たとえ若くても、できる事はたくさんある。
動物虐待が後を絶たない中、子ネコたちを保護し、里親に引き渡している中学生の男の子が静岡・富士市にいる。
「ネコも人も、命の重さは同じ」。子ネコたちに愛情を注ぐ中学生を取材した。

小学5年から子ネコの保護を始める
子ネコが哺乳瓶から一心にミルクを飲んでいる。
富士市の中学1年生・赤石朔(さく)さん。
赤石朔さん:
けっこうミルクが減ってる。10ミリリットル以上飲んだんじゃない?
母親と一緒に、小学5年生の頃から子ネコを保護して里親を探す活動をしている。
赤石朔さん:
2匹の子ネコの里親になったことがきっかけで、それでネコたちを取り巻く過酷な現状を知って…それを見過ごせないと思って、この活動を始めました

2019年、全国で殺処分されたネコは約2万7000匹。
飼いきれずに捨てる人だけでなく、無計画に繁殖させてしまい、多頭飼育崩壊に陥る人もいる。
助けた命は140匹以上
朔さんは中学校から家に帰ってくると、休む間もなくネコたちの世話を始める。
朔さん:
大洲(ダイス=ネコの名前)、大丈夫? 日に日に大きくなってるね

子ネコがノドを鳴らしている。
朔さんは、いま保護している子ネコ22匹、みんなを見て回る。
朔さん:
月餅(ゲッペイ=ネコの名前)はまだちょっと人に慣れてなくて…食べた、食べた。よしよし

これまでに朔さんが保護したネコは約140匹。1匹1匹に、家族の証として名前を付けている。
体調を崩しやすい子ネコたち
朔さん:
あ、鼻水が出ている
母・赤石雪さん:
本当だ。顔がしょぼくれた顔してるね
子ネコたちは急に体調が変わるため、体調チェックが欠かせない。ミルクも、生後間もない子ネコには2~3時間おきに与えなくてはならない。

朔さん:
大変ですが、誰かがやらないといけないことですし。いま自分ががんばったら、もっとたくさんのネコも幸せになれると思って。ネコたちも人間と同じ命ですから、大切にしなくてはいけない
母・赤石雪さん:
多頭飼育崩壊の家に一緒に行って、ネコを救ってきたことがあります。この子の年齢では見たくない、見せたくないようなことが一杯でしたが、すごいと思ったのはその場からも逃げない。激しい強さではないが、本当に芯が強い

保健所も朔さんを頼りに
子ネコの保護を赤石家に依頼する保健所も、朔さんを頼りにしている。
朔さん:
この子たちは、きょうの9時半頃に保健所から連絡があって迎えに行った子です。3人(匹)います

富士保健所・長谷川久班長:
数時間おきにミルクをやったりしてくれるので、安心して預けることができます。本当にありがたい存在。朔くんの活動は、若い人でも無力ではなく、子ネコを助けられることを示しています
幸せなネコの姿が”原動力”
この日、朔さんが訪ねたのは3匹の子ネコを託した里親の家。保護したネコたちと久々の再会だ。ネコたちは、とても大きく成長していた。

里親家庭は、朔さんと同じぐらいの年の子供もいる。
ネコたちの里親:
うちの子と年も変わらないのに、すごいことやってるなと。朔さんの活動を全然知らずに譲渡会に行って、そこで知ってすごい驚きました
そんな朔さんに一家が見せてくれたのは…
ネコたちの里親:
令和2年10月2日生まれ、女の子。よくご飯を食べる、この家の女王様です
ネコたちのアルバムだ。

母・雪さん:
みんなに愛されて幸せだね。ありがとう
朔さん:
すごく大きくなっているし、自分たちを覚えていてくれたこともうれしくて。里親の家にもなついてくれているところも、すごいうれしい
幸せそうに暮らすネコたちが、朔さんの原動力。
生まれてきた全ての命が幸せになるように…
朔さんを、優しい思いが突き動かしている。

朔さんたちは、「ベルソー・デ・シャトンズ(フランス語で子ネコのゆりかごの意)」という団体を作って活動している。家族的な運営なので、ネコの保護にかかる費用はほとんど持ち出しという状況で、支援者を募集している。
また子ネコの里親も募集している。譲渡会などを開いているので、ホームページで情報を確認してほしい。
注意してほしいのは、朔さんたちは子ネコを保健所から引き取っており、一般の人から直接の引き取り依頼は受けていないこと。子ネコを直接持ち込むことは、絶対にしないでほしい。
(テレビ静岡)