接触と変異ウイルスで感染者急増
「人と人との接触機会、そして変異株との影響によって急激に増加しております」
4月22日に行われた東京都の新型コロナウイルスモニタリング会議では、今週も感染状況、医療提供体制とも最も深刻な警戒レベルに据え置かれた。
新規感染者数の7日間平均が前回の475人から644人に大幅に増え、前の週と比較する増加比も前回の120%から135%に。
今の増加比135%が続くと、新規感染者数はゴールデンウィーク明けの2週間後には1日あたり1170人、4週間後には1日あたり2140人に上るとの試算も出された。

第3波を超える爆発的な感染拡大のおそれ
「ゴールデンウィーク中に旅行や繁華街への外出等により、さらに接触機会が増加すれば、新規陽性者数は急速に増加し、第3波を超えるような爆発的な感染拡大が危惧されます」
国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、急速な感染者の増加にさらに勢いがついてしまうことへの危機感を強調した。

感染経路別にみると、これまで同様、家庭内感染が50.9%で最も多く、次いで施設および通所介護の施設での感染が15.9%、職場での感染が14.2%、会食による感染が7.5%となった。
家庭内感染が最も多い一方で、職場、施設、会食、場接待を伴う飲食店などと多岐に渡っている。
「東京はE484Kが比較的保たれている」
また、東京都健康安全研究センターで4月12日の週に行われたスクリーニング検査によると、従来のウイルスは10.7%のみで、感染力が強いとされる変異ウイルスのN501Yが32.8%、これまで東京で多く見られたE484Kが56.5%と、全体の9割が変異ウイルスとなっている、との分析が示された。
「東京はE484Kが比較的保たれている」
東京都iCDC専門家ボードの賀来満夫座長は、東京都内では変異ウイルスの中でも感染力が高いと見られるN501Yでなく、E484Kが多いことを「保たれている」と表現。
それもそのはず、新規感染者がほぼ全てN501Yに入れかわったら、新規陽性者数が700人、増加比が1.7とした場合に、2週間後で新規陽性者数は2000人超、入院患者数は6000人超になるという国立感染症研究所の推計が出された。

変異ウイルスの重症化率は従来より高い
「変異株の患者さんは急増しますから。2週間後、4週間後に備えて、一生懸命準備をしているところです」
東京都医師会の猪口正孝副会長は、医療提供体制について「変異株の重症化率は従来より高いとの報告もあり、新規感染者の増加を止め、変異株による重症患者の発生を防ぐ必要がある」と変異ウイルスへの強い懸念を示した。

より強い対策を。もはや一刻の猶予もない
「路上や公園での飲み会もやめてください。感染の飛沫が飛ぶということも分析されています」
飲み会は場所がどこであろうと、感染リスクが高まることを改めて強調した小池知事。
外出は最低限、都県境を超える移動は自粛、ゴールデンウィークの旅行は中止または延期、ゴールデンウィーク中の有給休暇の取得の促進、テレワークの活用など、人の動きを抑えるための取り組みへの協力を求めるとともに「当事者感覚が重要」と釘を刺した。

「より強い対策を講じることが今、必要となっている。関西圏の状況を見ても、もはや一刻の猶予もない」
大阪のようになってしまうのか、踏みとどまれるのか。“太く短い”緊急事態宣言で収束させるためにも、1人1人の対策の見直しが求められている。
(執筆:フジテレビ都庁担当 小川美那記者)