半世紀ぶりに里帰りした木造客車
明治時代に造られ、かつて高知県内を走っていた木造の客車が、半世紀ぶりに高知・佐川町に里帰りした。
マッチ箱のようなフォルムに、少しあせた色がレトロな風合いを醸し出しているこの客車。
明治39年に造られ、国内に残る唯一の四輪木造2等客車「ロ481号」。

高知・佐川町の旧青山文庫の隣に新しく誕生する施設に客車を搬入するために、作業員など10人以上が、3月8日午前9時から作業を開始。ジャッキや専用の台車などを使い、細かい調整をしていた。

長さ約8メートル、幅約2.5メートルのこの「2等客車」は、今のグリーン車にあたる。

1924年に、旧・国鉄の須崎 - 日下間が開業した時から活躍していた貴重な客車。座席はシックな赤。

中央部分には、洗面所とトイレが備わっていたことがうかがえる。
「町の歴史を感じて」新たな観光資源に期待
廃車後の1933年、佐川町出身で宮内大臣などを務めた田中光顕の尽力により、国鉄から佐川町に寄贈。青山文庫の隣で、図書の「閲覧室」として、35年にわたって町民に親しまれてきた。

しかし、老朽化により1968年に国鉄に返還。香川県の多度津工場で修復され、保管されていた。
今回の展示は、佐川町が観光客を誘致するためにJR四国に要望し、実現したもの。

美崎由梨記者:
作業開始から4時間。客車の車輪がレールの上に乗りました
5時間の作業を経て、7.4トンの客車は、ようやく施設の中に収納された。

見学していた町民:
ここで、いつも本を読みよった。ここは読書室やった。また昔の佐川、古い佐川が復活するのはいいこと

新たな観光資源に、町も期待を寄せている。
佐川町 チーム佐川推進課・大原秀平さん:
鉄道ファンはもちろん、(青山文庫がある)上町地区は歴史的街並みが素晴らしいので、上町地区に来た方にも客車を知ってもらって、佐川町の歴史を感じてもらえたら

客車が展示される新施設は、4月上旬にオープンする予定となっている。

(高知さんさんテレビ)