新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。

シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法など健康に関する悩みをわかりやすく解説。

今回は、福岡県飯塚市にある、飯塚病院感染症科部長の的野多加志先生に、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンについて、接種後の副反応はなぜ起こるのか、副反応が出た場合の対処法などの話を聞いた。

この記事の画像(8枚)

2回目の接種で副反応が強く出る理由

飯塚病院感染症科部長・的野多加志先生: 
今回は、2回接種のワクチンが流通しています。ファイザーもモデルナも2回打つことになりますが、打った場所の痛みは、1回目も2回目もある一定の頻度で起こる。筋肉に針を刺すので、いわゆる打撲したような痛みと一緒です。

これは反応どうこうではなく、単に打った場所が痛い。人によりますが、6~8割の方が多少なりとも感じると言われています。そこはあまり恐れる必要はありません。数日以内に確実に良くなります。

もう一つは全身の反応。発熱や関節の痛み、怠いといった症状が起こりますが、これは2回目の接種後に多いと報道されています。

どういうことかと言うと、1回目のワクチンでだいたい体に免疫が7割前後付くと言われています。(野生株:非変異株の場合)

2回目のワクチンを打つことで94~95%まで効果が立ち上がる、そして長く持つ。我々ブースターと呼んでますけど、効果を立ち上げて、かつ長い期間持たせるために2回目を打つので、体の反応としては明らかに2回目の方が強く出ます。

年齢にもよりますが、2回目のワクチンで65歳以上だと10%前後、30~40歳だと3~4割ほど発熱すると言われています。結構な頻度です。

ところが、発熱とか少し怠いという症状は、打った翌日には起きますが、その後2~3日と長く続くものではないので、あくまでも体の免疫が反応していわゆる効果を持続しようと、1回目のワクチンの効果を高めようとしている反応になるので悪いことではありません。

逆に発熱とか怠さがなかったけど本当に免疫付いているのか、と不安になる人もいますが、そこも研究結果は出ていて、発熱や倦怠感がない人もきちっと免疫は付いている。つまり、1対1対応ではないと言われています。

全身症状が出ても、出なくても不安になる必要はありません。2回目の後は体の反応が起こりやすいということがわかっているか、いないかで、副反応が出た時の不安の強さが違うと思います。

発熱などの副反応には解熱剤を

仮に腕が痛い、頭が痛い、熱が出たという時に市販の薬など解熱鎮痛薬を使うのは構いません

このタイプの解熱鎮痛薬はダメだということもないので、症状にあった痛み止め、解熱剤を飲むことが適切な対処法になります。

こういう話を聞くと、予防のために大量に薬を飲んでおこうと考える人がいますが、裏返せば
6~7割の人は副反応は起こっていない。ですので、起こったときに対処する。これが世界的に薦められている方法です。

ワクチンは”希望の光

ワクチンに関しては、必ず100%みんなが打たないとこの戦いに負けてしまうわけではありません。

ですので、不安が強くて少し待とうかなとか、ワクチンの成分にアレルギーがあるから打てませんという人達を非難してはいけないと個人的には思っています。

ただ、今回のワクチンは1つの大きな光、大きくゲームチェンジする可能性がある希望の光だと思っています。

打つかどうか迷っている方でこの映像を見て、やはり打とうかなと考えが変わった人がいたら、私が話した意味があるのかなと思います。

治療薬が開発されるまで命を繋ぐ

医療従事者に限らず、みんなが1年以上コロナと闘っています。皆さんが頑張ったからこそ、第4波、第3波すべてが下がったわけです。医療従事者だけではない、みんなが頑張っているわけです。

この頑張りを長く続けるのは辛いこと。この頑張りの先に1つの希望の光が見えた、これがワクチンと考えられます。

さらに、もう一つ先にもっと明るい未来、つまり治療薬が開発されるはずなので、我々はそこまで命を繋がないといけない。そして大事な人を守らなくてはいけない。今そういう時期にあると思っています。

(前編:体の遺伝子を書き換えることはない…「ファイザー」「モデルナ」 “mRNAワクチン”の仕組みを感染症専門医が解説
(【特設ページ】新型コロナウイルスやワクチンの最新情報はこちら

名医のいる相談室
名医のいる相談室