日本酒離れが進む中、コロナ禍で打撃を受ける日本酒業界。局面を打開しようと、鳥取県湯梨浜町の老舗酒造がフルーティな新商品を開発した。伝統を一新、社運をかけた挑戦を取材した。
清酒の出荷量は年々減少
週末の居酒屋で、日本酒について聞いてみると…。
――普段、日本酒を飲みますか?
男性客:
あまり飲まないですね。日本酒が嫌いなわけではないけど、ビールが好きなので
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/9/8/700mw/img_984d11329b37510b256afdc6cdedb2cb535672.jpg)
女性客:
私は大好きです。
――必ず飲む?
女性客:
でも飲むのは控えてます。翌日にひびくから…
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/f/700mw/img_5f3db97af227b3036e30b6bda16fa309465242.jpg)
近年顕著な日本酒離れ。ビールやカクテルなどの台頭で、清酒の出荷量はピーク時の昭和48年に比べ、令和元年は3割以下にまで落ち込んでいる。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/3/700mw/img_73f39064b3793a63853033bbf5ebd435306534.jpg)
フルーティーな5種類の日本酒 そのお味は?
本田航太記者:
湯梨浜町の東郷湖から、道を1つ挟んだ場所にある老舗の酒造会社。社運をかけた新商品の開発に取り組んでいます
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/3/700mw/img_53a09f62ed955a415563855f2abe3a9b373443.jpg)
こうした中、8月2日から販売が始まった日本酒「星取 PURPLE STAR」(2750円、720ml)。「鳥取県で一番星の企業になれるように」と命名された。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/0/700mw/img_a088653d2efccb6416837287421cc87b317041.jpg)
福羅酒造・福羅隆元社長:
全部で5種類あります
「星取」シリーズは、ライチ・梨・白桃・あんず・メロンの5つの風味で展開。デザインもおしゃれに工夫した。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/700mw/img_58de0a586614c7b04d0e83ae446c6f1f378059.jpg)
日本酒はちょっと苦手だという本田記者が試飲してみると…。
本田航太記者:
メロンのような甘い香りがします。口当たりがやわらかく、ジュースのようで非常に飲みやすいです。後味もスッキリしていて、とても美味しいです
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/6/700mw/img_a6307f8135ad4173a87adb14cfb94ba2441726.jpg)
「星取」シリーズには果物は一切使われておらず、風味を出すための添加物も入っていない。酒の原料となる酵母の温度や湿度を細かく管理することで、果物のような香りを再現することに成功したという。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/3/700mw/img_233f369614a417c20b88b3578c4f3720304456.jpg)
職人の感覚ではなく、温度と湿度をデータで管理
福羅隆元社長は、福羅酒造の5代目。明治時代から130年続く伝統を守り続けてきた。しかし、売上は近年右肩下がりに。コロナも追い打ちをかけ、2020年度はピーク時の4分の1に落ち込んだ。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/2/700mw/img_e2e1c4665c24776f0c51f30335eda5f8432564.jpg)
福羅酒造・福羅隆元社長:
もう社運をかけて、新しいことに取り組まなければならない。方向性を180度変える。そのくらいの覚悟がないとやっていけないと思いました
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/4/700mw/img_1499795a9176fdde067c98728b4965c1348078.jpg)
そこで福羅社長は、新規顧客を開拓しようと「甘口」の日本酒を考案。伝統的な辛口にこだわるプライドを捨てた新たな挑戦だった。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/6/700mw/img_160d285cd4a43333829614725be190aa468814.jpg)
福羅酒造・社員:
これが温度と湿度をリアルタイムで管理できるシステムです。これまでは職人がさじ加減で管理していました
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/e/a/700mw/img_ea77da897794a00c8600962afc35be90278437.jpg)
造り方も刷新。杜氏による職人の感覚ではなく、徹底的にデータでの管理をスタート。
こうして開発した「星取」シリーズは、鳥取県内の百貨店や酒屋で8月に発売され、売れ行きは好調だという。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/e/700mw/img_1e31f0c3e40fbfb939979b064d29da5e524994.jpg)
しかし…。
福羅酒造・福羅隆元社長:
まだ究極とは言えない、進化中。時代に取り残されないように、追いついていけるように、試行錯誤して改善していきたい。「日本酒売れない」って私自身が思ったら、それこそ先がない
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/1/700mw/img_c1a3de4fb8b9358c6ed2ca1d71cf3bd3503058.jpg)
福羅酒造・福羅隆元社長:
お客さんはもっと美味しいものを求められると思うので、その期待に応えたいと思います
老舗酒造が生き残りをかけた「星取」シリーズ。一番星として輝きを取り戻すことができるのか、注目だ。
(TSKさんいん中央テレビ)