政府は2日、2050年までの「脱炭素社会」の実現を明記した地球温暖化対策推進法の改正案を閣議決定した。

小泉環境相:
国民一丸となって、このカーボンニュートラルへの道を歩んでいく法的な基盤とすべく、成立に向けて全力で汗をかきたい

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地球温暖化対策推進法の改正案は、基本理念に「2050年までの”脱炭素社会”の実現」と明記。自治体の実行計画で、再生可能エネルギーの利用促進の実施目標を定めることに努めるなどとしている。

実現困難だが社会変革のメッセージに

三田友梨佳キャスター:
環境やエネルギー政策にくわしい、国際環境経済研究所理事、主席研究員の竹内純子さんに聞きます。

政府が掲げる2050年の温室効果ガスの実質ゼロというのは、これは本当にクリアできるものなのでしょうか?

国際環境経済研究所理事 竹内純子さん:
実現可能かどうかといえば、極めて難しい目標です。

日本はいいかげんな目標を掲げて、それを世界に示したのかと思われる方もいるかもしれませんが、実は日本に先行して高い目標を掲げる欧州諸国も、具体的な実行計画があるわけではありません

ビジョンを掲げて、この大きな目標に向かって社会変革を進めようというメッセージとして受け止めるべきもので、そこに意味があるとご理解いただければと思います。

三田キャスター:
その社会変革のためには、具体的にどうしていったらいいのでしょうか?

国際環境経済研究所理事 竹内純子さん:
まず大事なのは、温暖化対策を進める責任者の1人は国民だということを理解する必要があります。

地球温暖化のために行動するのは、政府や自治体、あるいは電力会社の仕事と思っておられる方も多いかもしれませんが、どんなエネルギーを使うかの選択をするのは国民で、そのコスト負担も税金、あるいは電気代という形で国民が負うものであるということを考えていただければと思います。

また、どの国も環境と経済成長の両立を目指していますが、この変革には長い時間と莫大なコストがかかります。

環境への投資で雇用が生まれる一方で、失われる雇用もあります。
変化にはいいことばかりではなく、痛みもともなうということを覚悟しないといけないと思います。

省エネの努力も必要

三田キャスター:
そうですね。そしてもう一つというと、やはり再生可能エネルギーの導入がポイントとなるのでしょうか?

国際環境経済研究所理事 竹内純子さん:
確かにそれも重要ですが、省エネなどあらゆる努力が必要です。

再生可能エネルギーを主力電源にするには、再エネをもっと安くするということが必要ですし、太陽光や風力発電の変動性を調整する火力発電なども当面は必要です。

再エネが主力電源になるには、低コスト化や利便性向上を進めていくということ、イノベーションが進むことが大切で、まさに社会変革であるといえます。

三田キャスター:
1人1人の小さな変化の積み重ねが、自分のため、そして未来の世代のためにつながっていくと考えると、環境配慮の意義を強く感じますし、あらためて意識して行動していきたいと思います。

(「Live News α」3月2日放送分)