豆乳の国内生産量が10年連続過去最高を更新

ヘルシー飲料として愛飲している人も多い”豆乳”。実は、この豆乳の国内生産量が右肩上がりに伸び、2020年まで10年連続で過去最高を更新しているという。

日本豆乳協会によると、2011年の豆乳(豆乳飲料などを含む)の国内生産量は約22万キロリットル。この年に過去最高を更新して以来、毎年増加。2020年は約43万キロリットルで、10年で倍増に迫る生産量となっているのだ。

確かにスーパーに行くと、いろいろな豆乳飲料が並び、さらには、豆乳鍋用の商品などを見かける機会が増えた。これまで以上に健康志向が浸透し、消費者のニーズが変わってきたということなのだろうか?

国内生産量が増え続けている現状について、日本豆乳協会の担当者に詳しく話を聞いてみた。

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メーカーの努力でおいしくなったことが一因

――かつて“豆乳ブーム”があったと思うが、それはいつ頃?

1980年代に、健康志向の高まりから、豆乳愛飲者が増加したものの、大豆の青臭さが気になるという人が多く、一過性のブームとなりました。その後、各豆乳メーカーは品質改良に取り組み、大豆の青臭さを抑えたおいしい豆乳が市場に流通される要因あり、健康志向もさらに高まり、生産量が伸びました。

しかし、海外の論文で、通常の食事では摂取できないイソフラボンの過剰摂取の警告等による市場の混乱があり、生産量の伸びがストップしたため、結果的には(2005年ごろから)第二次ブームと言われるようになりました。


――いつ頃から豆乳のえぐみなどが抑えられるようになった?

大豆特有のえぐみや臭みが出ないような製造方法を確立したことに加え、美味しく飲める豆乳に適した原料大豆の選別をしたことが主な品質改良になっています。1984年頃から、豆乳市場が低迷した時期の約10年、各メーカーが品質改良を重ねて、徐々に風味が受け入れられるようになってきました。品質改良は今も継続されています。


――10年連続で国内生産量が増えているのはなぜ?

まず、メーカーの努力で、品質改良が重ねられ、豆乳が飲みやすく、そしておいしくなったことが一因です。リピート買いをする生活者も増えさらには、飲むだけでなく、料理やスイーツにも使用され、用途が増えたことも大きな要因です。

さらに、メタボ検診なども開始され、この10年で健康志向がさらに高まり、植物性素材が注目されつつあるのも後押しになっています。

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豆乳で汁物はコク、スイーツはまろやかに

――昨年の生産量に“巣ごもり需要”の影響はある?

巣ごもり需要の影響を受けて、宅内での飲食機会の増加、様々な料理需要の増加、健康意識のさらなる高まり等により、白物と言われている調製豆乳や無調整豆乳の利用が拡大しています。


――豆乳は料理にどのように利用されている?

豆乳は、料理やスイーツの食材として幅広く利用されています。例えば、豆乳鍋は今、多くの方にとっては寒い日の定番メニューになりつつあります。

お味噌汁などの、汁物は豆乳を加えることでコクが出ますし、スイーツで豆乳を使うととてもまろやかになり、カロリーを抑える役目も果たせます。また、乳アレルギー持ちの方は、牛乳を豆乳に置き換えると安心です。

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――消費者の豆乳への認識に変化を感じている?

以前は、豆乳は飲むものという認識が多かったと思いますが、現在では、様々な料理に使用されるようになってきており、まさに“食べるための食材”の一つになってきています。また、豆乳チーズや豆乳ヨーグルトなどの商品も開発・発売されるようになっており、様々な分野で利用が広がってきています。
 

一過性ではなく、日常的な飲み物として普及

――今の状況を“第3次ブーム”だと言えるの?

日本豆乳協会としては、現在の豆乳市場の拡大についてブームだとはとらえていません。「ブーム」とはあくまで一過性なものですが、この十年で豆乳類の生産量が伸び続けているということは、豆乳が日常的な飲み物として普及・定着してきています。我々も豆乳の普及活動をさせていただいている中で、それを実感しています。


――ちなみに豆乳にとって、最大のライバルは牛乳?

我々は牛乳を、豆乳のライバルとして意識していません。豆乳は植物性ミルクで、牛乳とは栄養価ももたらす効果にも違いがありますので、様々な場面に合わせて、飲み分けていただくことが理想だと考えています。


――右肩上がりの生産量だが、来年もまだまだ伸びそう?

今、コロナの影響で外食が減っているので、その分業務用豆乳の伸びは鈍化していますが、2021年の1月から3月の状況を見れば、好調を維持しています。豆乳はすでに多くの方の日常に浸透していますので、ここから急激に減ることはないと思います。


かつては飲む用途が中心だった豆乳だが、今は、豆乳飲料そのものもがおいしく、さらには料理に使え、豆乳チーズ、豆乳ヨーグルトといった豆乳製品も登場している。消費者のニーズをうまく捉え、こういった幅広い用途が、国内生産量を伸ばす要因になっているようだ。
 

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プライムオンライン編集部
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