近ごろは買い物でマイバッグを使うのが当たり前になったが、みなさんは他にどんな環境にやさしい行動をしているだろうか?

このように意識が高まる昨今、JR東日本は首都の通勤を支える山手線で、独自の“省エネ運転”に効果があることがわかったと発表した。

E235系 (出典:JR東日本)
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JR東日本によると、同社の消費エネルギーの約8割が列車の運転によるもので、これの削減を目指し、省エネ運転の研究に取り組んできた。

2016年にデビューして山手線などに使われているE235系は、従来の電車より省エネに優れているとされているが、さらに山手線の乗務員が“省エネ運転”を試行したところ、約10%のエネルギー削減効果があることが分かったというのだ。

省エネ運転とは、駅間の所要時間を変えずにエネルギーを削減する運転のことで、具体的には、加速時間を短くして最高速度を抑え、慣性で進む惰行時間は長く、そして減速時間も短くするのだという。

同社は山手線で省エネ運転をする乗務員が運転した走行データを分析し、理想的な「運転曲線」を抽出。

従来の運転と省エネ運転の運転曲線(出典:JR東日本)

E235系電車が備える車両モニタリング機能を活用し、取得したデータから駅間ごとの消費電力量、所要時間、加減速操作のタイミングなどを分析。省エネ効果と乗務員による再現のしやすさなどを考慮して、加減減速のタイミングを決めている。

山手線の省エネ運転の取り組みフロー (出典:JR東日本)

1年間続けると、約500万kWhの省エネ効果

この省エネ運転を山手線で1年間続けると、約500万kWhの省エネ効果があるとされ、約1400トンのCO2削減が見込まれるそうだ。なお、もし首都圏の在来線全線区で省エネ運転に取り組み、同様の効果があると仮定すると、年間約2.3億kWh(CO2約7.3万トン)の削減ができる見込みとのことだ。

現在、研究で使うデータの変換やダウンロードは手作業で行われており、今後は作業の自動化や、運転中の乗務員に最適な運転操作のタイミングを伝える方法などを検討するとしている。

なお省エネ運転の研究はこれまで実際に山手線で行ってきたものだが、現時点では省エネ運転の本格導入については未定だそうだ。ということは、山手線を毎日利用している人は、もしかしたら省エネ運転の電車に乗り合わせていたかもしれない。

そして、もちろん省エネは大切なことだが、「加速/減速を短くする」のは急加速/急ブレーキとは違うのだろうか? また省エネ運転のために乗務員は特別な訓練をするのだろうか?

JR東日本の担当者に聞いてみた。

加減速タイミングは「電柱」などで覚えます

――加速時間を短く、惰行時間を長く、減速時間を短くとは、急加速/急ブレーキではないの?

「急加速、急ブレーキ」にはなりません。過去の運転操作の実績から、多くの乗務員が運転しやすい省エネ運転曲線を選んでいます。

選んだ省エネ運転曲線は、加速時間を短くすることで最高速度をおさえたものです。また、過去の運転操作の実績から選択しているため、急ブレーキにはなりません。


――省エネ運転の乗り心地の変化は乗客にも分かる?

過去の運転操作の実績から、多くの乗務員が運転しやすい省エネ運転曲線を選んでいます。したがって、お客さまに違和感を感じさせることはありません。


――省エネ運転をする乗務員は特別な訓練をするの?

乗務員は免許取得の過程において、駅間の所要時間や速度を調節する技術を習得しており、省エネ運転のために特別な運転技術は必要としません。

省エネ運転は、これまでの運転の加減速操作のタイミングを工夫することにより行います。加減速操作を行うタイミングは、乗務員がその箇所の目標物(電柱など)を事前にマニュアル化して記憶することで、省エネ運転を実施しています。

出典:JR東日本

――隣駅のホームが見える、日暮里~西日暮里間のような短い区間でも省エネ効果はある?

試行の結果、省エネ効果が大きい駅間と小さい駅間がありましたが、全ての駅間において省エネ効果を確認できました。

今後は、省エネ効果に影響を与える要因についても究明していきたいと考えています。駅間距離による省エネ効果への影響は明らかではありませんが、日暮里・西日暮里間では省エネ効果を確認できました


――省エネ運転はほかの路線にも導入する?

E235系の導入を進めている総武快速・横須賀線においても同様の取り組みを実施する予定です。


――ちなみに自動運転はやらないの?

省エネ運転のATO(自動列車運転装置)への適用について検討を進めています。ATOに適用した場合でも一定の省エネ効果は見込めると考えています。


JR東日本は、2050年度のCO₂排出量を「実質ゼロ」にすることをグループ全体の目標にしており、今回の省エネ運転はその一歩になりそうだ。日本社会が脱炭素社会に向けて進む中、私たちにもマイバッグから一歩進んだエコ活動が求められているのかもしれない。

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