2020年末、高知・安芸市で太平洋戦争中の不発弾が見つかった。
長さ130cm、重さ500kg。アメリカ製の1000ポンド爆弾と呼ばれる大型のものだ。
1月31日、自衛隊により無事に撤去作業が完了、多くの住民が避難した緊迫の様子を取材した。

太平洋戦争中の不発弾が田んぼから見つかる
不発弾が発見されたのは、高知・安芸市東浜の田んぼ。
万が一に備え、爆弾の周りにはうず高く土のうが積まれている。

2020年12月22日、深さ1.5メートルの地中から出てきたのは、太平洋戦争中に落とされたとみられるアメリカ製の1000ポンド爆弾。
近隣住民:
いやいやいや、ビックリしました。高速道路がつくということがなかったら知らないまま
地元住民の間で、太平洋戦争中にアメリカ軍が爆弾を落としたという話が伝えられていたことから、阿南安芸道路の建設に先立ち調査を行い発見された。

地元の人に話を聞くと…
記者:
どこのあたりで見つかった?
住民:
あそこ
記者:
あんな側で!

住民:
(知人の話によると)戦争中、ビューンと飛んできたらしい。もうこれで自分らは終わりと思って、しばらくたっても爆発せず、そのまま
駅近くでの不発弾処理 約230世帯500人が避難
発見場所は、ごめん・なはり線の安芸駅や市役所からほど近い場所。
市は、赤で示した半径300メートル以内のエリアを立ち入り禁止に。
約230世帯500人が避難した。

ーー1月31日午前7時50分
巡回車:
こちらは、安芸市不発弾処理現地対策本部です。本日不発弾の処理を行います
カメラマン:
午前8時を前に、住民の方が次々に避難していきます
消防団:
異常があったら無線で報告してもろうて、警察へ通報します。以上です。お願いします

地元の消防団や市の職員が避難誘導にあたった。
車を止める警察官:
ひょっと爆発したらいかんきよね、全員避難してもらってます
エリア内を走る、ごめん・なはり線も、午前8時から上下線18本を運休した。

市内6カ所には避難所が開設され、不穏な空気の中、次々と住民が身を寄せたが、中にはこんな人も…
避難所に来た人:
実感わかない。実際に戦争を経験していないということもあるんだけど、ピンとこなくて
ーー午前9時。
庁舎から放送:
ただ今から不発弾の処理を開始します
不発弾の処理にあたったのは、陸上自衛隊 第103不発弾処理隊。
3人が本部に詰め、4人が実際に現場で作業をした。
処理開始から1時間36分たった午前10時36分、自衛隊が不発弾の処理完了を横山市長に報告。
取材班は、周辺の立ち入り禁止が解除されたことから、実際に不発弾の処理現場に入った。
75年以上地中に…米製1000ポンド爆弾
陸上自衛隊 第103不発弾処理隊・生田博和隊長:
衝撃を加えなければ破裂するものではない。衝撃を加えないように慎重に信管を離脱した

取り除いたのは、爆弾のスイッチにあたる信管。爆弾の上部と底に2つついていた。
そして、うず高く重ねられた土のうの中から引き揚げられたのが、アメリカ製1000ポンド爆弾(約500kg)。

陸上自衛隊 第103不発弾処理隊・生田博和隊長:
着弾時になくなっているが、ここに羽がついている。羽がついていることによって、空気抵抗で投下したら弾頭が下を向いて落ちてくる
75年以上、安芸市の地中に埋まっていた大きな爆弾。
表面はすっかりさびていた。

陸上自衛隊 第103不発弾処理隊・生田博和隊長:
米軍の弾なので、なかなか殺傷力はわからない。(爆発すれば)かなりの被害は出るかなと思う
現場を確認した横山市長も胸をなで下した。
安芸市 横山幾夫市長:
昨年12月22日に不発弾が発見されて、落ち着いた気がしませんでした。近隣住民の方もやっと安心して日常生活が送れる
不発弾は安芸市から持ち出され、今後、自衛隊が廃棄処理する。
処理後、現場近くを見に訪れた女性がいた。
近隣住民:
(当時)タイモを植えちょったらしい。それがこんなに伸びて、皆がそこに逃げて伏せたというのは聞いてました。くつろぎました
平和の中に生きる私たちの前に突如現れた爆弾。
このような不発弾が見つかっても、「戦後長い時間が経っているから大丈夫と思わないでほしい」と自衛隊は呼び掛けている。
(高知さんさんテレビ)