国内出荷額は1835億円 4カ月連続プラス

1月の白物家電の国内出荷額が過去最高となった。

日本電機工業会が発表したエアコンや冷蔵庫など、いわゆる「白物家電」の1月の国内出荷額は1835億円と、前の年の同じ月に比べ20.7%増え、4カ月連続のプラスとなった。

この記事の画像(6枚)

これは、比較できる統計のある1986年以降、1月としては過去最高だという。

緊急事態宣言により巣ごもり需要が高まった他、在宅時間が増えたことで、空気清浄機が約2.3倍、掃除機が約3割増と好調だった(共に前年同月比)。

また、調理家電も引き続き人気だという。

課題は「世界中に売っていくプロセス」

三田友梨佳キャスター:
このニュースについて、早稲田大学ビジネススクール教授でソニーの商品開発を手掛けていたキャリアもある長内厚さんに聞きます。白物家電が好調ということですが、長内さんはどうご覧になっていますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
日本の家電メーカーにとって良いチャンスになると思います。今まで日本の家電メーカーは、常に新しいものを追いかけるという特徴があって、既存事業を作ってしまうとすぐに新しいものに飛びついてしまう傾向があったんですね。

白物家電も少し前までは、あまり技術革新のない過去の物のように思われた節もあって、既存技術でもこれだけ新しいことができる、これだけ需要が生まれるということなんです。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
もう少し言うと、既存事業でも価格競争を下げて、高い付加価値を付けられるのが特徴です。
例えば洗濯機では、安い洗濯機もありますが、10万円以上のドラム式洗濯機が好調だったり、ルームエアコンも少し高いけれども環境性能の良いものが人気だったりする。

日本メーカーが得意とする付加価値をつけて売っていくことが、あらためて評価されていると思います。既存事業でしっかり利益を獲得することは、新規事業の開発投資の原資にもなるわけです。

三田友梨佳キャスター:
そうした中で、日本のメーカーがさらに飛躍するためには、何が必要だと思われますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
課題としては、日本の家電は国内中心で海外の売上比率が極端に少ないです。収益性を上げるには規模が必要ですので、日本以外の欧米も含めてしっかり参入していくことが必要です。

日本メーカーは今まで、良いものを作ればお客さんはわかってくれるという思いが強かったのですが、逆にしっかり世界中に売っていくプロセス。これが少し足りないんじゃないかと思います。

三田友梨佳キャスター:
売り方があまりうまくいっていない、ということですか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
量販店で大量販売されたり、ネット販売されるという最近の流通を考えると、お客さんにダイレクトに訴えかけることがどうしても重要になると思います。

アメリカの市場で、アップルやサムスン、LGといったメーカーが強いのも、お客さんに直接訴えかけるのが強いからで、メーカーが顧客に訴えかける、売ることもしっかりやることが、これから必要になってくるんじゃないでしょうか。

三田友梨佳キャスター:
もちろん、文化や生活様式に根差した白物家電は、日本で人気だからといって、そのまま海外の市場で成功するとは限りませんが、ニーズをしっかりと見極めながらどのように売るのか、その戦略が問われているようです。日本のメーカーが過去に世界で示していた存在感、ぜひ取り戻してほしいと思います。

(「Live News α」2月24日放送分)