「次の首相」世論調査 河野太郎大臣が19.2%でトップに
FNNは6月19・20日の両日、全国の有権者を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し1129人から回答を得た。
菅内閣の支持率は、前月の調査より0.4ポイント増の43.4%とほぼ横ばいだった。

そして調査では、菅首相の自民党総裁任期が9月までであることに言及した上で「次の総理大臣には誰が相応しいと思うか」を12人の政治家の名前をあげて尋ねた。結果は次の通りとなった。
河野太郎 19.2%
石破茂 16.4%
菅義偉 10.7%
小泉進次郎 8.7%
安倍晋三 8.5%
枝野幸男 4.4%
岸田文雄 2.9%
野田聖子 1.4%
下村博文 0.5%
西村康稔 0.5%
茂木敏充 0.4%
加藤勝信 0.3%
この中にはいない 19.0%

このように河野太郎規制改革相が19.2%でトップとなり、以下、石破茂自民党元幹事長、菅義偉首相、小泉進次郎環境相、安倍晋三前首相、枝野幸男立憲民主党代表、岸田文雄自民党前政調会長と続いた。

河野氏に関しては、新型コロナウイルスの感染収束の決め手と期待されるワクチン接種の最前線に立っていることと、持ち味である明確な言葉による発信力が高く評価されたとみられる。今回の調査から、安倍前首相が次の首相候補の1人として名前を挙げた下村博文自民党政調会長が選択肢に加えられたが、下村氏と答えた人は0.5%だった。
前回調査と比較すると菅首相が倍以上に急伸
ここで、今年2月に「次の総理に誰が相応しいか」を尋ねた際の調査結果と比較してみる。ここでは2月調査での上位から記載する。
(2月) (6月)
河野太郎 22.4% 19.2%
石破茂 16.1% 16.4%
小泉進次郎 13.2% 8.7%
安倍晋三 6.4% 8.5%
菅義偉 4.6% 10.7%
岸田文雄 3.9% 2.9%
枝野幸男 3.8% 4.4%
野田聖子 1.8% 1.4%
茂木敏充 0.9% 0.4%
西村康稔 0.8% 0.5%
加藤勝信 0.7% 0.3%
下村博文 ― 0.5%
この中にいない20.1% 19.0%
2月と比較すると、河野氏は3ポイントほど数値を落としている。これは2月の時点ではワクチン接種担当に起用されたばかりで、その期待感が最大化していたためとみられ、今回の数値は地に足がついた真の評価だと捉えられるかもしれない。その数値で19.2%というのは、国民からの期待値としては十分なものだろう。
一方、2月と比べ急上昇しているのが菅首相で、4.6%から10.7%に伸ばし、小泉氏や安倍氏を抜いて3位につけた。要因としてはコロナ禍でワクチン接種を加速させる中、9月の自民党総裁任期切れ、10月の衆院議議員の任期切れを控え、秋以降も菅政権が続くのが現実的だとの見方がじわりと広がっているためだとみられる。ただ、現職首相としての10.7%は、安定した政権継続に向けては、まだ物足りない数値であることは否めない。

自民党支持層も菅首相が急伸、河野・小泉両氏以外のポスト菅候補は伸び悩み
続いて今回の調査で全体の37%を占めた自民党支持層に限って、「次の総理」についての回答を見てみると、次のような結果となった。カッコ内は2月調査の数値だ。
河野太郎 20.4%(27.7)
菅義偉 19.6%(7.5)
石破茂 15.1%(13.7)
安倍晋三 15.0%(11.3)
小泉進次郎 9.8%(14.9)
岸田文雄 3.7%(5.3)
西村康稔 0.6%(1.4)
野田聖子 0.5%(0.9)
枝野幸男 0.5%(0.9)
加藤勝信 0.3%(0.6)
茂木敏充 0.2%(0.4)
この中にいない7.2%(10.4)
このように、自民党支持層で見ても、河野氏が20.4%でトップになったが、菅首相も19.6%に急上昇し僅差の2位につけた。河野大臣は、同じ神奈川選出の菅首相と信頼関係のもとにあり、この両者合計で40%、同じく菅首相を支える小泉進次郎氏を加えると約5割を占める。このことを考えると、次の総選挙で自民党が相当の惨敗を喫しない限り、党内の派閥の力学を別とすれば、世論を背景とした“菅おろし”は比較的起きづらい数字とも読み取れる。

また、安倍前首相の再々登板に期待する人が自民党支持層の15%にのぼり、党内での支持基盤の弱い石破氏も15.1%と党員からの一定の支持を保っているのに対し、それ以外のポスト菅候補は伸び悩んでいる。こうしたポスト菅をめぐる対抗馬の存在感の薄さは、菅首相の党内での地位を安定させている一因だと言えそうだ。

無党派層でも河野氏がトップ 菅首相と枝野代表は寂しい数字に
では、菅政権にとって最大の正念場となる次期総選挙の結果を大きく左右する、無党派層の認識はどうか。今回の調査の支持政党を尋ねた項目で43.2%を占めた「支持政党なし」と回答した層に絞った結果を見ると以下の通りとなった。カッコ内は2月調査の数値だ。
河野太郎 22.4%(19.9)
石破茂 15.6%(16.7)
小泉進次郎 8.1%(12.2)
菅義偉 5.4%(2.3)
安倍晋三 4.3%(3.6)
岸田文雄 2.5%(2.1)
枝野幸男 2.5%(2.3)
野田聖子 2.4%(2.4)
茂木敏充 0.5%(1.2)
加藤勝信 0.3%(0.7)
西村康稔 0.2%(0.6)
下村博文 0.2%(-)
この中にいない 28.3%(29.5)
こちらも河野氏が22.4%とトップで、自民党支持層・無党派層の両方に強いという点で、河野氏は今後の「選挙の顔」としては大きな存在感を表しそうだ。「総理の座を目指す」と公言している河野氏にとって追い風となる調査結果だが、一方で党内基盤は決して強くないだけに、総理を目指す上で所属する麻生派の支持をどう得ていくか、他派閥に支持を広げていけるのかなどは、今後の大きな課題だ。
また、菅首相は自民党支持層では19.6%だったが無党派層では5.4%にとどまり、枝野氏は立憲民主党支持層では25.9%とさすがにトップだが、無党派層では2.5%にとどまっているのは、与野党を代表する顔としては心許ない数字と言えそうだ。

河野氏の“支持層”の内訳…若い男性から高支持、石破氏は高齢者に強み
最後に、年齢層と男女別の傾向を分析する。河野氏は18歳から29歳までの男性層で25.6%、30代男性で38.9%、40代男性で29.7%と、比較的若い男性層からの人気が極めて高い。一方で70代以上男性のでは10.3%、50代女性で12.2%、70代以上女性で13.7%と、高齢層では比較的人気が低い。河野氏の改革姿勢や強めの物言いが、高齢層には不安感を抱かせる部分があるのかもしれない。
その高齢者からの人気が比較的高いのは、70代以上男性の28.3%が名前を挙げた石破氏で、50代・60代女性でも河野氏を抑えてトップだった。
また女性層に限って見ると、トップは河野氏の16.0%、続いて石破氏の14.7%、菅首相の10.2%、小泉氏の9.8%と続くが、「この中にはいない」と「わからない・言えない」という答えがあわせて30.7%にのぼる。これは男性層の約1.5倍だ。こうした女性層をどう引きつけていくかも、今後の政界のリーダーの課題となりそうだ。
(フジテレビ政治部デスク 高田圭太)