入院患者数が依然高水準
「入院患者数は大きく減少することなく非常に高い水準で推移しており、医療提供体制の逼迫は長期化している」
東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議では感染状況、医療提供体制とも、先週と同じく最も深刻なレベルに据え置かれた。

会議では感染状況について新規感染者の7日間平均が先週の684人から524人に減ったものの、「高い値で推移している」との見方を示された。
また、病院や高齢者施設でクラスターが多発し、重症化リスクの高い65歳以上の高齢者層に感染が拡大している、という。
国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、現在、前の週の7割程度となっている新規感染者の増加比をさらに減少させて「数週間」維持できれば、保健所や医療の体制を大きく改善させることが期待できる、と述べた。

東京都医師会・猪口正孝副会長:
「感染者数は明らかに減ってきているが、新規の入院患者数はあまり減っていない。どうしても2週間は入院なさるので、入院患者数は減らないでおります」
入院患者数は、3日時点で2,876人、9日時点は2,606人と横ばいだ。
東京都医師会の猪口正孝副会長は、入院患者数は感染者数とともに減るわけではない、と強調した上で、「去年の夏から続いている逼迫状態、医療関係はずっと疲弊しておりますので皆さんのご協力を是非お願いします」と長期戦の苦しさと協力を訴えた。

「ランチ人口」増でリバウンドの恐れ
「いわゆるリバウンドの恐れもございます」
東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、人の流れ、特に繁華街におけるレジャー目的の滞留人口が、緊急事態宣言前に比べて夜間は9.3%減っているのに、昼間は15.1%増えている、というデータを示した。

「ランチの時間帯、12~14時の繁華街の滞留人口の増加傾向が顕著。要注意であろう」
ランチ時間帯、いわゆる“昼飲み”も増えているということだろうか、ランチ時間の感染予防対策の徹底も求めた。
他県解除で東京も緩む?
また、西田淳志センター長は、2020年5月の緊急事態宣言について、「都の解除に先立ち39県の解除が行われた時点から、都内主要繁華街の夜間滞留人口は増加に転じている」と述べた。
他県で宣言が解除されると都内でも夜に出歩く人が増えた、つまり、他の自治体の解除が報道されることで、都民の行動も“緩みがち”ということだろう。
ちなみに、感染収束前に夜間滞留人口が増えるとその後2~3週間で感染者数の増加が起きているという。
小池都知事も「他が解除するとその情報が結果として人の出を進めてしますようなことに繋がっている」と指摘した。
記者の質問にいらだつ小池都知事

小池都知事(午後2時頃):
「解除の話はもう少し先にしてくれませんか」
小池知事はモニタリング会議後記者から解除時期ついて質問されると、強い口調でこう答えた。
小池都知事(午後2時頃):
「(感染者数を)できるだけ下げるんです」
新規感染者数の7日間平均を何人まで下げるべきか問われると、“緩み”への警戒だろうか、小池都知事はまたも強い口調で答えた。
警戒レベルをいつ下げる?

「”7日間平均7割”は難しい。7割減ったところから更に7割減らしていくというのは時間が経てば経つほど厳しくなる」
ある関係者は、今後の感染者数削減の難しさをこう語った。
その一方で、別の関係者は、現在最も深刻としている感染状況と医療提供体制の警戒レベルをいつ「下げる」のか、その判断の難しさを話した。
「オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーが走るとなったときに、(感染状況と医療提供体制とも最も深刻な)赤赤とはいかないだろう」
組織委員会の森会長の女性についての発言の波紋がさらに大きくなる中、聖火リレーのスタート予定日も近づいてきている。
「一人一人の意識が総体としてどうなるか」。小池知事は改めて1人1人の協力の重要性を訴えた。
執筆:都庁担当 小川美那記者