一枚の紙を切り抜いて、アートを作り上げる「切り絵」。この特徴をうまく活用することで、色彩が自由自在に変わる作品がある。
まずは、実際の作品を見ていただきたい。描かれているのは目を閉じた一人の少女で、髪や衣類のリボンが切り抜かれている。こちらを実物の桜にかざすと…切り抜きの部分が美しいピンクに色づいているではないか!空の色とも相まって見事なアートになっている。
着物姿の女性を描いた別の作品では、着物や髪の部分が切り抜かれている。こちらも実物の紅葉にかざすと…華やかな着物を身に着けているかのよう。
同じ作品で風景を変えてみると、印象も落ち着いたものに変わった。そう、切り絵は自然の風景にかざすことで、さまざまな表情を見せてくれるのだ。
これら作品の制作者は、TwitterユーザーのErica(@Erica__kirie)さん。SNSに定期的に作品を投稿していて、じわじわと人気を集めている。
#こういうの好きだよって人RT
— Erica❦ (@Erica__kirie) June 7, 2021
切り絵と景色。 pic.twitter.com/JOcYCzradB
どれも素晴らしい作品だが、どのようにして生まれているのか? Ericaさんにお話を伺った。
ツイートで見た切り絵への「憧れ」がきっかけ
ーー風景を生かした切り絵を作り始めたきっかけは?
3年ほど前に、切り絵と景色を組み合わせたツイートが流れてきたのがきっかけです。絵を描くのが大好きだったので、その方に憧れて始めました。
ーー作品はどのように制作しているの?
白い画用紙に絵を描いて、ペン描きと筆描きをした後に切り抜いています。色塗りは万年筆用インクと色鉛筆を使用しています。制作期間は小さいもので1日、A4サイズだと色塗りを含めて2~5日ほどかかります。
ーー制作過程でこだわっているところは?
目の色や髪の毛をいろいろな景色に染まるように切り抜いたり、景色に溶け込めるような切り絵を目指して、工夫をしながら作っています。
季節のテーマを考えて描いている
ーー作品のテーマはどのようにして決めている?
四季に合わせて、春には着物や袴姿の女の子、夏は天使やワンピースを着た女の子にするなど、季節のテーマを考えて描いています。
ーー現在の作品数はどれくらい?
ファンアートも含めて18点ほどです。
ーーお気に入り作品と風景の組み合わせを教えて。
一番のお気に入りは、着物を着てバラを口元に当てている女性の切り絵を、紅葉の風景にかざした写真が好きです。最近の作品だと、天使をイメージした女性の切り絵とネモフィラというお花の風景の組み合わせもお気に入りです。
「見てもらえるとは思っていなかった」
ーー作品が注目を集めていることはどう思う?
ここまで見てもらえるとは思っていませんでした。切り絵は憧れから始めたので、たくさんの人に見てもらえるのは本当にうれしいですし、続けてきてよかったなと改めて思いました。
ーー作品の販売はしているの?
不定期で行ってはいます。ただ、仕事や育児優先なのであまりできてはいません。
ーーこれからの目標があれば教えて。
私らしい切り絵を作り、いろんな景色と重ねていけたらいいなと思います。
Ericaさんは2児の母であり、仕事や育児と並行しながら制作活動を続けているという。制作のきっかけは憧れとのことだったが、Twitterには、Ericaさんの投稿を見て「自分もやってみたい」との声も寄せられている。芸術の文化はこのようにして広まっていくのかもしれない。
(画像提供:Ericaさん)
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