和み系?交通安全呼びかける看板が話題
運転中、思わず笑ってしまうような看板や標識に出会ったことはないだろうか。
交通ルールや運転時のマナーを流行りのフレーズとひっかけたり、様々な工夫がされた看板は記憶に残りやすく、思わず心も和むものだが…
今、岡山市内のあちこちに設置されている看板が、「インパクト大」とドライバーたちの目を引いている。

「シートベルトしないからフられたんだって?」
シートベルトをせずに運転したことがきっかけで彼女にフられてしまったらしい男性を励ますこちらは、シートベルトの着用を促す看板。
その表情の落ち込みっぷりに、自然と「シートベルトは大事だな…」と思わせられる、ユニークな仕上がりになっている。

「Hey ウインカー出そうぜ」
ウインカーを出すことを呼びかける看板には、親指をビシッと立て、ウインカーではなくウインクを飛ばす警備員さんの姿が。
にっこり笑った口元や、漫画のように星マークが飛ぶ爽やかなウインクに思わず笑いがこみ上げてくる。
厳しい言葉で注意を呼びかけるのではなく、むしろ“ユルい”雰囲気が漂うこれらの看板を手掛けているのは、岡山市の交通誘導警備会社・株式会社KIG。
SNSでは、実際にこの看板を見たという人たちから「この看板、めっちゃ好き!」「見かけると笑ってしまう」の声も挙がり、人気となっている。
一度見たら忘れられないビジュアルはインパクト大だが、一体なぜ、このような看板を作ったのだろうか。株式会社KIG代表取締役の田代康介さんにお話を聞いた。
きっかけは従業員の事故
――インパクトのある看板を設置しようと考えたきっかけは?
弊社で働いていた従業員が、自転車で車に轢かれ死亡するということがありました。非常にまじめな従業員でした。当時35歳と私と同じ年齢であったこともあり考えさせられました。
このことを受け「1件でも交通死亡事故がなくなれば」という想いと「やるならば弊社らしい形で楽しくインパクトのあるものに」という考えから看板設置に至りました。
また、弊社が交通誘導警備の会社なので交通安全啓発は積極的に取り組むべき事だと考えております。

――このような看板はどこに設置されている?
2019年7月から岡山市内の幹線道路沿い25か所に設置させていただいております。
この看板ができた背景には、従業員の交通事故があったというKIG。
見たら思わず笑ってしまう明るくインパクト大の看板だが、そこには悲しい事故を経験したからこその、交通安全への切実な思いが込められていた。
そして、「飲酒運転」や「飛び出し事故」への注意など、現在18種類あるという看板にモデルとして登場しているのは、実際の社員だという。
社長も社員も総出でモデルに!
――看板のモデルは誰?
まず、弊社の社員です。副社長や常務取締役を含む数名と私もモデルになっております。
また、他社様との「コラボ看板」も数枚あります。弊社の取り組みにご賛同いただいた会社様と共同で制作しており、現在6社にご協力いただいております。
コラボ看板は協力会社の社長様や従業員さまも弊社の制服を着て、モデルとしてご参加いただいております。

――キャッチコピーはどうやって決めている?
社内で話し合って、というか雑談のなかで決まっていきます。それをデザインをお願いする会社様に伝えて、これも雑談のなかで選定していきます。
ポーズはある程度指定はしますが、撮影しながら変わっていきます。モデルのポーズによっては看板の内容を変えることもありました。
反響の大きさには「今まで以上に真剣に…」
――看板を見ての反響は?
まず、メディア各社様のリアクションが一番大きかったと思います。何度かテレビ、ラジオ、新聞などで取り上げていただきました。そのこともあり、思った以上の反響をいただいております。
ユーザー様、求職者、地域の皆様に「見たよ!」「いい看板ですね」などお声かけいただくことも多いです。
モデルで一番多く看板に出演している副社長に関しては、知らない人から声をかけられるほどです。またインパクトがあるだけに批判的な意見も少数ではありますがいただきました。

――看板が話題になっていることについて…
とてもありがたく思います。この取り組みを通じて少しでも皆様の交通マナーや交通安全への意識が向上し、1件でも交通事故が減ってくれれば嬉しく思います。
また、少なからず岡山市内では注目されるようになりました。これが悪い方に転ばないよう、日頃の業務に今まで以上に真剣に取り組まなければと考えております。
思わず目を奪われてしまう看板だが、脇見運転はNG。
込められた交通安全への思いに心を寄せ、いま一度自分の運転マナーを振り返ってみたい。