愛知でも5月12日から国の緊急事態宣言が適用された。今回から新たに全ての飲食店で「酒の提供をしない」よう、要請が加えられた。
宣言初日の夜の繁華街では、飲食店が追い込まれる現実が見えてきた。

(リポート)
午後7時半過ぎの錦三丁目です。緊急事態宣言の影響か人影はほとんど見られず、ひっそりとしています

人通りのほとんどない名古屋の繁華街・錦三…。

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店の明かりが消えた街に、ネオンだけが寂しく灯る。

愛知県にも12日から適用された国の「緊急事態宣言」。感染拡大が続く中、県内全ての飲食店に対して時短営業に加えて、お酒の提供を停止するよう求めている。

要請に応じた飲食店の休業。酒を販売する「酒アルコ錦店」の店長も現実を実感していた。

「酒アルコ錦店」の店長:
注文の件数は今の段階でだいぶ減っていますね。今日はまだ1件です

ノンアルコールビールの注文1件のみ。お酒の発注はなくなった。

店長:
飲食店さんの相手をメインに仕事しているので、厳しい状態になってきますね

休業するか、お酒の提供をやめて営業を続けるか…。どちらを選択しても飲食店にとっては茨の道だが、何とか明かりを灯し続けたいと頑張る店があった。

名古屋コーチンを使った焼き鳥が自慢の老舗「鳥勢」。

お酒の提供をやめ、営業を続けていた。
使われることないビールサーバー。ラップで塞がれた注ぎ口。

出番をなくした日本酒も冷蔵庫で静かに保管されていた。

夜の営業は午後5時から。一番奥のカウンターに女性客が2人。そのほかに客はなく、貸し切りのような状態だ。

女性客:
私と友人はアルコールを普段からいただかないので。前回来た時は、ちょうど同じ曜日の同じくらいの時間帯だったんですけど、もう全部満席ですごく沢山の方が並んでいるぐらいだったので、今日はびっくり

女性客が食事を楽しむ一方で、座る客のいない席。時間だけが過ぎていく。結局、3時間の営業時間でお客はわずかに1組だった。

鳥勢の伊藤さん:
(1組というのは)初めてです。どんな感じなのか、今週は少し開けてみて様子を見てみよう、もう少しお越しになるかなと思ったけど、いやー悲しい…

店を創業した父は病気で療養中。コロナ禍の店を娘である女将さんが守っている。

鳥勢の伊藤さん:
アルコール提供なしという営業は創業以来初めてのことなので、もう想像を絶する…

お酒を出せない焼き鳥店。休業も頭をよぎったが…。

鳥勢の伊藤さん:
(父から)「頼むな」と言われていたんですけど、ちょっと今回だけは本当に休みたくないけど、休まざるを得ないような気がして、本当に父には申し訳ない…

従業員を抱え、協力金も店を維持するまでには至らない…。飲食店を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。

(東海テレビ)

東海テレビ
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