自民党総裁選は4候補による熱い論戦が始まった。果たして総裁の座につくのは誰になるのか?そしてその先にある衆議院選挙はどうなるか。政界のご意見番、亀井静香元建設相に聞いた。

亀井静香氏「4候補とも小粒だな。突破力が感じられない」
亀井静香氏「4候補とも小粒だな。突破力が感じられない」
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「岸田は蒸留水みたい。匂いも味もない」

――総裁選は候補者が4人となりました。このメンバーをご覧になってどう思われますか?選挙区が同じ広島だった岸田文雄さんはいかがですか?

亀井氏:
小粒だな、4候補とも。迫力や突破力が感じられない。河野ワンサイドではなく最終的に決選投票に流れていく可能性はある。岸田は蒸留水みたいだな。匂いもなければ味もない。先の参院広島選挙区再選挙では岸田が推した候補者が大差で負けた。弱いんだよね。宏池会(=岸田派)は元々お公家集団だから戦闘力に欠ける。

――清和会からの支援もあるようですが。

亀井氏:
ただ最近は派閥がきちっとまとめることが出来ないからね。派閥の親分にまとめる力がなくなっちゃった。だからなかなか大変な戦いだ。2,3位連合やるしかないね。

「高市は日本初の女性総理になる可能性」

――安倍前総理は高市早苗さんを支持していますが、高市さんをどう見ますか?

亀井氏:
彼女は元気だよ。発信力があるわな。世界は女性がトップになっていく流れがあるから、高市は2,3位連合で日本初の女性総理になっていく可能性もあるな。

――女性では野田聖子さんも立候補しました。

亀井氏:
ただ仲間が少ないんだな。20人集めるのに苦労しているでしょ。なかなか苦しい戦いだろうな。(夫婦別姓などの)主張は国民の多数には受け入れられないだろうし。

「2,3位連合で組んだら河野はわからない」

――そして今のところ国民の一番人気は河野太郎さんですが。

亀井氏:
2,3位連合で岸田と高市が組んじゃったらわからなくなるな。彼は河野家の3代目だな。私はお父さん(洋平元衆議院議長)には悪いことをしちゃったんだよ。自社さ政権をつくるとき河野(洋平)さんが総裁だったのに、社会党の村山(富市氏)を総理にしちゃった。借りがあるという気持ちがないわけじゃない。

――今回立候補を見送った石破茂さんは河野支持に回りました。

亀井氏:
石破もあんなふらふらしちゃいかんな。石破派をまとめていくことができなくなり、おそらく派閥の連中は言うことを聞かなくなる。石破派はこれで解散かもしれないな。

「進次郎は子分がいなければ力が無くなる」

――河野さんを支持する小泉進次郎さんについてはいかがですか?

亀井氏:
進次郞はよく知らないんだ。お父さん(純一郎元首相)は私を罠にかけた男だな。政策協定やると言うから総裁選を降りたのに、一日にしてひっくり返された。人事と政策を相談すると決めていたのに、相談しないで人事やっちゃった。(進次郞の)発信力?そうかねえ。子分はどれだけいるの?子分がいなければ力は無くなるな。この世界はどれだけ子分がいるかという世界だからね。

――菅総理も自身の派閥を持たなかった。

亀井氏:
あれは官房長官をやっていたからな。横滑りみたいに総理になっちゃった。(今回の不出馬表明は)敵前逃亡だよ。コロナ対策に専念するなんて嘘言っちゃいかんよ。彼のことは好きだったんだけど、最後にこういう逃げ方はいかんな。支持率が下がっていたってね、ゼロになったわけじゃないんだから。踏ん張らなきゃ。

亀井氏「菅総理、最後にこういう逃げ方はいかんな」
亀井氏「菅総理、最後にこういう逃げ方はいかんな」

「選挙協力できれば野党はいい戦いができる」

――総裁選で自民党に注目が集まる中、野党は4党で政策合意しました。

亀井氏:
野党はまとまらないとダメだな。共産党は国家観で決定的に違いがあるから、志位(日本共産党委員長)には言ってやったんだよ。「お前たちはいくら頑張ってもダメだ。日本人だと思われていないんだから」と言ったら「酷いことを言いますね」と。そこで「神社仏閣にお参りしないだろ。そんなのは日本人じゃない」と言ったら、「じゃあ成田山にお参りします」と志位は言っていたよ。

――総裁選で誰が選ばれるか予断を許しませんが、その後すぐに衆議院選挙が控えています。

亀井氏:
今の状況なら自民党はまあまあいけるだろうな。野党はコロナ対策できちっとした政策出していないでしょ。そうなると権力を持っている側に国民はつくよな。

だから野党はまとまらないと。共産党と「この選挙区は候補者を降ろす、ここはくれ」と協定をやらないといかんわな。そういう選挙協力がギブアンドテイクでやれるかどうかだ。それをやれば野党は結構いい戦いができるな。来年は参議院選挙だ。自民党は大勝というわけにはいかないからねじれが出てくるかもしれないな。いまは米中が対立し北朝鮮が日本に向けてミサイルを飛ばしているときだ。日本は国内でけんかしている場合じゃない。大連立だな。

――ありがとうございました。

9月17日午後、都内の亀井氏事務所にて。マスクは写真撮影のため外した
9月17日午後、都内の亀井氏事務所にて。マスクは写真撮影のため外した

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】

鈴木款
鈴木款

政治経済を中心に教育問題などを担当。「現場第一」を信条に、取材に赴き、地上波で伝えきれない解説報道を目指します。著書「日本のパラリンピックを創った男 中村裕」「小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉」、「日経電子版の読みかた」、編著「2020教育改革のキモ」。趣味はマラソン、ウインドサーフィン。2017年サハラ砂漠マラソン(全長250キロ)走破。2020年早稲田大学院スポーツ科学研究科卒業。
フジテレビ報道局解説委員。1961年北海道生まれ、早稲田大学卒業後、農林中央金庫に入庫しニューヨーク支店などを経て1992年フジテレビ入社。営業局、政治部、ニューヨーク支局長、経済部長を経て現職。iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授。映画倫理機構(映倫)年少者映画審議会委員。はこだて観光大使。映画配給会社アドバイザー。