京都・福知山市。雄大な自然の中でタカを操るのは、小学4年生の村上心夏さん(10)。
その様子を師匠の衣川正幸さん(68)が見守る。

この記事の画像(12枚)

師匠・衣川正幸さん:
左の足に乗っかって、もっとぐっと。後ろに手を引いて思いっきり投げる!

衣川さんはタカやハヤブサなど、10羽ほどを飼育し、調教している。
状況に応じて鳥を使い分け、害鳥の駆除や、狩りなどをする伝統的な「鷹匠」の仕事を福知山で続けている。

2020年11月、そんな衣川さんに心夏さんは弟子入りした。

――衣川さんはどんな人?
心夏さん:

すごい人。タカを操れるすごい人

なぜ“鷹匠”の門を叩いたのか… きっかけはカフェでの出会い

普段は京都市内の小学校に通う心夏さん。
授業中は少し控え目で、友達と遊ぶ休み時間が大好きだ。

心夏さんの友人:
鳥について、一生懸命になれるのがすごいなって

心夏さんの友人:
鳥のことめっちゃ知ってるから、勉強になる

タカへの思いは、クラスメイトみんなが知っているほど。

家に帰っても、その勉強は欠かせない。
愛読書を見せてくれた。

心夏さん:
実際飼ってる人が自分の調教方法とか、エサが欲しいときのハリスホークの声とか、ハヤブサの声とか書いている

最初は、ただ動物を飼うことに憧れていた心夏さんだったが、自由に空を飛ぶ鳥にだんだん心惹かれていったという。

鳥とふれあえるカフェで、初めてタカを飛ばす体験をした時に、その魅力に目覚めた。

心夏さん:
飛ばすのが楽しかった。初めてタカに触れ合えたところやったから楽しかった

このカフェでは、タカを飛ばすこと1回につき500円だったが…

父・健介さん:
それを際限なくやりだしたから、『ちょっと待てよ』と…

当時の心夏さんのハマりっぷりを振り返るのは、父・健介さん。

心夏さんの興味はそれで終わらず、自力で鷹匠の衣川さんを見つけコンタクトを取ったのだ。

父・健介さん:
もともとすごい活発だったりだとか、社交的だったりした方ではないので、自分で好きなもの見つけて色々調べたりだとか、そこに連絡を取ろうとしたりとか、すごい成長したなと思う。僕はその熱意と成長に感化されていますね

早朝から片道2時間かけて…鷹匠の基礎から学ぶ

―2月13日 朝6時―

台所に立ちお弁当を作る心夏さん
自分の事は自分でするというのが、お父さんとの約束だ。

ほぼ毎週末、片道2時間。
お父さんの運転で福知山の師匠のもとへ向かう。

この日の訓練の相棒は、オスのオオタカ、光蘭。
大好きなタカに会えるこの日を楽しみにしていた。

師匠・衣川さん:
(エサ)やったらすぐ閉める、ポケットに入れる

心夏さん:
ありゃ…

師匠・衣川さん:
落ちた、ははは。これは失敗だな

今教わっているのは、まだ鷹匠の基礎の基礎。
エサを使って、タカを呼び寄せる訓練だ。
しかし羽を広げたら1mを超えるタカに、片手でエサを与えるのは一苦労。

それでもあきらめず、福知山の自然の中で、一歩づつタカとの信頼関係を育んでいく心夏さん。

時刻は昼過ぎ、ようやくお昼ご飯の時間だ。
朝作ったお弁当を師匠におすそ分け。

師匠・衣川さん:
卵焼き自分でしたん?すごいね。
うん、上手にしてるわ。バッチグーやな

生きていたウズラの解体も 10歳が肌で感じる“命の大切さ”

師匠に教わるのは、タカを操る技術だけではない。
タカのエサは先ほどまで生きていたウズラ。
ハサミを使って、タカが食べやすいサイズに自分で解体する。

師匠・衣川さん:
動脈が通ってる。これをつまんで、首の骨と別個にせな

父・健介さん:
すごい大事なことを教えて頂いてる。こういうことも知っておかないと。動物園とか、都合のいいところだけ見てるとわからないことばかり

鷹匠は、多くの生き物の命によって、成り立つ仕事。
衣川さんは、10歳の心夏さんにもその重さを教える。

訓練後は、師匠の家で勉強の時間。
歴史や文化をしっかり学んで、知識も技術も身に着けた鷹匠になることが心夏さんの目標だ。

師匠・衣川さん:
本当に私としては、こんな小さい子が習いたいってことに対して、本当に喜んでいます。好きっていうのがむちゃくちゃ出てましたから

心夏さん:
もっとタカに慣れてもらって、いろんなことができるようになりたい

1000年を超える伝統の「鷹匠」。
10歳の新たな世代が、一生懸命その夢を追いかけている。

(関西テレビ)