新入社員のときは慣れない環境、不安などで緊張してしまうものだ。そんな中、ユニークなアイデアでこの気持ちをほぐした、ある企業の入社式が反響を呼んでいる。

本日は入社式!

4月1日、Twitterでこのように投稿したのは、建設機械のレンタル事業を展開する企業「新光重機」(千葉市)の公式アカウント。この日に行われた、入社式への意気込みをつぶやいたものだ。

新光重機の本社。入社式の会場ともなった
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添付写真には会場である本社の前に、建設現場や工事現場によくある、騒音などを謝罪する立て看板が2つ設置してあるのが確認できる。だが、よく見てみると…。

<画像右の看板に描かれた文字>

お願い 新入社員の方は 勉強する姿勢と執念と ユーモアを持ち続けて下さい。
新光重機(株)先輩社員一同

<画像左の看板に描かれた文字>

期待をお掛けします。入社式をしています。
令和3年4月1日 時間帯9:00~10:00
新入社員 入社式会場
発注者 新光重機株式会社
施行者 先輩社員一同

実は新入社員に向けた激励の言葉だった

実は書かれている内容はどちらも、新入社員に向けた激励の言葉。「ご迷惑」を「期待」に変えるなど、建設現場でのあの“謝罪看板”をパロディにして、メッセージを伝えていたのだ。

このユーモア溢れる看板の投稿は反響を呼び、Twitterユーザーからは「これは、、、入社したくなる」「ユーモアを持って下さいって、先輩一同が好事例を示してるのがカッコいいですね」などの反応が続々。1万9000以上のいいねを集めている(4月6日現在)。

看板の内容にも「ユーモア」という文字が

たしかに新たな環境への第一歩となる入社式に臨む際に、このような看板を見たら、新入社員も少しは緊張が和らいだことだろう。

思わず笑みがこぼれてしまうこのアイデア、どのような経緯で生まれ、新入社員はどう受け止めたのだろうか。新光重機の担当者に聞いてみた。

コロナ禍で暗い話題ばかり…「明るいスタートを」

ーーどれくらいの新入社員が入社した?

7名の新入社員が入社して、総社員数は150名になりました。


ーーユニークな看板を設置したのはなぜ?

この1年はコロナ禍で何かと暗い話題が多く、学生生活も制限が多い中で大変そうでした。社会人としては明るいスタートを切ってほしい、会社で楽しくやってほしいと思い、設置しました。


ーー看板が“建設現場風”になった経緯を教えて。

2019年に社員向けのビンゴ大会を開いたとき、似た看板を設置したことがあります。そのときは「ご迷惑をお掛けしています。ビンゴ大会をしています」「リーチの方は前の方にお集まりください」という内容でしたが、社員の反応が良かったので、この流れを引き継ぎました。

社員向けのビンゴ大会での写真

ーー入社式は毎回こんな感じなの?

いいえ。これまでの入社式で面白い取り組みをしたことはありません。今回は3月、今年はおもしろおかしく期待を伝えてみようという話になり、設置することになりました。
 

「期待」は社長が手書きで書いたもの

ーー今回の看板はどのように作成した?

実は当社、看板の販売などはしていません。建設機械の説明に使うシールの印刷用に大型プリンターを所有しているので、印刷したシールと木材などを使い、リアルな看板に寄せて作りました。内容は20~30代の社員が中心となり考えました。

看板の文字はプリンターで印刷された

ーーこだわったところは?

こだわりは「期待」を社長が手書きした部分です。看板の内容を考えるときに建設現場の「ご迷惑をおかけします」はおかしいので、期待に変えることになったのですが、手書きの方が気持ちが伝わるのではと思い、せっかくならと社長が手書きしました。

もう一つは看板に「執念」という言葉を入れたところでしょうか。楽しく働くのはいいことですが、それだけではなく、目標に対する執念を持つことで結果も出ると考えています。

「期待」は社長自らが手書きしたという

新入社員「緊張していたけど和みました」

ーー新入社員の反応はどうだった?

「緊張していたけど和みました」「面白いなと思いました」「作るの大変だっただろうな」という意見をもらいました。先輩社員も作ってよかったと喜んでいました。


ーーネットでも反響を呼んでいるが?

建設機械レンタルの業界は知名度があまり高くありませんが、建設現場だと実は約6割の機械がレンタルなんです。建設業界は閑散期と繁忙期がありますし、特殊工法に特化した機械もあるためです。今回の投稿がきっかけで業界、会社を知る人が増えたらうれしいですね。

多種多様な建設機材をレンタルしている

ーー新入社員に伝えたいことは?

弊社の新入社員にも、全国の新入社員の方々にもですが、楽しく働くことは大事ですが、目標を立てて結果にこだわることは成長につながります。勉強をして結果にはこだわりながら、それでもユーモアは忘れずに仕事をしていってもらいたいですね。


建設現場の謝罪風というユニークな看板は、コロナ禍でつらい時間が続いた、新社会人を気遣ったものだった。仕事は楽しいことばかりではないが、このような遊び心は忘れないようにしたいところだ。

(画像提供:新光重機)

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