個人の金融資産が過去最高

いわゆる「タンス預金」が初めて100兆円を超えた。

日銀が発表した「資金循環統計」によると、個人が保有する預金や株式などの金融資産の合計は、2020年12月末時点で前年より2.9%多い1948兆円となり、過去最高となった。

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このうち、金融資産の半分以上を占める「現金・預金」も1056兆円と過去最高で、「現金」は101兆円と初めて100兆円を超えた。

日銀は「外出の機会が減り、消費が抑えられていることも背景にあるとみられる」としている。

また、民間企業の金融資産も2020年12月末時点で前年より6.2%多い1275兆円となり、過去最高となった。

弱者支援の政策のためにデータ拡充を

三田友梨佳キャスター:
このニュースについてエコノミストの崔真淑さんに聞きます。消費を抑えて貯蓄が増えているとのことですが、どうご覧になりますか?

エコノミスト・崔真淑さん:
感染拡大によってレジャーであるとか外食を控えるなど消費の機会が減り、結果として貯蓄が増えているのはその通りだと思います。ただ、貯蓄にどうしても回せない方々がいることも留意する必要があると思います。つまり株高を背景に金融資産を増やす富裕層そうではない方々の経済格差を考える必要があると思います

三田友梨佳キャスター:
問題は全ての国民が貯蓄を増やしているわけではなくて、余裕がない世帯にどう寄り添うのかということですね?

エコノミスト・崔真淑さん:
昨年全国民に配られた10万円の給付金のほとんどが貯蓄に回ったのではとの声がありますが、実は経済学の視点で詳細に検証してみると、全く違う姿が見えてきます。早稲田大学の研究チームによると、給付金が入ったその週にはATMの出金回数が急増することが報告されています。また、所得別に見てみると、所得の低い方は貯蓄に回すどころか、生活費にあてている傾向が見られると指摘されています

三田友梨佳キャスター:
広がる格差に対して政策面での対応が求められますね?

エコノミスト・崔真淑さん:
新たな給付の話が出てきているのは素晴らしいことだと思います。ただ、日本の今の政府統計データでは厳しい家計状況の方々の詳細なデータを入手することが難しいんです。なので個人の事情に寄り添った政策をするためにも、政府統計データの拡充がこれからより必須になるのかなと思っています

三田友梨佳キャスター:
昨年春の10万円給付の際には困窮者に絞った給付には時間がかかるということもあって一律給付に転じましたが、もうすぐそれから1年です。本当に困っている人を支えるより細やかな対応が求められます。

(「Live News α」3月18日放送分)