東京オリンピックを戦い終え、史上最多の計4個のメダルを獲得した卓球の日本代表。祭典から1カ月が経ち、9月12日には五輪報告会が行われるなど、メダリストたちは今も忙しい日々を送っている。

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そんな中、女子日本代表のリザーブメンバーだった日本生命レッドエルフの早田ひな(21)が、卓球Tリーグ女子の開幕戦に出場し、初戦を勝利で飾った。

「大会を一つ一つクリアしていく先に、パリオリンピックがあると思う」

そう話した早田は、すでに3年後のパリオリンピックへと標準を合わせている。東京で見たライバルの存在が、彼女を突き動かしていた。

最高のライバルを追いかけて

東京オリンピックで3大会連続のメダルを獲得した卓球女子日本代表。
そのリザーブメンバーを務めた早田は、ボール拾いや練習相手として日本チームを影ながらサポートしていた。

混合ダブルスで金メダルを獲得した伊藤美誠(20)は、「朝早くから夜遅くまで帯同してくれて、皆で戦ってるんだなっていうふうに感じたので、毎日感謝しっぱなしでした」と早田の存在について語っていた。

幼い頃から切磋琢磨してきたライバルの伊藤美誠が大舞台で輝く中、スタンドで見守ることしかできなかった早田は、その状況を悔やむのではなく、冷静に捉えていたという。

「リザーブという形で経験させて頂いて、本当に色んな視点で試合を見たり、選手一人一人と接することが多かった。伊藤選手は、すべて金を目指してやってきていたので、シングルス・団体と金メダルを取れず悔しい表情をしているのをみていると、オリンピックは厳しい世界だと思いました」

そして大会直後、早田は自身のSNSで次のように投稿していた。

「今回私は彼女に沢山の勇気と感動をもらいました。
親友でもありライバルでもある、お互いに切磋琢磨しながら強くなっていける存在に感謝したいです」

ライバルの活躍に、強い刺激を受けていたのだ。

夢舞台へ向けた新たな決意

オリンピックから約1カ月が過ぎた9月2日、アメリカ・ヒューストンで11月に行われる世界選手権の選考会が行われていた。

伊藤はオリンピックでメダルを獲得し、世界選手権への出場はすでに決めている。負けられない早田は、勝てば切符を掴める決勝リーグの最終戦で開始早々、1ゲームを落としまう。

それでもオリンピックで輝いたライバルに近づくため攻め続ける早田は、立て続けに4ゲームを奪取し、逆転で代表の切符を掴んだ。

世界選手権には初のシングルス、そして女子ダブルス、ミックスダブルス(混合ダブルス)代表として挑む。

「(伊藤と)同じ土俵に立てたことは嬉しかったんですけど、でも目指すところはそこじゃないので、世界選手権でも金メダルを目指して頑張りたい」

東京オリンピックではコートに立てなかった早田だが、新たな経験を得て、次のオリンピックを見据えている。

「大会を一つ一つクリアしていく先にパリオリンピックがあると思うので、目の前の試合を今は頑張っています」