温室効果ガス削減に向けて、地球温暖化対策計画の改定案が大筋了承された。
これは、中長期の気候変動対策の基本となるものだ。
菅政権は、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2013年度に比べて46%削減する目標を掲げている。達成に向けた具体的な削減量が、経済産業省と環境省の有識者会議で示された。
計画案では、電気やガスなどのエネルギー使用に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量について、家庭部門は66%、オフィスなど業務部門は50%削減するほか、運輸部門は38%、産業部門では37%減らす。産業部門は、ほかと比べ、目標としている削減幅が少ないが、CO2を大量に排出する鉄鋼や化学工業で代替となる手段を見出しにくいことを踏まえたものだ。
削減の具体策として、電動車など次世代自動車の分野で販売割合を上げ、新車の燃費向上を促すことなどで、2030年度の排出量を2013年度に比べ2476万トン減らすほか、トラック輸送では、効率化や共同での配送の取り組みを進め、1180万トンの削減を目指すとした。
オフィスビルなど業務部門では、空調や照明などで省エネ機器の導入を促す。家庭部門では、断熱効果の高い窓製品や省エネ建材のほか、高効率の給湯器や燃料電池、LED照明の普及などを掲げ、給湯器と照明での取り組みで1413万トン減らし、食品ロスの削減やクールビズ・ウォームビズの徹底など脱炭素型ライフスタイルへの転換を進める。このほか、森林整備を通じ、2030年度に約3800万トン分のCO2吸収量を確保する。
政府は、今年10月末にイギリスで開催予定の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議までに閣議決定を目指す。
国をあげての取り組みの実効性が問われることになる。