3月24日から開催される世界フィギュアスケート選手権2021。

2020年の世界選手権は新型コロナウイルスの影響で中止に。今年、スウェーデン・ストックホルムでは無観客にて実施される。

新型コロナウイルスの影響で、多くのスケーターたちも翻弄された。

そんな中で迎える世界選手権は、今シーズン最初で最後に頂上決戦になる。

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さらに、北京オリンピックを1年後に控えた今大会は、各国のオリンピック出場枠をかけた戦いとなる。上位2名の成績を合わせて「13」以内であれば3枠を獲得できるのだ。

最強ロシア勢を意識

紀平梨花選手も「世界選手権は(北京)オリンピックに向けてすごく大事な試合」と話している。

2020年の全日本選手権で4回転サルコウを初めて成功させ、2連覇を成し遂げたことで、紀平選手は北京オリンピックに向けて最大の武器を手に入れることができた。

それでも直後には「構成も上げられる状態で、伸びしろがたっぷりだと思うので、もう少し難しい構成で練習していこうと思います」と口にしている。

求めているのは、さらに難易度の高いジャンプ構成だ。

その理由は、最強のロシア勢の存在を意識しているから。紀平選手は2019年に「ロシアの選手で4回転がたくさん跳べる選手が上がってきているので、ジャンプ構成で負けないようにしたい」と明かしている。

近年、ロシアの選手は世界大会の表彰台を連続で独占し、女子フィギュア界はロシアを中心に回っている。

16歳の2人の新星

そんな最強ロシアをけん引しているのが16歳の2人の新星。

一人は、現ロシア女王のA・シェルバコワ選手。

大技4回転ルッツなど高いジャンプ技術に加え、高品質なスピンにエレガントなスケーティングとすべてを兼ね備えているオールラウンダー。

A・シェルバコワ選手は、「私たちの競技には、難しいジャンプとともに美しいスケーティング、どちらも必要だと思う」と語っている。

そして、女子4回転時代を切り開いたのがA・トゥルソワ選手。

「私はジャンプを跳ぶのが一番好きなので、すべてのジャンプを跳べるようになりたい」と話すように、13歳から跳び始めた4回転は、ルッツ、フリップ、サルコウ、トゥループとすでに4種類をマスター済み。

今シーズンは男子4回転時代の先駆者で“皇帝”プルシェンコの元へ移籍し、さらなる進化を予感させている。

ロシア勢の牙城を崩すべく、紀平選手がもくろむ最強のジャンプ構成は、2020年の全日本選手権で行った4回転サルコウにトリプルアクセル1本という構成から、後半にもう1本のトリプルアクセルを組み込むというもの。

これにより全日本より約5点も高い構成となり、1つのプログラムで4回転ジャンプとトリプルアクセル3本を成功させれば、世界初の快挙となる。

紀平選手は「すごく難しいことだと思うけれど、戦っていけると思うので、自分が一番うまい、勝つという気持ちで」試合に臨んでいきたいとしている。

北京オリンピックまであと1年。

紀平選手が自分史上最強のプログラムで最強ロシアに挑む。

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班