熱海市土石流災害現場で、のべ2万3000人が捜索活動にあたってきた自衛隊。

自衛隊はどのように活動していたのか。
隊員たちが寝泊りしていた拠点を、特別に許可を得て取材した。

7月3日撮影 自衛隊は派遣要請から20分後には出動 
7月3日撮影 自衛隊は派遣要請から20分後には出動 
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落合健悟記者:(7月30日)
熱海市伊豆山です。大規模な土石流災害を受け、自衛隊は連日、人命救助活動を続けています

自衛隊は発災直後、県知事の要請の20分後に出動し、人命救助にあたった。

隊員:
自衛隊です。誰かいませんか

土石流に襲われた地区から住民を救出する様子(撮影:陸上自衛隊)
土石流に襲われた地区から住民を救出する様子(撮影:陸上自衛隊)

多い日で約1200人の隊員の指揮にあたったのが、第34普通科連隊の深田満男連隊長だ。

第34普通科連隊・深田満男連隊長:
活動の最初の頃は、まさに泥が腰のあたりまで入り込んでくる状態で、足を取られる。体力的にも非常に厳しい捜索活動でありました

降り続いた雨で、たびたび活動が中断される場面もあった。

第34普通科連隊・深田満男連隊長:
上で警報が鳴るんですけれども、胴まで泥に浸かっている状態で、逃げるにも逃げられない状況でしたので。二次災害というのが非常に怖かったんですね

泥につかりながら懸命にスコップを握る隊員
泥につかりながら懸命にスコップを握る隊員

梅雨が明けてからは暑さとの闘い。
熱中症に気を付けながらの過酷な作業となった。

落合健悟記者:(7月30日)
土石流の現場から約4キロほど離れたこちらの敷地を使って、自衛隊は活動を続けています。ご覧の様に隊員が寝泊りするため、テントがずらりと並んでいます

隊員約200人が寝泊りしている「集結地」。

テントが並ぶ集結地 熱海市
テントが並ぶ集結地 熱海市

第34普通科連隊・深田満男連隊長:
集結地というのはこのように天幕が貼られていますけども、隊員たちの給食、休憩、あとは車両の給油も実施しつつ、日々の作戦を練りながらどのように活動するか決定する所であります

そして、活動を終えた隊員たちはテントで体を休める。

第34普通科連隊・深田満男連隊長:
中を見ていただければ分かりますが、このような形でベッドを置いております

6人用のテントの中に簡易ベッドが二つ。
間にはビニールの仕切りを設け、ベッドの向きを逆にするなどの感染対策も取られていた。

感染防止のためベッドの向きは互い違い
感染防止のためベッドの向きは互い違い

活動中の隊員たちの楽しみの一つが夕食だ。夕食は集結所の中の「炊事車」で作られる。
6個の釜を搭載していて、約200人分のごはん、汁物、おかずを一回で作ることが出来る。
この日の夕食はハンバーグとスープ、それにサラダとプリンもついていた。

集結所で食事をとる隊員
集結所で食事をとる隊員

そして隊員たちが最も励みになるというのが、自衛隊に向けた感謝のメッセージだ。

第34普通科連隊・深田満男連隊長:
このまさに「自衛隊さんありがとう」とシンプルな言葉ですけど。こころに響くのは、やはり「ありがとう」という言葉だと思います。メッセージも色んなところに貼ってくださっている。それを見るたびに頑張らなきゃなと思う

自衛隊に住民から寄せられた感謝のメッセージや絵
自衛隊に住民から寄せられた感謝のメッセージや絵

さまざまな人たちの思いを背負って活動を続けてきた自衛隊。

第34普通科連隊・深田満男連隊長:
行方不明者の思い、家族の思い、関係者の思い、それをくみ掘り進める。絶対にあきらめないというのを肝に据えて、しっかりやっているというのが隊員の気持ち

第34普通科連隊・深田満男連隊長「絶対にあきらめない それが隊員の気持ち」
第34普通科連隊・深田満男連隊長「絶対にあきらめない それが隊員の気持ち」

約1カ月間、のべ2万3000人を動員し16人を救助した自衛隊は、被災地に黙とうをささげ、7月31日 現場から撤収した。

今後も捜索活動は続くが、自衛隊の活躍は被災者の心に深く刻まれている。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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