ファーウェイの自動運転システムはレベル4

中国通信機器大手の「ファーウェイ」が、自動運転技術を公開した。

搭載される自動運転システムのレベルは4で、あらかじめ限定されたエリア内であれば、緊急時も含めシステムが運転の主体となる。

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その「ファーウェイ」が中国の大手自動車メーカーと共同開発した自動運転車にFNNが海外メディアとして初めて試乗した。

5Gなどの通信技術が活用されたシステムによって、車は信号やほかの車両の位置などを自動検知して、スピードや車線を選択。

自己学習機能付きなので、走行すればするほど、より快適な自動運転を実現するという。

そして、やや細めの道を走行中、駐車していた車の前から人が出てくると、ブレーキがかかり車は人を回避する方向へ。

緊急時も、システムが自分で対応していた。

自動運転をめぐっては、3月にホンダが世界に先駆け、レベル3の市場投入を開始したばかりだが、今回の試乗車はレベル4に相当するといい、2021年の冬から中国国内で販売予定。

スマホ事業打撃で自動車関連に投資

アメリカからの制裁で、主力のスマートフォン事業が打撃を受けている「ファーウェイ」。

自動車関連には、2021年に10億ドル以上を投資する方針で、通信技術をほかの分野に活用する動きを活発化させている。

今週、上海で始まったモーターショーでも、この自動運転車を展示。多くの人たちが関心を示していた。

上海モーターショー来場者:
注目製品で、実現すれば自動運転の普及を3~5年ほど前進させると思う。ファーウェイの技術が高度なため、アメリカ側は脅威を感じ危機感を持っているでしょう

HUAWEI スマートカー部門・王軍総裁:
自動車メーカーとファーウェイがともに育んだ、まさに子どものような製品。ファーウェイのデジタル技術を全ての車に提供したいと願っている

明確な目標設定で成果を出す

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。通信のファーウェイが自動運転にというこのニュース、どうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
中国はこれまで国を挙げて5G技術の開発を進めてきましたが、これは自動運転と非常に親和性が高いんです。自動運転は5G、スピードが速いということだけではなくて、通信に遅れが起きない「低遅延」という技術が重要です。自動運転が今後さらに高度化していく自動車の中で、いろいろ通信する時に遅れが生じないことが重要なんです。この時に5Gの低遅延技術が重要になります

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
日本やアメリカは、一部ではやく5G網を広めるために既存の4Gの施設を活用しながら使う技術もありますが、中国は最初からフルスペックの5Gで能力が出せる方法で普及を急いでいます。5Gのスピードと低遅延によって自動運転のほかにも遠隔医療を進めたい。遠隔医療自動運転中国の狙いでもあります。

三田友梨佳キャスター:
そうした中で、日本がこれ以上遅れを取らないためには何が必要になってくるのでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
日本の場合、5G技術先行で後からキャリアがアプリケーションを考える形になっていますが、中国の場合、国ぐるみでまず実現したい事業の目的があります。その手段として5Gは何をすればいいかを考えています。目標やビジョンが明確なプロジェクトは成果が出やすいと昔から研究で言われています。日本も中国のやり方を学ぶところがあって、技術はツールであってまず明確な目標を設定する。これが重要だと思います

三田友梨佳キャスター:
米中摩擦もあってスマホなどが厳しくなるとすぐに戦略を転換できるスピード感もファーウェイにはありますが、自動運転をめぐる勢力図は今後どうなっていくのか注視していきたいと思います

(「Live News α」4月22日放送分より)