中国「海警法」施行 岸防衛相は日英2+2等各国へ“危機感”外交を展開

2月1日に中国が海警局の公船「海警」に武器使用を認める「海警法」を施行。「中国“海警”の第二海軍化が進む」(自民・下村政調会長)と指摘する声があがるなど、沖縄県・尖閣諸島を巡る緊張が高まっている。

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こうした中、日本の国防を司る岸信夫防衛相が「海警法」への“危機感外交”を各国に展開している。岸防衛相は、安倍前首相の弟で、台湾との議員交流を行う「日華議員懇談会」の幹事長を務める“親台派”で知られる。防衛相就任前の2020年1月のFNNのインタビューでは、対中戦略のカギは「日米台連携」と語るなど、以前から中国の海洋進出に強い“危機感”を抱いていた。

「海警法」が施行されると、岸防衛相は3日の日英外務防衛閣僚会議(2+2)で、すかさず「海警法」を取り上げ日本側の強い懸念を伝達。周辺によれば、岸防衛相の強い意向で会議の議題としてとりあげることになったという。

また、海洋進出を強める中国を念頭に「力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対」することも確認した。さらに同3日には駐日トルコ大使との会談、翌4日のサウジアラビア国防副大臣との電話会談でも「海警法」に言及。

サウジアラビア国防副大臣と電話会談する岸防衛相(2月4日)

さらに9日、アメリカのヤング駐日臨時代理大使と省内で会談した際には“海警法が国際法に反する形で運用されることがあってはならない”(茂木外相)とする政府の答弁ラインを「海警法は断じて受け入れられない」とより強い言葉に前進させた。

米ヤング臨時代理大使と会談する岸防衛相(2月9日)

防衛省関係者は「中国に対しては言うべきことは言うという大臣の強い意志の表れだ」と解説する。また24日に省内で会談したUAE=アラブ首長国連邦の次期駐日大使に対しても、「海警法」の話題を取り上げた。

岸防衛相は、各国との会談で「海警法」を取り上げる理由について周囲に「とにかく東シナ海の問題を知ってもらうことが重要だ」と語る。その姿勢は兄の安倍前首相が政権の最重要課題として取り組んだ「拉致問題」を各国との首脳会談のたびに取り上げた姿に重なる。

岸防衛相は記者会見で「中国の海警法は国際法との整合性の観点から問題がある。断じて受け入れられない。“疑念”という私の発言は、こうした問題意識から強く申し上げた。防衛省・自衛隊としては国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領空を断固として守るという方針のもと、冷静かつ毅然と対応していく」と強調した。

中国には「領土・領空・領海断固守り抜く」と宣言 アメリカとは尖閣の安保適用を確認

岸防衛相は「海警法」施行以前から中国に対し「言うべきことは言う」姿勢を鮮明にしている。2020年12月14日に、中国の魏鳳和国防相と初めて電話会談した際、「我が国は尖閣諸島を実効支配している。同諸島をめぐる解決すべき領有権の問題は、そもそも存在しない」と主張し、「我が国の領土・領空・領海を断固守り抜く」と強く牽制した。

日中防衛相電話会談に臨む岸防衛相(昨年12月14日)

さらに1月20日にアメリカでバイデン政権が誕生すると、就任直後のオースティン国防長官と24日に日本の閣僚として初の電話会談を実施し、尖閣がアメリカの防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用対象であることを確認した。自民党重鎮は「アメリカの政権交代後、すぐさま尖閣の安保適用を認めさせ、さらに日本が提唱した“自由で開かれたインド太平洋戦略”にも触れられたのは大きな成果だ」と評価した。

2月26日の記者会見では、アメリカの報道官が「海警法」を批判したことに「完全に同意する」としたうえで、「現場を預かる防衛相として断じて受け入れることはできない。我が国の強い懸念はこれまでも中国に伝えてきているが引き続きしっかりと伝えていきたい」と強調した。

自民党の保守系議員からは、安倍政権から保守色の薄い菅政権に移行した当初より、日本を取り巻く安全保障環境がさらに厳しくなるのではとの懸念の声があった。そうした中で、安倍前首相の弟・岸防衛相の「尖閣防衛」に向けた今後の戦略・発信に注目が集まる。

(フジテレビ政治部)