平成から令和にかけ変革を続けてきたプロ野球界。

しかし、故・野村克也監督が残した魂は変わらない。

ID野球が生まれて30年が経ち、今や12球団中6球団の監督が野村監督の教え子だ。

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ヤクルト・高津臣吾監督、阪神・矢野燿大監督、楽天・石井一久監督、日本ハム・栗山英樹監督、西武・辻発彦監督、中日・与田剛監督の6人が、直接教えを受けた面々だ。

今回は、野村監督が阪神タイガースの監督時代にともに戦った、中日・与田剛監督に教え子たちに受け継がれている“野村監督の魂”について話を聞いた。

「時間の使い方で人生が変わる」

――野村監督のもと、戦った阪神時代について
たくさんのことを教わったんですけど、私は阪神への入団はテスト入団で、現役が終わるかどうか瀬戸際だった。野村監督から「もう一回活躍しようよ」というお話を頂いて、阪神タイガースに拾ってもらって。期待に応えることができなかったんですが、やはり考え方、野球に対する取り組み方を改めて気付かされた1年でした。

――野村監督から教わった印象に残っている言葉は?
たくさんありますが、「人間は不公平であり、不平等でもある。しかし時間は平等に与えられるものだ。その使い方によって、人の人生が大きく変わる」という言葉が非常に重かったですね。

そのとき感じたことを伝えることの大切さ

――監督になった今、参考にしていることは?
野村監督はまずしっかり観察をして、選手の能力を見極めていく。そして時間の使い方というものを伝えていく。

3回戦力外通告を受けたんですけど、ユニホームを脱いでしまったら間に合わないことが多いと感じました。それは選手に限らず私も一緒なんですよね。指導者の立場を頂いて、この立場が終わってしまってから「あのとき、選手にこうしておけばよかった」という思いを絶対にしたくない。

その時、その時感じたことを、伝えなきゃいけないときにしっかり伝える。見守るときには、黙って見守る。そういうことは野村さんの影響を凄く受けていると思います。

――中日監督3年目、今後の戦い方について
しっかり我慢して、選手を信じることが本当にできるのかどうか。何よりも私自身がしっかり自分を信じることができるかが、凄く大事になってくると思います。どうしても結果が出ないと、色んなことを考えてしまう。不安、不満をできるだけ持たないように。

結果が出なくても選手が一生懸命取り組んでいることは間違いないので、そこをじっくりと信じて待つ。それが野村監督が生きてらっしゃったら、かけていただける言葉なのかと勝手に思っています。