国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」が、3月18日、19日の2日間、開催された。
2日間の日程のクライマックスは、予選を勝ち残ったスタートアップ企業15社が、新規プロダクトを発表して競うピッチイベント「LAUNCHPAD」。コロナ禍での開催だったことからも、菅政権も推進する「DX=デジタルトランスフォーメーション」に関する企業が目立った。
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リアルタイムでペットの心の状態を表す
その中で、5位に入った「ラングレス」は、ペット業界でDXを推進している企業で、「イヌパシー」という、ペットの首に付けるデバイスを展開している。
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デバイスは、心音特化型センサーで、ペットの毛や服の上から心音を検知し、自律神経を解析することで、リアルタイムで心の状態を色で表す。
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リラックス、ハッピーなどの状態が色で分かって、飼い主とペットのコミュニケーションを促進させる。
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「ラングレス」山入端佳那CEO:
一般の飼い主は怒っているか喜んでいるか、いまナゼ吠えているかが分からないことが多い。目に見えてリラックスしているというのがわかるのがプラスに働き、動物とのコミュニケーションが深まる
![「ラングレス」山入端佳那CEO](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/3/6/700mw/img_36156fc494fb9ea0e87311e9524e3f0d3092308.jpg)
このデバイスのもう一つの特徴は、バイタルデータを得られる点だ。
首輪を装着して得られたデータを、研究や商品開発に役立てられる可能性に着目し、この機器を使ったサプリメントの共同開発や、大学の研究活動などが、どんどん始まっている。
例えば、キューサイでは「イヌパシー」を使って取得できるデータで、ペット向けのサプリメントの共同開発を開始した。
これまでペット向けのサプリメント・フード開発は、「おいしさ」の反応・評価を得ることが難しかった。
しかし、特定環境下でのイヌの心拍状態を解析することなどで、よりおいしい商品の開発を今後進めていくという。
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また、岡山理科大学など、教育機関向けに心拍状態の計測サービスを手がけてきたが、海外パートナーにも展開を広げている。
オーストラリアのスウィンバーン工科大学とは最近、心拍解析システムの提供を始めた。スウィンバーン工科大学では、補助犬・介助犬の訓練効率向上に関する研究が行われ、犬の反応をトレーナーの主観のみによって評価していたプログラムの改善を目指しているという。
「ラングレス」では今後、得られたデータを、病気の早期発見などヘルスケアにも役立てていきたいとしている。
また、首輪を小型化して、ネコにも応用する予定だ。
試着会では大きな反響
東京・府中市でペットホテル「はっぴーているず」などを展開する「(株)withdog.jp」社長・今村真也さんは、ペットの飼い主向けに「イヌパシー」の普及を目的とした試着会を行う。
イヌの気持ちが色で分かるため、試着会の参加者からの反響は大きく、「ドッグランにイヌと一緒に行くときに、喜んでいるのか、嫌がっているのか、わかりやすくなった」などの声が寄せられているという。
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「(株)withdog.jp」今村真也社長:
イヌパシーの色は次々と変わる。人間の気持ちが次々と変化するのと同じで、緊張、リラックスのリズムは、イヌでもそれぞれ違う。イヌがどんな状態か、飼い主が見てあげるきっかけとして、イヌパシーを使ってもらいたい。イヌの気持ち、個性が分かれば、もっとイヌを大切にすることが出来るようになる
「ラングレス」がプレゼンテーションを行い、5位入賞した「LAUNCHPAD」では、これまでも「freee」「Wantedly」「クラウドワークス」などのスタートアップ企業が登壇し、その後、ビジネスを大きく拡大させてきた。
「イヌパシー」が、ペットビジネス市場でさらに広がり、盛り上がりを加速させていけるかが、今後注目となる。
(フジテレビ経済部 西村昌樹記者)