バレエ公演本番の朝、腹痛に襲われ…

『最後のレッスン』というタイトルの本が、6月に出版された。

著者は子どもたちを教えるバレエ講師。執筆のきっかけは、非常に稀な女性のガンを患ったことだった。この“最後のレッスン”で伝えたい言葉とは。

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島根県松江市で30年以上にわたりバレエを教えている若佐久美子さん、53歳。

6歳でバレエを始め、京都のバレエ専門学校を卒業後、21歳で松江に帰郷。1989年にバレエスクール「ラルジェス」を開設した。

スクールからは、海外のバレエスクールに留学を果たす生徒も出るなど、運営は順調に進んでいた。その矢先のことだった。

2005年8月、隠岐公演の本番当日の朝、当時37歳だった岩佐さんは急な腹痛を感じ、救急搬送された。

2%〜5%の稀ながん 治療法は確立されていない

若佐久美子さん:
卵巣のう腫が大きくなって、捻転を起こして。痛みで脂汗が出て救急車で運ばれた

下された診断は、悪性卵巣のう腫。卵巣がんの一種だった。中でもわずか2%~5%という稀な腫瘍「卵巣顆粒膜細胞腫」だった。

非常に稀ながんのため治療法が確立しておらず、根治が難しいのが現状だという。

若佐さんは再発を繰り返し、6度の手術を受けたものの完治は難しいとされている。

若佐久美子さん:
抗がん剤は一応あてます、やってみましょうと。でも効かないかもしれない。もう抗がん剤は無理だということになれば、最短で1カ月半後にホスピスですけど、それもわかっていますか?と言われて…

「ホスピス」とは、延命治療をせず苦痛を和らげる緩和ケアを指す。つまり、死が迫っていることを意味している。

"自分に残された時間"にできることは…たどり着いたのが本の出版だった。闘病生活に加え、バレエに対する自身の指導理論を綴った。

若佐久美子の著書『最後のレッスン』

みんなに伝えられたら、うれしい

内観することが大切。自分を知れば、それは自信につながるよ。(『最後のレッスン』より)

生徒:
指導者として、すごく尊敬しています。自分の将来や今の自分に繋がることがたくさん書いてあって、本を読み続けたいと思いました

生徒:
ここで指導されているうちに、もっとこれから色々なことをたくさん学ぼうと思いました

若佐久美子さん:
わかっている理論をどうしたら子どもに伝えられるのか、ちょっとした働きかけで変わるんだとうことを知ってほしくて。それをみんなに伝えられたら、うれしいなと思う

今日が「最後のレッスン」になるかもしれない。ひとつひとつの言葉が、日々重みを増している。

(TSKさんいん中央テレビ)