「殺すと言われ、足がガクガク…」コロナ禍でDV相談急増 シェルターから見えた過酷な現実【岡山発】
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「殺すと言われ、足がガクガク…」コロナ禍でDV相談急増 シェルターから見えた過酷な現実【岡山発】

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コロナ禍でDV相談が倍増…シェルターは満室に

コロナ禍の外出自粛の影響で、ドメスティックバイオレンス(DV)の相談件数が増え、国も対策に乗り出している。
DVの被害者が身を寄せるシェルターから見えた現状と課題とは。

オリーブの家 山本康世理事長:
とてもじゃないけど、焦っている人が多いので、その辺の物をかき集めて持ってくる。一番ひどかった人は、サンダルだけで出てきた人がいた

恐怖や不安におびえるDV被害者がゆっくり眠れるようにと、防音加工した部屋。岡山県内のほか、愛知や愛媛にも構えるシェルターは、ほぼ満室が続いている。

「オリーブの家」のシェルター
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布団などの生活用品の他に、地域の人や支援者から寄付される食料なども提供される。
津山市に事務所を持つ認定NPO法人「オリーブの家」は、DV被害者の保護や相談、貧困母子家庭などの支援を行ってきた。

理事長の山本康世さん。山本さんの本来の仕事は、心理カウンセラー。多くの女性たちの悩みを聞いてきた。

オリーブの家 山本康世理事長:
枠を超えないと助けてあげられないという人が、非常に多くなった。その時に私に何ができるだろうと考えて、DVやストーカーや虐待という現状から、まずは環境を変えてもらうことが一番じゃないかと

DVを受け続けた女性「足ががくがくして…」

2020年春から「オリーブの家」に寄せられた相談件数は倍増した。
保護依頼も、緊急事態宣言が解除されたあと、6月と7月は一気に増えた。

シェルター保護依頼

オリーブの家 山本康世理事長:
子どもが学校が閉鎖されて行けなくなったことで、お母さんが仕事に出られなくなったり、お父さんが仕事を失うことになったり、いろんな家庭環境の変化によって、もともとDVがあった家庭に追い打ちをかけて、我慢していたものが、もう我慢できない状態に陥ったというのが多かった

「オリーブの家」で保護され、新たな人生を歩む決意をしたDV被害者。

DV被害者の女性(50代):
たたくという問題じゃない、殴るので。顔、おなか、足だろうが、グーで(殴る)。息ができなかったり、何日もせきをすると、あばらが痛かったり

岡山県内に住む50代の女性。20年以上続いた夫のDVから逃げ出した。2020年10月から、民間のシェルターで保護されている。

DV被害者の女性(50代):
普通の冷蔵庫はこういう感じで“ルーム3”。卵や調味料を入れる所も分けて使っている。衣類はある程度持ってきたが、こちらでももらって助っている。初めてぐらいの経験。1人で何かをするというのは。独身に戻った

シェルターの生活にも慣れ、時折、笑顔も見せる女性だが、長い間 恐怖と戦ってきた。

DV被害者の女性(50代):
それこそ、「殺すぞ」と言われた時に、その時はすごく恐怖を感じて、足ががくがくして

DV被害者の女性

夫は、酒が入ると暴力を振るったり物を投げたり…。しかし、逃げ出すことは考えたこともなく、我慢の日々だった。

DV被害者の女性(50代):
旦那を悪く悪く思うのではなく、いい所を見つけて変えてみようと思った努力もある。いつかは罰が当たるだろうと思っていたので、長生きはしないだろうなと。それをずっと願って、そうしたら自分の人生が始まると思っていた

“人生が変わる”…娘が背中を押してくれた

両親が亡くなり、娘たちも独立したことで、自分の人生を考え直した。
SNSで見つけた認定NPO法人「オリーブの家」。女性は、助けを求めた。

「オリーブの家」では、DV被害者の保護やカウンセリング、時には被害者に付き添い、警察に被害届を出しに行くこともあるという。

岡山県警に寄せられるDVの相談件数は、年々増加している。
しかし、2020年は、2019年に比べて減少傾向。コロナ禍の自粛によるパートナーの在宅などで、相談しにくい現状があるのではないかと分析している。

DV相談件数(岡山県警)

オリーブの家 山本康世理事長:
脅す、「殺すぞ」、「逃げるならどこまでも追いかけるぞ」、こういうのもDV。人格を否定する。もちろん子どもに(暴力を)見せることもDV

女性は、「オリーブの家」のサポートで夫との離婚が成立した。

ーー「助けて」と言って良かった?

DV被害者の女性(50代):
良かった、変わったと思う。ちょっと勇気を出して電話だけでもしてみたら、きっと人生が変わって、重荷がなくなると思う

ーー変わった?

DV被害者の女性(50代):
これから私、変えていこうと思う。ちょっとずつでも。一番は娘が背中を押してくれた。すごく協力してくれたので、それが一番 。1人ではできない

ーー1人じゃなかった? 

DV被害者の女性(50代):
1人じゃなかった。ほんと皆さんに感謝。感謝しかない

女性は、もうすぐシェルターを出る。恐怖から解放された新しい人生を歩み始める。

声をあげることでつながるサポート

こうした被害者が相談しやすいようにと、国は10月から、全国共通短縮ダイヤルを設けるなど、対策を打ち出した。コロナ禍のDVは、社会問題となっている。

DV相談ナビ短縮ダイヤル #8008

感染拡大の不安の中も、クラウドファンディングなどで資金を集めながら活動を続けた「オリーブの家」には、今も毎日のように相談や保護の依頼が入ってくる。
警察から、被害者の女性の話を聞いてほしいとの依頼だった。

オリーブの家 山本康世理事長(電話口):
分かりました。精いっぱいサポートしますので、私からお電話して、お話聞きますね

オリーブの家には、自治体が設置するシェルターのような保護期限はない。被害者が自立するか、行く場所が決まるまで支援は続けられる。

オリーブの家 山本康世理事長:
声をあげること。もっともっとみんな言おうよ!という社会を作っていかないといけない。誰かに「助けて」という声をまず上げてくれたら、そこからつながって、サポートができる

「DVかどうかわからない」という相談や、被害者本人だけでなく、知り合いや友人からの相談も「オリーブの家」では受け付ける。
その声を聞いてくれる人は、いる。

(岡山放送)

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