連休で検査数減少と遅れも…感染状況は慎重に見極めるべき
「連休中および連休明けの新規陽性者数は、休診による検査数の減少、検査報告の遅延等の影響を受けて過小報告の可能性があります」
国立国際医療研究センターの大曲貴夫国立感染症センター長は、こう釘を刺した。

感染者数や増加比が減って見えても、連休中は医療機関が休みになり検査数が減っているからだ、ということなのだろう。
東京都の5月6日の感染者数は591人と600人をきったが、モニタリング会議では、新規感染者数の7日間平均が前回の716人から768人に増え、増加比は118%から106%に減ったものの7週連続で100%を超え増加している。
感染経路は家庭内が53%とこれまで同様最も多かったものの、10代未満及び10代は学校など教育施設で、20代から50代は職場での感染が2割に上っている。

変異ウイルスが85%に インド由来も5例確認
「今後、徐々に増えているか検討している、注目しているところです」
東京iCDC専門家ボードの賀来満夫座長は、インド由来の変異ウイルスのスクリーニング検査を4月30日から始め、これまでに5例確認されていることを明らかにした。
最新(4月26日から5月2日まで)の変異株発生割合は、感染力が高いとされるN501Yが67.9%、3週間前には半数以上を占めていたE484Kが16.5%、インド由来の変異ウイルスが0.5%ということで、全体では変異ウイルスが85%を占めた。
都内の変異ウイルスPCR検査実施数は4月、約40%に達したという。

急速に置き換わる変異ウイルス インドの変異で「分からなくなった」
「変異株比率が7割近くまで、もう上昇してきているというわけであります。急速に置き換わっていると」
小池知事はこのように述べ、従来型から変異ウイルスへの「置き換わり」が急速に進んでいることを強調した。
「つい2週間前まではN501Yと言っていたのに、インド株でさらに分からなくなった。感染力もそうだが、インド株だとワクチンが効かないのでは、と専門家からも聞こえてくる」
ある幹部はこう顔を曇らせた。
50代以下の重症者2.6倍に

さらに、都内の重症者を年代別に見ると、第3波ピークの1月下旬は13%だった20代から50代の若い世代が、4月下旬は34%に大きく増えている。
変異ウイルスは若い世代も重症化するといわれているが、それを裏付けるかのようなデータとなった。
2週間後には医療提供体制が逼迫する
「2週間後ぐらいには、医療がかなり逼迫してくることが考えられる」
東京都医師会の猪口正孝副会長は、このままでは2週間後の入院患者数が2600人ほどになるとの試算を踏まえ、2週間後には医療提供体制が逼迫するとの見方を示した。

「本当にちょっとしたことで、3密でなくても感染がおこります」
普段はほぼマスクをして、昼食も1人でとっていた人が、デスクワーク時にマスクなしで隣の人と会話して感染。
最近の事例として挙げられたが、それだけ変異ウイルスの感染力が強いということを示したかったのだろう。
7割が5キロ圏内で“ステイホーム”
「ゴールデンウィーク期間中、大多数の都民の皆さまがステイホームに協力してくださった状況がわかりました」
東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、5日時点で、ゴールデンウィーク中に家から5キロ圏内にとどまった都民が70%、3キロ圏内にとどまった都民が63%というデータを示した。

さらに、繁華街の夜間滞留人口は宣言後1週間で42%減、昼間滞留人口は36%減となったという。
5月31日までの延長を国に要望「措置を緩める状況にない」
「このような認識のもと宣言の延長が必要と考えます」
小池知事は神奈川、千葉、埼玉の知事とともに、1都3県そろって5月31日までの措置の延長を国に要望した。
「措置を緩める状況にあるとは考えておりません」
延長に伴い、現在出されている措置を緩めるべきかどうか記者から問われた小池知事は、きっぱりと言い切った。

都民の多くがステイホームに協力した「短期集中」でも太刀打ちできない、それを超える感染力、重症化が見られる中、さらにどのような対策があるのか。
17日に予定されているIOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長来日で、東京大会開催についてどのような話し合いが行われるのか、そもそもバッハ会長が来日するのか。
開催予定日が刻一刻と近づく中、様々な難しい判断が迫られている。
(執筆:フジテレビ都庁担当 小川美那記者)