があるのかを手紙に書いてもらって、それを見て買うことを決めてくれた人に、そのお手紙に対して返事を書いてもらっていて、それをリビルディングセンターが間に入って元の持ち主さんに届ける

一方、レスキューはこんなところにも…

カフェで販売しているりんごのスコーン。実は8月の大雨で落ちてしまった松本地域の農家のリンゴをレスキューして作られている。

レスキューしたものを「再生」する

店は、持ち主の「思い」と共にレスキューしたものを「再生」する取り組みにも力を入れている。その一つがワークショップだ。

リビルディングセンタージャパン・千葉夏生さん:
きょうご用意している材は、ほとんどのものが古いお家の床板として使われていたもの。蔵の板が結構、多いですね

解体で出た床材を張り合わせて机を作った

この日のワークショップでは、4組の参加者が解体で出た床材を張り合わせてオリジナルの机を作った。

参加者:
なんか味あって面白いんじゃないかなって

リビルディングセンタージャパン・千葉夏生さん:
虫食いは本来、古材の価値としては下がる要素ではあるんですけど、おれらは自然にできた跡は面白いと思ってしまうところがあって

参加者:
なんかわからんけど『ストーリー』ある感じしますよね

捨てられたり、燃やされたりしてもおかしくなかった古びた床材が、味わいのある机に。リサイクルや廃棄物の削減は国連が提唱する「SDGs」に沿った取り組みで、近年 関心が高まっている。

木材選びから始めて4時間、机が完成した。

(Q.DIYって普段する?)
参加者:
いや、今回初めてです。前の人たちが使っていたっていうのを聞いて、思い入れがあるものなので、私たちもこれで思い出をつくっていきたいなって思います

参加者:
想像していたよりも、すごく仕上がりが良くてびっくりしました。今、SDGsが叫ばれてて、環境問題って建築っていうのも、すごく考えなきゃいけない分岐点に来ている。
単純に解体して捨てるのではなくて、何かしらの形で再生していくことが今後の建設業界の課題なのかなって、きょうのワークショップで改めて考えました

机が完成して…

物に込められた思いにも価値を見出す人々。「リビルディングセンタージャパン」はその橋渡し役となっている。

リビルディングセンタージャパン・岸本優芽さん:
私たちができるのは、これだけ大事にしてたこととか、こういう思い出が詰まっているもの、思いも全部ヒアリングして、できるだけそれを含めて物を次の世代につないでいきたい

(長野放送)