ミャンマーでは、実権を握った国軍に対して武装した市民たちの攻撃が活発化。状況はさらに混沌としている。こうしたなか、国軍は各国の外交官を招いた説明会を開いた。

説明会には日本大使館の職員も参加している。国際社会では孤立を深め、国内では民主派が「統一政府」を樹立し、抵抗の姿勢を崩していない。内外の批判が続く中で、国軍側は打開の糸口を見いだそうともがいている。

民主派が「攻撃開始」を宣言

2021年9月7日、民主派が樹立した統一政府(NUG)が国民に国軍への「蜂起」を求めた。これ以降、各地で国軍への攻撃が相次いでいる。国軍系企業が出資する通信事業者の施設が次々に破壊され、中部の都市モンユワでは、9日治安部隊のそばで爆発が起き1人が死亡、数人が負傷するなど各地で散発的な攻撃が続いている。

国軍が関連する通信事業者の施設を破壊
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中国やロシアのほか、日本の姿も

NUGの攻撃開始宣言の2日後となる9日、国軍は最大都市ヤンゴンの国営放送のホールで各国の外交官を招き説明会を開いた。国軍側は国連も含めた各国の大使館や機関に招待状を送り、中国やロシア、北朝鮮、シンガポールやインドネシアなどのほか、日本、韓国、オーストラリアに国連など、27の国と2つの国際機関が参加した。

説明会には国軍側の幹部5人が出席、壇上のスクリーンに資料を映すなどしながら約1時間半にわたってミャンマーの現状を説明した。報道陣に非公開で行われた説明会で国軍側は、新型コロナウイルスの感染対策についてや、経済発展のために各国の投資を歓迎する姿勢を伝えたという。

国営放送で行われた国軍側の説明会

クーデターによる混乱に加えて新型コロナウイルスの感染拡大により、ミャンマー経済は壊滅的な打撃を受けている。世界銀行は2021年度のミャンマーの経済成長率がマイナス18%になる見通しだと発表した。

ラスト・フロンティアと呼ばれ、日本企業を含め多くの海外企業が進出していたミャンマーだが、クーデター後の事業継続は依然不透明な情勢だ。国際社会やミャンマー市民の反発を受けて、国軍関連企業との取引を停止する外国企業も増えている。国軍側はこうした動きを何とか食い止めようと必死なのだ。

そして話題は“本題”に移る。

各国に求める「正当性」

国軍が各国に改めて理解を求めたのは、「クーデターの正当性」だ。

まず、アウン・サン・スー・チー氏率いる与党・国民民主連盟(NLD)が圧勝した2020年11月の選挙について、中間調査の結果を発表した。国軍側はクーデター以前から選挙に不正があったと主張し、選挙の無効を訴えてきた。説明会でもこの主張を繰り返した形だ。会場の入り口にも与党側の不正の証拠とされる写真が大量に張り出されていた。

国軍による市民への弾圧でこれまでに1000人以上が殺害され、逮捕者は8000人を超える。国際社会は弾圧を止めるよう求めているが、国軍側が弾圧を止める動きはない。逆に「抵抗する市民側が起こした事件とその被害」について説明し、治安維持の必要性を強調した。クーデターを起こしたことや、その後の国家運営など国際社会に何とか自らの主張を認めさせようと躍起となっているのが伺える。

これ以上の混乱は避けたい各国側だが、国軍の主張をどう受け止めたのか。参加者の一人は、「センシティブな内容なので何も言えない」と口を閉ざし、対応の難しさをにじませた。

入口に貼り出した選挙の不正を主張する写真

不透明さを増す先行き

だが、国軍の実権掌握を既成事実化する動きに、民主派は反発を強める。統一政府の蜂起の呼びかけによる国軍への攻撃がさらに活発化すれば国内の情勢は一層不安定となる。ミャンマーの先行きは不透明さを増している。

【執筆:FNNバンコク支局 池谷庸介】