眞子さまの結婚「国民の間で様々な意見があることは承知」

--秋篠宮さまの立皇嗣の礼が終わりました。陛下のご感想をお教えください。長女眞子さまは,小室圭さんとの結婚についてのお気持ちを公表した文書で「天皇皇后両陛下が私の気持ちを尊重して静かにお見守りくださっていることに,深く感謝申し上げております」と記されました。秋篠宮さまは結婚を認める考えを示されましたが,陛下はどのようにお考えですか。お二人の結婚に関して国民の間で様々な意見があることについて,どのように捉えていらっしゃいますか。

延期されていた立皇嗣の礼関連の主要な諸行事が滞りなく終了したことに安堵しています。その立皇嗣宣明の儀において,秋篠宮は,「皇嗣としての責務に深く思いを致し,務めを果たしてまいりたく存じます」と述べたことを心強く聞きました。 

秋篠宮には,皇嗣として,その職務もますます重いものとなっていきますが,秋篠宮妃共々,身体に気を付けながら,務めを果たしていってもらいたいと思います。

眞子内親王の結婚については,国民の間で様々な意見があることは私も承知しております。このことについては,眞子内親王が,御両親とよく話し合い,秋篠宮が言ったように,多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております。

秋篠宮ご一家 2020年12月5日撮影
この記事の画像(10枚)

--現在,皇位継承は男性に限られていますが,長い歴史の中では女性が天皇になった事例もありました。一方,ヨーロッパの王室では近年,性別に関係なく長子を優先して継承する動きが広がっています。皇室の歴史や伝統と,世界的に進むジェンダー平等や女性の活躍推進の動きについて,陛下はどのようにお考えでしょうか。

御質問において言及されたようなヨーロッパの王室などにおける状況はよく承知しています。しかし,昨年も申し上げたとおり,制度に関わる事項について,私から言及することは控えたいと思います。

感染症がなかなか収束しない状況を憂慮

--この1年を振り返って印象に残った出来事についてお聞かせ下さい。間もなく東日本大震災から10年になります。陛下はこれまで皇后さまと被災地をたびたび訪問し,被災者に心を寄せてこられましたが,被災地の人々や復興への思いもあわせてお聞かせ下さい。

この1年は,新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました。新年のビデオメッセージでも述べたとおり,私も雅子も,この感染症がなかなか収束しない状況を憂慮しております。

令和3年新年ビデオメッセージ 宮内庁提供

また,この感染症の感染拡大の影響により,特に,多くの可能性を持つ若い人々が苦境に陥っていることや,女性や若者の自殺や家庭内暴力・児童虐待などが増加していることなども危惧しております。

他方,この苦難に直面しての我が国の国民の忍耐力や強靱(じん)さに感銘を受けるとともに,この1年でとても多くの「感謝」の気持ちを感じたことも印象に残ったこととして挙げられます。

医療従事者の皆さんが,新型コロナウイルス感染症が流行し始めてからというもの,自らの感染の脅威にさらされながらも,強い使命感を持って,最前線で,昼夜を問わず,患者さんの命を救うために尽力いただいていることに心から感謝いたします。

また,保健所の方々など,患者を適切に医療現場につなぐべく,努力をしている方たちにも心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。

この1年,新型コロナウイルス感染症の様々な影響に苦しんでいる方々の思いや置かれている状況をより深く理解し,寄り添えればとの気持ちから,様々な分野の専門家や現場で対応に当たられている方々から,雅子と共にお話を伺ってきました。

天皇陛下の会見 2月19日 赤坂御所

高齢者や障害者,あるいは生活困窮者や生活困窮世帯の子供たちなどの現状について理解を深めるとともに,たくさんの方が,社会的に弱い立場にいる人々を支え,その命と暮らしを守るために力を尽くしていることを大変有り難く思いました。そのような方々が,自らも感染症による負担や苦労を強いられる中で,なおも大勢の他者のために尽くす姿に大変感心いたしました。

また,教育現場では,多くの学校行事が中止とならざるを得ない中,小学6年生たちが,自らプロジェクトチームを立ち上げ,様々な演出を凝らして思い出に残るイベントを作り上げた話や,地域で子供たちの学びを支えるボランティアが増え,例えばボランティアの皆さんが教室の消毒作業に協力してくれた話などを伺い,新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって様々な制約が課される中,子供たちのたくましさや人々の優しさを今まで以上に感じる話を聞くことができました。

長引く感染症の流行への対策を継続することは努力を要します。自らのできる範囲で感染の拡大防止に努める多くの皆さんに感謝いたします。親族・友人など親しい人との直接的な接触を避け,暮らしの隅々に注意を払う生活にはストレスを感じる方も多いと思います。皆さんお一人お一人が,人知れず続けている努力を多といたします。

「明日は好い日になる」と信じ

英国で,歩行器の補助を必要としながらも,新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者を支援するため,100歳の誕生日までに自宅の庭を歩いて100往復する活動により多額の寄付金を集め「キャプテン・トム」の愛称で知られるようになったトム・ムーアさんの行動とムーアさんへの爵位授与,そして,今月,ムーアさんが新型コロナウイルス感染症で残念ながら亡くなった際に,多くの人がその死を悼み,功績をたた讃えて拍手を送ったことも深く印象に残りました。

尽力する医療従事者を,自分のできる精一杯の努力で支援しようとする人を,更に無数の人々が優しく包むように応援する姿に感銘を受けました。ムーアさんは,生前「明日はきっと好(よ)い日になる」との言葉を残しています。今は確かに困難な日々を送らざるを得ませんが,一人一人が自分にできる感染防止対策を根気強く続けることで「明日は好(よ)い日になる」と私も信じ,そうなることを願わずにはいられません。

「キャプテン・トム」の愛称で知られるトム・ムーアさん

新型コロナウイルス感染症について,日本国内への影響を中心に述べてきましたが,昨年強い印象を受けたのは,この感染症が全世界的な広がりを持つものになっているということです。

先日,私は雅子と共に「国連水と衛生に関する諮問委員会(UNSGAB)」満了5周年のオンライン国際会議に参加しましたが,その場でも感染対策としての水の重要性が話題になりました。感染拡大防止対策として,我が国では,いわゆる三密回避,マスク着用と並んで手洗いが当然のこととして行われていますが,世界には,手洗いに適した衛生的な水が満足に得られない地域もあります。

「国連水と衛生に関する諮問委員会満了5周年記念オンライン会合」に参加する両陛下 2月12日

また,世界では,特に発展途上国を中心に,新型コロナウイルス感染症以外でも,結核,マラリア,HIV/エイズ,エボラ出血熱など,様々な感染症が非常に多くの人命を奪っています。これらの感染症を克服するには,一国のみの努力では不十分であり,国際的な協力が不可欠であることを改めて認識させられています。

昨年は新型コロナウイルス感染症に加え,自然災害もありました。7月には,豪雨により,熊本県を中心に,多くの尊い命を失われたことが痛ましい記憶として刻み込まれています。気候変動由来と見られる自然災害の巨大化・広域化が懸念されます。

昨年は戦後75年でした。節目の年を迎え,戦争の悲惨さと平和の尊さを今後とも心に刻んでおかなければならないとの思いを新たにいたしました。また,先の大戦で世界で唯一の被爆地となった広島,長崎には永く心を寄せていきたいと思います。

明るい話題としては,昨年12月に,小惑星探査機はやぶさ2が,長期にわたる壮大なミッションの第一部をやり遂げたことにより,人々に夢をもたらしたという快挙がありました。はやぶさ2が持ち帰った成果がどのような発見につながるのか,私のみならず多くの人々が期待していると思います。

「被災地に永く心を寄せていきたい」

東日本大震災からもう10年が経とうとしていますが,この震災が2万人を超える死者・行方不明者をもたらし,各地に甚大な被害を及ぼしたことは,今思い出しても胸が痛みます。

震災直後,岩手・宮城・福島各県へのお見舞いや首都圏に避難されてきた方々のお見舞いをさせていただき,その後も,雅子と一緒に被災地を何度か訪問して復興状況を見てまいりましたが,被災地ではまだ様々な問題が残っているように思います。

宮城・岩沼市 2011年6月

確かにインフラ面では再建が日々進んでいますが,御家族など親しい方が亡くなられた方々,避難を余儀なくされ,家族や友達が離散してしまったり,生活環境が一変してしまった方々のことを考えると,震災からの傷がまだ癒えていないというような気がいたします。

つい最近の,今月13日には,マグニチュード7を超える地震が福島県沖においてありました。被災された皆様に心からお見舞いをお伝えいたします。

報道では,10年前を思い出したとの声も多く聞かれました。未曽有の災害がもたらした被害の大きさが改めて思い起こされるとともに,東日本大震災については,過去のこととしてではなく,現在も続いていることとして考える必要があることを改めて感じました。

私も雅子も,今後とも被災地の方々の言葉に耳を傾け,被災された方々の力に少しでもなれるよう,被災地に永く心を寄せていきたいと思っています。そしてまた,機会があれば,10年を超す歳月を経た被災地を訪れてみたいと願っております。

関連質問

--眞子さまと小室さんの結婚の問題について,陛下は「多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願います」というふうに述べられました。そのためには何が必要とお考えになりますでしょうか。

この件に関しましては,先ほど申し上げたこと以上のことは,今はお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

眞子さま婚約内定会見 2017年9月

--2問目の質問で愛子さまの現在の御様子についてお伺いいたしましたが,愛子さまの将来の御結婚については,陛下はどのようにお考えでしょうか。

愛子は先ほども申しましたとおり,大学生活も始まったばかりですので,今後ともいろいろなことを学びながら,自分としての視野を広めていくことになると思います。私もその過程でいろいろなことを恐らく相談に乗ることと思いますので,結婚のことも含めて,いろいろ将来のことも話し合う機会というものがあるかと思います。

愛犬と散歩する愛子さま 2020年11月22日撮影

--一番最初の,新型コロナに関する質問の関連なんですけれども,昨秋以降,オンラインの活動を陛下も始められていましたが,それに至るまでですね,なかなか国民との直接の交流ができないという状況がずっと続いた中で,陛下自身ですね,もどかしい思いだったり,早く国民に会いに行きたいというかですね,そういったですね,危機感だったりですね,そういった思いを抱いたことはございましたでしょうか。

現在の新型コロナウイルス感染症の感染状況では,三密を避ける,つまり人と人との交流というものが閉ざされてしまって,言ってみれば本当に日常生活が大きく変わったというふうに感じます。

会見ではアクリル板を設置 2月19日 赤坂御所

その中で,本当に一人一人が大変な御苦労をされていた現状では,やはり皆さんのことを,私も大変気になったわけですけれども,今は皆さんのところに会いに行くということ,お話をするということをしてはいけないことでありますので,国民の皆さん一人一人への思いを持ちながら,今,自分ができることはいったい何なんだろうかということを常に考えながら,日々を過ごしてきたように思います。

その過程でもって,オンラインというものもいろいろ普及してきましたし,先ほどもお話ししましたように,水の関係の国際会議で実際にオンラインをやってみたところ,人と人とのつながりというものを肌で感じることができましたので,宮内庁ともいろいろ相談をしながらオンラインで,皆さんとつながっていくということを考えるに至ったわけです。ですから,オンラインはそれなりの課題というものも,先ほどお話ししたようにあると思いますけれども,これからはそういうものを使っていきたいというふうに思っております。