佐賀・太良町や唐津市などで養殖が盛んなカキ。
冬の味覚カキを‟殻ごと冷凍“して販売する取り組みが始まっている。
冷凍カキは全国でも珍しく、生では約3カ月、加熱すれば1年以上食べられることから、全国に販路を広げたいと漁業者は意気込んでいる。

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冬の味覚“カキ”。
その栄養価の高さから“海のミルク”と呼ばれている。

客:
去年も来ました。すごくおいしいです、ぷりっぷりで

滋賀から来た客:
滋賀にはこんな(カキ小屋)ないので。おいし~

地元の漁協によると、カキ小屋が立ち並ぶ太良町では、現在18人がカキを養殖。
今シーズンの水揚げは14トン余りと例年よりやや少ないものの、身入りが良く味のいいカキができているという。

佐賀の冬の味覚として定着しつつあるカキ。
県内では唐津市や玄海町でも養殖されている。

袈裟丸彰蔵さん(43)。

5年ほど前から養殖を始めた。

袈裟丸彰蔵さん:
(ことしは)身入りが良くて、いいカキかなと。今からまだ大きくなると思う

玄界灘に面した唐津湾だから出せる味

袈裟丸さんによると、玄界灘に面した唐津湾は、ほかの海域より塩分濃度がやや高いため、そこで育つカキは塩味が濃いのが特徴だという。
袈裟丸さんは、海上に20台近くの養殖いかだを設置。
宮城産や広島産の稚貝をつるし、プランクトンなどを食べて育ったカキを県内や関東などに出荷している。

長年、サザエや赤ウニなどを獲ってきた袈裟丸さん。
しかし、約10年前から漁獲量が急激に減少しているという。

袈裟丸彰蔵さん:
量も減ってきているし、収入も減ってきている状況なので...。半分ぐらい(収入減っている)

海洋環境の変化などが原因とみられるが、はっきりとはわからず。
そこで目をつけたのがカキだった。

袈裟丸彰蔵さん:
冬場の時化でも、カキの作業がやりやすいかなと。少しでも所得が上がるように、いろいろな対策を練っていかないと、漁師として食べていけないかなと

“冷凍カキの販売”スタート...なんと殻ごと

漁師仲間の井上健一さん。

今シーズンから2人が新たに始めたのが“冷凍カキの販売”。
冷凍するのは、なんと殻ごと。

井上健一さん:
風をランダムに当てることで急速冷凍する

使うのはこちらの特殊冷凍機。
全国的にも珍しいという冷凍カキは、生では約3カ月、加熱すれば1年以上食べられるという。

袈裟丸彰蔵さん:
その時の旬の味を継続的に食べられる技術で、すごくいい商品だと思っている

見た目は、穫れたてと冷凍して解凍したもの、どちらか区別はつかない。

そのお味は...?
まずは穫れたてから。

堀江舞アナウンサー:
結構塩気があります。あとから口の中に磯の香りと旨味がジワーっと広がります。かなりお酒が進む味ですね

こちらは冷凍して解凍したカキ。

堀江舞アナウンサー:
鮮度も旨みも全く落ちてないです。こちらが穫れたての生ガキと言われても分からないぐらい、旨みも味も変わらずおいしい

普段食べられない新鮮な味を全国各地で

この冷凍カキは、全国の農家や漁師が旬の食材を出品、販売するウェブサイト「ポケットマルシェ」などから購入できる。
価格は800グラムからで、1300円前後。

井上健一さん:
(注文は)関東が多い。九州出身で『昔食べたあのおいしいカキが食べたい』、『鮮度のいいカキが食べたい』と。今後も購入希望方がいらっしゃれば、ずっと続けていきたい

袈裟丸彰蔵さん:
その時の旬の味をスパンが長く食べられるのは、お客さんにとっていいことじゃないかなと。玄界灘の海の幸はかなりおいしいと思うので、ぜひ全国の皆さんに食べてもらいたい

生はもちろん、冷凍でもおいしい唐津のカキ。
皆さんのおうち時間の食卓に並べてみてはいかがだろうか。

(サガテレビ)

サガテレビ
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