「SDGsの先進的な企業になりたい」

国連が定めたSDGs週間に合わせて、フジテレビでは「アクション!SDGs」ウィークとして、様々なSDGs関連の取り組みをお伝えする。
20日は地域を巻き込み持続可能な取り組みに挑む塗装会社に迫る。

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岩手山など多くの山々に囲まれた街、岩手県・盛岡市。
この地で塗装や左官工事などを行う、川上塗装工業のサステイナブルな取り組みを取材した。

川上塗装工業・川上冴華専務取締役:
私たちは岩手県のSDGsの先進的な企業になりたいなという思いがありまして、中小企業が変わると地域が変わると思っているんですね。

作業の合間に各家庭で不要になった布の回収作業を行う川上冴華専務取締役。
これは川上塗装工業が行っている 「リンクアップウエス」という活動。

ウエスとは、塗装作業や清掃などに使われる布のこと。
以前は専門のウエスを年間30キロ分購入していたが、今ではそれらすべてを家庭の不要になった布でまかなっている。

さらに販売も行い、収益をインドの綿農家などに寄付していくという。

布を提供した人:
結構まとまった量が出て、家の中でもたまりがちだったんですよね。
自分も世界の役に立っているなって普通に生活していても感じることができるので、すごく嬉しい。

この取り組みは“新たな仕事”にもつながっている。

盛岡市内の福祉作業所「ミカサ」。
仕事が慢性的に不足している状態だったが、家庭から回収したウエスの裁断を行っている。

福祉作業所「ミカサ」・田中和子さん:
皆さんのお仕事が増えるということは工賃向上のためにありがたいです。
福祉作業所の利用者さんは人の役に立っているとか、やりがいとか目標とか、そういうのがあると生き生きとしますし、携われて、皆さんもやりがいがあるんじゃないかなと思います。

環境や地域のために塗装会社がはじめたこの取り組み。
今後はSDGsを学ぶためのイベントなども開催していく予定だという。

川上塗装工業・川上専務取締役:
SDGsは大きなことと捉えがちなんですけど、本当は自分たちの生活の中から始められることがたくさんあるんだというのを知ってほしい。私たちは岩手県のSDGsの先進的な企業になりたいという思いがあり、中小企業が変わると地域が変わると思っている。
私たちが先陣を切ってやることによって周りの企業とかも自分たちもできるんじゃないかとか、そういう意識を持ってもらいたい。

個人や会社が「やるべきことをやる」

佐久間みなみキャスター:
株式会社キャスター取締役の石倉秀明さんに聞きます。
これまでの当たり前をSDGsな視点で見直すと、変えるべきものが見えてくるのかもしれませんね。

キャスター取締役CROの石倉秀明さん:
SDGsは誰でもできるものですし、誰もが関係している例としてこういった事例が出てくるのは素晴らしいことだと思いました。

これからのビジネスは、グローバルトップなビジネスとローカルニッチなビジネスの2つに分かれていくと言われています。

グローバルトップというのは、GAFAのように国を超えたビジネスをやっている会社で、例えば脱炭素を目指してEVカーにシフトするという、SDGsの取り組みとしてイメージがしやすいという話は、こちらの企業群では非常に多いです。

ただ、日本国内で見るとほとんどの会社がローカルニッチなビジネスなので、これらの会社がどれだけSDGsを“自分ゴト化”して取り組めるか次第で、社会に対する影響は大きく変わってくると思います。

佐久間キャスター:
先ほどの塗装会社の場合ですと、これまで買っていたウエス・布を家庭で不要になった布に変えることでSDGsを自分ゴト化したということですね。

石倉秀明さん:
今回の企業は自分ゴト化できた例だと思いますが、SDGsが大事だといわれてもどこか他人事のように感じてしまったりとか、日々の仕事が忙しい中、何からやっていいかわからず優先順位が下がってしまう企業も多いと思います。

なので自治体や業界団体ごとに17の項目の中から重点項目を1つ2つ決めて、自治体や業界団体がそれを推進していくやり方もアリだと思います。

佐久間キャスター:
取り組むことを決めていく上で何か必要になってくることはありますか?

石倉秀明さん:
SDGsの17項目を読むと、どんな会社や個人にも当てはまることが書いてあります。

なので特別なことと考えずにやるべきことをやるという姿勢が大事なんだと思います。
例えば目標の1つに「ジェンダー平等の実現」というのがあります。
これは性別にかかわらず十分な能力を発揮できる職場をつくるということが含まれるので、当たり前に社会に求められていることをやるということです。

SDGsと聞くと壮大に聞こえますが、社会として当たり前に求められていることをみんながやる、その責任をみんなが負うことが大事だと思います。

佐久間キャスター:
新しいことに取り組むという考えから始めるのではなく、自分が今いる環境を改めて見つめ直すことが始まりの一歩となるのではないでしょうか。

それぞれの地域、ライフスタイルに合わせたアクションを考えていくことが、一時的ではなく持続可能な取り組みへと繋がっていくのかもしれません。

(「Live News α」9月20日放送分)