安心な大会を目指す東京五輪が後半戦に入った。連日、日本人メダリストが誕生し、史上最多の金メダルを獲得するなど盛り上がりを見せている。

一方、コロナ禍での大会の運営について「大会が始まれば問題も出てくる。そこをどう修理しながら進めていけるかが大事だ」と大会関係者が開幕前に話していたように、感染対策の徹底のためにプレーブックで定められた方針と実際の運用の様子とでは異なる点もあるようだ。 

消毒液は至る所に設置 しかし食事スペースではノーマスク姿も

感染対策の基本は手指消毒だ。どの会場にもアルコール消毒液が至る所に見受けられ、出入り口という出入り口すべてに消毒液が置かれているといっても過言ではない。どのスタッフからも手指消毒が促され、基本的な感染対策の徹底に向けた対応がなされていると感じた。 

各会場には記者が原稿を書いたり、撮影の準備をしたりするためのメディアセンターがある。個人のスペースはアクリル板で正面と左右が区切られており、感染対策がしっかりと施されているが、気になったのは部屋の一角にある共有スペースだ。コーヒーやスナック、会場によってはバナナや菓子パンなどが用意された休憩のためのスペースでは時折、集まってマスクを外したまま会話を楽しむ姿も目にした。メディアセンター内での飲食は禁止されていないのだが、窓を開けて換気がされているとはいえ、黙食の徹底を呼びかけ意識してもらうなどの配慮が必要かもしれない。

選手インタビューの90秒ルールも形骸化?取材ルールの徹底度合いは?

試合直後の選手へはインタビューの機会が設けられている。競技を終えた後、選手がすぐにカメラの前で感想などを話す姿が映し出されるのはそのためだ。試合直後の生の声をテレビなどを通じて届ける事が出来る貴重なタイミングである一方で、選手の状態や気持ちを最大限考慮して取材しないといけない。笑顔がはじけることも、力強い言葉や名言が生まれることもあれば、こちらが声をかけることをためらってしまうような場面もある。

今回の東京大会は、このインタビューにも感染対策が施されていて、選手と記者との間は2m以上の距離を取った上で90秒以内に収めることとプレーブックで定められている。これは長時間の接触による濃厚接触を避けるほか、試合後に疲労のたまっている選手の負担を考慮した措置でもある。

しかしこのルールについては海外メディアの中で半ば形骸化しているように見受けられた。日本選手のインタビューより前に始まっていた海外選手のインタビューが、日本選手のインタビューが終わった後も続いていることが多い。3分以上インタビューが続くこともたびたびあった。選手がその対応を負担に思っていないというのであれば良いのかもしれないが、コロナ禍の大会での感染対策という面で考えると多少の疑問が残る。 

“拍手で応援”とのルールの一方 大声で声援送る関係者も 

試合後のインタビューを重ねていると、観客の応援がどれだけ選手の力になっていたのかを実感する場面が多い。「無観客にはまだ慣れない」「ちょっとさみしい」との声が聞かれる中、「試合が出来るだけでも幸せ」「メッセージやSNSで応援をもらっているので期待に応えたい」と常に前向きな姿勢で多くの選手が五輪の舞台に臨んでいる。 

会場では飛沫の防止のために、試合をしていない選手や関係者による応援であっても声を出さない拍手などでの応援が推奨されている。それゆえ点が入る度、技が決まる度に両手を大きく叩きながら応援する観客席の監督コーチや選手団の姿をよく目にする。 

しかし感情が抑えられない場面も多いようだ。自国の国旗を掲げ、大声で声援を送る関係者。大半の国がルールを守る中、大勢の関係者がまとまって「頑張れ!」と自国の言葉で声援を送る姿が話題となる場面もあった。他方、競泳など各国の選手が出場するレース形式の競技では、競技日程のない選手たちが客席に集まり、レース本番に臨む選手たちに国境を越えてエールを送り合うオリンピックならではの様子も見受けられた。その中でも声を届かせようと思うあまりか、マスクを外して声を飛ばした後にマスクをつけ直す客席の選手もちらほらいた。心が動かされると意識せずとも声が出てしまうのがスポーツの力だと思う。コロナ禍での大会という環境の窮屈さを感じる場面が多かった。

安心・安全を継続、パラリンピックにつなげるために

組織委員会は8月1日、新型コロナ対策の指針である「プレーブック」が適用された7月1日以降、指針違反で処分した大会関係者が28人にのぼることを明らかにした。観光目的で選手村から無断で外出したジョージアの柔道銀メダリスト2人を含む6人は参加資格証を剥奪された。また8人は参加資格証の効力を一時停止処分を受けた。

選手村
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開幕から1週間が経ち、すでに競技日程を終えて自国に帰国した選手団もいる。一方で、これから始まる競技のために入国する選手団も未だ多い。オリンピックのあとにはパラリンピックが控える。IOCをはじめ、組織委員会、政府が「違反には厳正に対処」しているように現状にあったルールの不断の見直しも求めたい。

(フジテレビ 五輪取材班 亀岡晃伸)

亀岡 晃伸
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