札幌ドームで行われたなでしこジャパンの試合。

開始を知らせるホイッスルが鳴ると、静寂の中、日本とイギリスの選手、そして審判、ピッチ上に立つすべての人が片膝をつく姿があった。

この行動について主将の熊谷紗希選手は「(初戦からこの行動をとっているイギリスの姿を見て)自分たちも人種差別を考える良いきっかけになった。もちろん人種差別があってはならないことだと思って私たちもやりました」と、チーム全員で話し合って決めた「人種差別への抗議活動」だったと口にした。

この光景を見て、人種差別へ抗議の意思を示しながら全米オープンを戦い抜いた大坂なおみ選手のことを考えた。

全英オープンを欠場した彼女だが、『日本代表として五輪に出場できることに誇りを持っている』と東京五輪出場を決めた。

偶然なのか、キックオフ20分前の札幌ドームには前日行われた開会式の映像が流されていた。最終聖火ランナーという大役を務めた彼女の立った国立競技場と札幌ドーム、距離は900キロ以上離れているものの、両者に通じるものを感じざるを得なかった。

改正されたIOCのガイドライン

五輪の舞台で信条を表現することについて実はIOCは今大会からガイドラインを変更した。
表彰式や競技会場での政治的・宗教的・人種的な宣伝活動を禁じた五輪憲章第50条を巡り、規制を一部緩和し、特定の国や人を標的にしない・妨害行為とならないことなどを条件に、競技会場でも選手入場時や紹介時の表現行為を今月容認したばかりだった。

(執筆:フジテレビ報道スポーツ部 斉藤葵)