2020年の暮れにオープンしたばかりの多国籍料理のお店。珍しい料理が魅力のお店だが、コロナ禍で飲食店が厳しい時期にあえてオープンに踏み切ったのは、大きな目的があった。

広島市中区の市営基町高層アパート内にある基町ショッピングセンター
この記事の画像(13枚)

見慣れない多国籍メニューずらり 本場の味を知る人は…

広島市中区の市営基町高層アパート。その中にあるショッピングセンターに2020年12月、新しいお店が誕生した。アジアを中心とした多国籍料理のお店、「和屋(なごみや)」。看板には、見慣れないメニューが並ぶ。おすすめの料理は…

和屋 店長・李玲さん:
いろいろな国の料理をふるさとの味で作りたいと思います。中国の料理で、羊、マトンの肉、串焼き

炭火で焼く串焼きは、自動で串が回転する。スパイシーでピリ辛の味がビールにぴったり! その味は、本場の味を知る人も大満足。

炭火で焼く羊肉の串焼き

中国出身・来日14年の女性:
中国で羊の肉を焼くのはこういう店は多いですから。日本ではなかなかないから、これはやっぱり本格的。中国っぽいなと思います

そしてこちらは、桂林(けいりん)ビーフン。中国桂林のソウルフードで、太めのビーフンに揚げ大豆や揚げ豚肉、パクチーなどの具材をのせ、タレを混ぜて食べる。

中国桂林のソウルフード・桂林ビーフン

広島で最も高齢化と国際化が進む地区 国際交流と地域活性化の場に

広島で珍しい料理が楽しめるお店。だが、コロナ禍で飲食店が厳しい時期にあえてオープンした理由を、オーナーの曽憲忠さんに聞いた。

和屋オーナーの曽憲忠さん

和屋 オーナー・曽憲忠さん:
コロナ禍の影響でいろんなところ、ちょっと暗いニュースがたくさんありまして。普通の生活に戻りたい、僕たちもこの希望ですね、この店に託して、暗闇の中の光みたいな感じでこの店を開きました

1997年に中国人留学生として、広島に移り住んだ曽さん。広島修道大学で広告論の講義を受け持つほか、外国人支援センターの理事などを務め、中国やベトナムなどからの留学生や技能実習生たちの支援を約20年続けている。

中国人留学生として広島に移り住んだ曽憲忠さん。外国人支援センターの理事なども務める

和屋 オーナー・曽憲忠さん:
今までずっと国際交流の仕事をしてまして、おかげでいろんな国の方と交流ができて、食文化というのが国際交流、世界平和に貢献できるのかなと思ってます

2020年9月には、同じショッピングセンターに食料品店「やす屋」もオープン。外国籍の住民にとって懐かしい野菜や食材などを調達し、留学生の働く場所づくりも行っている。

和屋 オーナー・曽憲忠さん:
この基町地区は、広島で一番高齢化と国際化が進んでいる地区で、つまり外国籍の住民が一番高い比率でここに住んでいます。基町は私が大好きなので、ここになにかの国際交流の貢献が、活性化につなげれば、自分の力を生かしたいなと思ってます

高齢化と国際化が進む基町地区

コロナ禍で失われた人と人のつながり 多文化共生の場に

そうした中、新型コロナは、広島に住む外国籍の人たちに大きな影響を与えている。

中国出身・来日9年の女性:
中国に帰れないことは困っている。家族が親戚とか会いたい。でも仕方ない、帰れない

インド出身・来日3年の男性:
仕事は少なくなってきた。テレワークになってばっかりで、家から出られなくてストレスも

中国出身・来日3年の男性:
コロナのせいで、なかなか仕事も探せない。入国管理局のそういうビザの状況でも厳しそうなんで、多くの人が困っていますよね

こうした声を受けて、お店では、在日外国人向けの無料相談会も開催。行政書士や弁護士、社会労務士、ライフプランコンサルタントが専門家としてアドバイスを行う。

和屋 オーナー・曽憲忠さん:
コロナ禍によって、アルバイトがなくなったり、就職ができなくなったりとか、いろんな困りごとがあれば、いつでも来られるように拠点にしたいと思います。外国の方ももちろん、地元の日本の方にも来てもらいたいですね

故郷から遠く離れた人を助け、街を活気づけるために始めたこのお店。コロナ禍で失われがちな、人と人のつながりが生まれる場所。

和屋 オーナー・曽憲忠さん:
コロナの影響で、海外に行くのが難しくなってるかもしれませんけども、ここでも国際交流ができます。これを国際交流の場だけじゃなくて、いろんな意味での多文化共生の場として使っていただきたいなと思っています

(テレビ新広島)