施行から1年…調査結果公表

子どもがゲームやスマホを使う時間を制限する全国初の条例、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行されてから、この4月で1年が経過した。

香川県は、3月末に子どものスマホ利用状況などを把握するために行った調査結果を公表したが、それによるとネット・ゲーム依存傾向にある子供が増加していることが分かったという。

出典:香川県
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そもそも香川県の条例に罰則はないが、18歳未満のゲーム時間は平日では1日60分、休日は90分、スマホの利用は中学生以下なら午後9時まで、それ以上は午後10時まで、という目安を元に各家庭で決めたルールを守らせるよう保護者が努めなければならないとしている。
 

この条例は施行される前から全国のネットユーザーなどから賛否が噴出して大いに注目を集め、FNNでもたびたび取り上げてきたのでご記憶の方も多いだろう。

(参考記事 2020年1月21日:「スマホとゲームは1日1時間」驚きの条例案が物議…その後「ゲームのみ」に修正した理由を香川県に聞いた
(2020年7月2日:香川県条例「ゲームは1日1時間」は影響少ないとの民間調査…見直しの可能性を県に聞いた
 

長時間利用は減ったが依存傾向は増加

香川県教育委員会は、子どものスマホ利用状況やゲームへの依存傾向の調査を2014年から3年ごとに行っており、条例施行後の2020年9~10月に小学4年から高校3年の4881人に行った最新の調査結果を今年3月末に公開した。

これによると、スマホなどの1日当たりの利用時間は、3年前の調査と比べて「3時間以上」の長時間利用者が、小中高すべてで減少し、「1~3時間」が増加している。
これは、条例の効果でスマホなどの利用時間が短くなったという見方もできる。

出典:香川県

しかし、ネット・ゲームの依存傾向を調べた設問では、8項目中の5つ以上に該当して注意が必要とされる生徒の割合が、前回調査のデータがある中学生は3.4%から6.3%に、高校生は2.9%が4.6%にいずれも増加したことが分かった。

出典:香川県

条例施行後の今回の調査結果をどう受け止めているのか?担当者に話を聞いた。
 

長時間利用がある程度抑えられたのではないか

――ネット・ゲーム依存症対策条例を1年続けた見解は?

ゲームやインターネットの過剰な利用は、自分で自分の欲求をコントロールできなくなる依存症につながることや、睡眠障害、ひきこもりといった二次的な問題まで引き起こすことなどが指摘されており、若者が陥りやすく、一度そのような状態になると抜け出すことが困難となることから、その予防や早期発見の対策は大変重要であり、ネット・ゲーム依存症対策を総合的に推進しているところです。

令和2年度については、ネット・ゲーム依存の状態に陥ることを未然に防ぐため、依存のリスクや家庭におけるルールづくり、条例の趣旨等について、県広報誌でのチラシの配布や講演会の開催などにより、ネット・ゲーム依存に関する正しい知識や予防等に関する普及啓発を行うとともに、依存症対策の全国拠点である久里浜医療センターが主催する研修会への医療従事者の派遣や、回復プログラムの作成・配布を行いました。
また、「スマートフォン等の利用に関する調査」を実施して児童生徒のネット・ゲームの利用状況等を把握するとともに、教員等向けの予防対策マニュアル、小・中学生向けの「ネット・ゲーム依存予防対策学習シート」、幼児の保護者に対する動画教材の作成・配布や、教育センターでの相談対応などを行いました。

これらを通し、県民の皆様のネット・ゲーム依存に関する正しい知識への理解は深まっているものと考えています
また、各家庭において、スマートフォン等の利用に関するルールづくりを行う契機になったのではないかと考えています

ネット・ゲーム依存対策にあたっては、家庭や学校など社会全体で対応していく必要があり、引き続き依存状態に陥ることを未然に防ぐための正しい知識の普及啓発や、早期発見・早期治療のための相談支援に加え、医療提供体制の充実などの対策を、総合的に推進していきたいと考えています。
 

ネット・ゲーム依存の予防を呼び掛けるチラシ 出典:香川県

――スマホの長時間利用が減って短時間利用が増えたことをどうとらえている?

この利用時間には、学習アプリや学習のための動画サイトの利用等も含まれており、このような利用方法も含めて1時間以上3時間未満の児童生徒が増加したものであり、引き続き、利用時間の状況について注視していく必要があると考えます。

また、3時間以上の児童生徒の減少は、児童生徒が自らスマートフォンやゲーム機の使用時間等を振り返り、ルールづくりについて家族と話し合うようにするために作成した小・中学生向けの「ネット・ゲーム依存予防対策学習シート」の活用をはじめ様々な取組みによって家庭におけるルールづくりが進み、長時間利用がある程度抑えられたのではないかと考えます。
 

ネット・ゲーム依存予防対策学習シート 出典:香川県

――ではネット・ゲームの依存で注意が必要とされる中高生が増えたことをどうとらえている?

5項目以上に該当する児童生徒は、平成29年度調査と比較できる中高校生において増加しているほか、今回初めて調査を行った小学生でも、中高生より少ないものの一定数いたことから、引き続き、状況を注視するとともに、依存予防対策が必要であると考えます。
 

――条例はこの後どうなる?

条例では、附則において、施行後2年を目途として、条例の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとされていますが、施策の効果も検証しつつ、「スマートフォン等の利用に関する調査」の結果や、国の動向などを踏まえ、県民の皆様のご意見も十分に伺いながら、対応すべきものと考えています。
 

また、今回の調査で、スマホを持っていたり家族のスマホが使える子供の割合は、小学生(4~6年生)で96.2%、中学生で97.7%、高校生では99.9%といずれも3年前より増加していた。
子供にとってもスマホがどんどん身近になっていく中で「ネット・ゲーム依存症対策条例」の効果があるのか、今後も注目していきたい。