8戦全勝…負け知らずのボクサーが新人王に挑戦

高知・四万十町出身のプロボクサーが2月、世界を知るトレーナーと二人三脚で四国初の偉業達成に挑む。男性の1日に、カメラが密着した。

サンドバッグに強烈なパンチをたたき込むのは、四万十町出身のプロボクサー、スーパーバンタム級の福永宇宙(そら)選手(23)。

サンドバックに強烈なパンチを打ち込む福永宇宙選手
サンドバックに強烈なパンチを打ち込む福永宇宙選手
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プロボクサー・福永宇宙選手:
(母親が)宇宙のように大きな男になってほしいと名付けた。

ーー今のところは?

プロボクサー・福永宇宙選手:
今のところは完全名前負け(笑)

宇宙(そら)の由来について説明する福永宇宙選手
宇宙(そら)の由来について説明する福永宇宙選手

そんな福永選手だが、2018年にプロテスト合格後、これまでの戦績は8戦全勝4KOと負け知らず! まだ一度のダウンも許していない。

全戦全勝と負け知らずで勝ち上がってきた
全戦全勝と負け知らずで勝ち上がってきた

連戦連勝の男が本格的にボクシングを始めたのは、プロボクサーとしては遅い、高校を卒業してからのことだった。

プロボクサー・福永宇宙選手:
自分にずっと劣等感があったので、何もかもが中途半端だった。周りはみんな進学や就職していくなかで、やりたいことがなかったので、ボクシングを本気でやってみようと思った

ボクシングを始めたきっかけについて話す福永宇宙選手
ボクシングを始めたきっかけについて話す福永宇宙選手

プロ入り3年目の2020年、全日本新人王トーナメントに参戦すると、西日本新人王などのタイトルを獲得!
2月、ボクシングの聖地・後楽園ホールで開催される決定戦に勝てば、全日本新人王だ。
四国のジムとしては、初めての快挙となる。

福永選手を一から育てたのが、黒潮ボクシングジムの2代目・小川竜司会長。
世界3階級制覇を成し遂げたチャンピオン、長谷川穂積さんについたこともある経験豊かなトレーナーだ。

黒潮ボクシングジム・小川竜司会長:
(福永選手は)気持ちの強い、メンタルの強い選手。試合ごとに強くなっているのを目の当たりにしている。本当に強くなった

福永宇宙選手について話す小川竜司会長
福永宇宙選手について話す小川竜司会長

福永選手が所属する黒潮ボクシングジムは、1981年創業。県内唯一のプロボクシングジムには、中学生から40代までの20人ほどが所属している。

練習生:
自分の方が体重も重いが、一発一発の重みというか、強さが全然違って、自分じゃまだまだ相手にならない

練習生:
練習もストイックでめちゃくちゃ追い込んでいて、誰よりも頑張っているので、毎回負けるのが想像できない。宇宙さんに勝てる人いないと僕は思っている

連戦連勝のボクサーとはいえ、ファイトマネーは微々たるもの。練習の合間に高知市の理髪店で、主に配達の仕事をしている。

車の中で昼ごはんを済ませることも多いという。
大好物はラーメン。
さらに!

プロボクサー・福永宇宙選手:
アイスも好きなんで、アイスも毎回食べている。(アイスが)唯一の楽しみでストレス発散

しかし、いざ試合が近づくと、過酷な減量が待ち構えている。

1人暮らしをする高知市のアパート。玄関には2つの体重計が。

厳重な体重管理のため体重計は2つ用意
厳重な体重管理のため体重計は2つ用意

プロボクサー・福永宇宙選手:
誤差があったらいけないので、(体重計を)2つ用意している。減量中は1日に5~6回乗る

体重は、細かくスマホに書き留め、厳しく管理している。

日々の体重をスマホでチェックしている
日々の体重をスマホでチェックしている

この日の体重は65kgだったが、福永選手のスーパーバンタム級は55.3kg以下の階級! 体重を10㎏減らす必要がある。
計量前の最後の1日は、一滴の水も飲まず体から水分を絞り出し、ギリギリまで体重を落とすという福永選手。

プロボクサー・福永宇宙選手:
やっぱりイライラしてしまう、頭も回らないですし。寝られないんですね、喉がかわきすぎて。次の日まで寝られないので起きて、気を紛らわして。その時間がけっこうきつい

厳しい減量で眠れなくなることもあるという
厳しい減量で眠れなくなることもあるという

狙うはKO勝利… 次戦に向け特訓

タイトルをかけた相手は、サウスポーの選手。
福永選手にとっては、初めての体験。県内在住の左利きのアマチュア選手とのスパーリングで感覚をつかむ。

黒潮ボクシングジム・小川竜司会長:
強引でかまんき、中に入ること

ーーやってみて?

プロボクサー・福永宇宙選手:
難しいですね。(サウスポーは)距離感と位置が違う、頭と腹の。そこが難しい。相手もいい選手なので、僕が気持ちを前面に出して、ぶれないメンタルを武器に攻めて、スカッとKOで勝ちたい

次戦に向けて意気込む福永宇宙選手
次戦に向けて意気込む福永宇宙選手

世界王者の拳を知る小川会長は、福永選手と二人三脚で頂点を目指す。

「目指すところは一番上」

黒潮ボクシングジム・小川竜司会長:
(長谷川元チャンピオンと比べて)まだそこまではいっていない。そういう素質というかポテンシャルは持っていると思うので、世界まで行ってほしい。目指すところは1番上

世界を目指してほしいと期待する小川会長
世界を目指してほしいと期待する小川会長

福永選手の憧れは、2018年に世界3階級を制したモンスター、井上尚弥選手だと話すが…

ーー試合してみたい?

プロボクサー・福永宇宙選手:
今はやりたくない。いずれやってみたいとは思うが、今やったら殺されるので、今は遠慮しておきます

憧れは「モンスター」の通称で知られる井上尚弥選手
憧れは「モンスター」の通称で知られる井上尚弥選手

プロボクサー・福永宇宙選手:
会長を強豪ジムのトレーナーにしたい。大手のジムになめられないような会長にできるように僕が頑張りたい

四国のジム初の全日本新人王へ、あと1勝。
全日本新人王決定戦は2月21日、東京の後楽園ホールで開催される。

"四国初"の全日本新人王を目指す
"四国初"の全日本新人王を目指す

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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