東京オリンピックに挑む野球の日本代表「侍ジャパン」の内定選手が、稲葉篤紀監督から発表された。

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稲葉監督は「日の丸を背負うことに対して、熱い思いを持った選手の集まりだと。結束を持って戦っていきたい」と意気込む。

3大会ぶりのオリンピックを戦うメンバーは合計24人。

田中将大は唯一の五輪経験者

投手陣は、読売ジャイアンツ・菅野智之、阪神タイガース・青柳晃洋、岩崎優、広島東洋カープ・森下暢仁、オリックス・バファローズ・山本由伸、東北楽天ゴールデンイーグルス・田中将大、横浜DeNAベイスターズ・山﨑康晃、広島東洋カープ・栗林良吏、中日ドラゴンズ・大野雄大、読売ジャイアンツ・中川晧太、埼玉西武ライオンズ・平良海馬の11人。

初選出は青柳、岩崎、森下、栗林、平良の5人。

唯一のオリンピック経験者である田中は、日本の大黒柱として期待されている。

2008年に北京オリンピックで、最年少19歳で出場した田中は「今までの経験は年を重ねている分だけあると思うので、自分が伝えられることがあれば、知っていることは伝えたいと思うし、自分自身が中心になって、戦力になるんだという気持ちも持ってやらなければならない」と気を引き締める。

稲葉監督は、北京オリンピック4位という結果を振り返りながら「田中投手ももちろん19歳という若さで(北京オリンピックに)いたんですけど、たぶん悔しい思いを持ってくれていると思うので、今度会って話をしていきたい」と明かす。

2019年のプレミア12で世界を相手に奪三振ショーを繰り広げ、今回は先発とリリーフ、両方で重要な担う山本は「どこを投げるかわからないけど、しっかり準備をして、どのポジションでもいいパフォーマンスを、いい投球をできるようにした」と語る。

昨年のセ・リーグ新人王の森下は「少しでも力になれればいいなと思っているので、しっかりチームの一員として力になっていきたい」と意気込む。

また、現在開幕から33試合無失点記録継続中の平良は「ランナーが出ても粘って最終的には0点にこだわってやっていきたい」と自信を見せた。

「オリンピックの借りは、オリンピックで返す」

野手に選ばれたのは13名。捕手には福岡ソフトバンクホークス・甲斐拓也、広島東洋カープ・曾澤翼。

内野手には、東京ヤクルトスワローズ・山田哲人、埼玉西武ライオンズ・源田壮亮、東北楽天ゴールデンイーグルス・浅村栄斗、広島東洋カープ・菊池涼介、読売ジャイアンツ・坂本勇人、東京ヤクルトスワローズ・村上宗隆。

外野手には、北海道日本ハムファイターズ・近藤健介、福岡ソフトバンクホークス・柳田悠岐、栗原陵矢、オリックス・バファローズ・吉田正尚、広島東洋カープ・鈴木誠也。

今回の「侍ジャパン」は、投手陣で最年長の田中と、坂本や柳田ら同じ1988年生まれがチームを引っ張っていくことになる。

「侍ジャパン」ではキャプテンを設けることなく、「経験のある選手たちがどんどんチームを引っ張っていってほしい」といった稲葉監督の意図があるという。

柳田は「一緒のチームで野球ができるのはすごく楽しみですし、自分の野球人生の財産になると思うので、1分1秒もムダにせずやっていきたい」と明かす。

坂本は「一緒に代表のユニフォームを着て、プレーできることで、いろんな感情があると思うけど、うれしく思います」と語った。

野手最年少は村上。現在セ・リーグのホームランキングは、バットだけでなく、声でチームを鼓舞していきたいという。

「僕、ちょっとだけシャイなので、慣れていけばしっかり声を出せると思うので、いち早くなじめるように極力、人見知りせずに頑張ります」

稲葉監督自身も北京オリンピックに出場し、当時はケガをしていたが、「星野(仙一)監督から連絡があって、『出たいか出てくないか』と聞かれ、『出たい』と返事をしたのを覚えている。五輪に選ばれたからには、ケガをしてもいいというほどの覚悟を持って、そこに捧げる思いで出場しました」と、並々ならぬ思いを抱いていたと振り返る。

北京オリンピック4位というメダルまであと一歩という結果に、悔しい思いをした稲葉監督。

「心の中で自分に誓った『オリンピックの借りは、オリンピックで返す』という強い気持ちを持って、改めて申し上げます。目標は金メダルです」と力強く宣言した。