特集は女性が活躍する「カーテン工房」です。長野県坂城町にある工場は甲信越最大級で、従業員の9割は女性です。業界では珍しいカーテンの「サブスク」も導入し、コロナ禍にあって元気な企業の一つです。
山田聡子さん:
「カーテンによって全然、部屋のイメージが変わって元気がでる部屋になった」
長野市の山田聡子さん。部屋の雰囲気を変えようと、子ども部屋のカーテンを取り換えました。
出口の見えないコロナ禍。カーテンで気分を明るくという人が増えているそうです。
ものづくりが盛んな坂城町に、甲信越最大級のカーテン工場があります。2003年創業の「ラジエル」。
月1万窓のカーテンを生産しています。生地を切って…長さを合わせ、カーテンに欠かせないヒダを入れます。オーダーカーテンの受注もしていて、有名な量販店や雑貨店に卸しています。
工場内を見渡すと、女性が多いことにすぐに気づきます。従業員60人の内、9割以上の56人が女性です。
従業員:
「子どもが小さい時も病気とかすればすぐに帰れるし、時間も割と優遇してもらえるので働きやすいかな」
「いい環境をつくろうというのが伝わってくるので、働きやすい」
実家の内装会社から独立し、ラジエルを立ち上げた滝澤社長。細やかな仕事ができる女性に働いてもらおうと、柔軟な働き方を模索してきました。
ラジエル・滝澤麻子社長:
「年齢とか働く時間というのをあまり決めてこなくて、ある程度、自由な形で組み合わせて働いていただいていたこともあって、自ずといろんな生活スタイルの女性が集まってきてくれるのかな」
2人の子どもを持つ大谷理恵さん。去年8月、産休を機に転職し、午前9時から午後2時までの5時間、パートで働いています。
大谷理恵さん:
「女性が活躍されている場所なので、そういう意味もあって(就職を)希望した。突然の休みが多いので、その辺を対応していただいているのでありがたい」
この日も午後2時すぎに退勤。子ども2人を迎えに保育園へ。
柔軟な働き方は子育て世代にフィットしています。
大谷理恵さん:
「一日の疲れが癒されるし、子どもの一日にあったことを聞けてリラックスできる時間。働いている方の事情を理解してくれて、下の子は月1回、病院に通わないといけなくて、そういったことを配慮していただけて大変ありがたい」
工場では幅広い世代の女性が働いています。仕上げのアイロンなどを担当する花立正子さん。会社員を定年で辞めてから64歳で働き始め、81歳になった今も現役です。
花立正子さん(81):
「(定年後は)パチンコとかして遊んでました。でも満足感がなくて、働きたいなって思ったんです」
カーテンを運んで…。
花立正子さん(81):
「なにかやることある?」
工場で働く60歳以上は8人。シニア世代の活躍の場になっています。
花立正子さん(81):
「(仕事に)追われるのが私は大好き。頭を使いますね、いろんなことで。働いてみて楽しいです、毎日来るのが」
働く女性たちへの意識は販売でも…。去年2月、直営店で始めたのは一定の金額でカーテンが替え放題となる「サブスク」、サブスクリプションのサービスです。
ココクラ・滝澤歩さん:
「居心地のよい部屋をつくりたいとか、部屋の雰囲気をガラッと変えたいと、手ごろな価格で挑戦できるということで、興味を持たれる方が多い」
サービスは会費と利用料をあわせ月額896円から。坂城の工場でつくった5万円相当のカーテンが借りられ、好きな時に交換ができます。(別途登録料が必要、交換手数料380円)
ココクラ・滝澤歩さん:
「こういうちょっとレトロなものにしたいという方が多い。今までは無難にという潜在意識があったと思うが、借りるのであれば、今まで挑戦できなかったこういう柄がいいよって方が多い」
コロナの影響による「おうち時間」の増加で注目も高まり、月10件ほどの問い合わせがあるということです。
冒頭で紹介した山田さんは、娘の萌生さんの部屋用に去年3月からサブスクを利用しています。
山田萌生さん(高3):
「この前のカーテンがシンプルだったので…」
雰囲気がガラリと変わる…。
山田萌生さん(高3):
「自分の好きなものに囲まれてる環境にいられることが、自分的には魅力的というか、元気になれる」
山田聡子さん:
「(購入であれば)初期費用に関して頭にちらついてしまうし、気軽に気分転換できるところと失敗を恐れずに試してみられる、それがよかった」
生産も、販売も、女性の生活を意識しているラジエル。元気な女性が作ったカーテンが、日々の暮らしを彩ります。
ラジエル・滝澤麻子社長:
「(従業員が)どうしたら健康で長く、楽しく過ごせるのかを考えられる、実現できる工場にしたい。80歳でも、ここで元気に働いていればこんなにきれいでかっこよくて、それで健康だという証明をしたい」